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第五章 ボフミエ皇帝誘拐する

ボフミエ最終戦2 クリスは魔人を張り倒しました

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避難してきた者たちの小屋が次々に破壊されていく。
ボフミエ最強の魔導師団の攻撃はすさまじかった。
抵抗する間も無く次々に攻撃されて倒される。


その攻撃の1つを剣を抜いてジャスティンははじいていた。

「あれが反乱軍の首魁ジャスティン・ギンズバーグです」
報告が上がる。

「ふん、名も無き騎士か」
憐れみを持った顔でアーベルが言った。

「やれ」
皇帝が命令する。
5人の魔導士がファイアーボールを叩きつけていた。
すさまじい爆発が起こる。
「フフフ、反乱軍の首魁も我が魔導師たちにかかればあっさりだな」
アーベルは笑って言った。

しかし、その皇帝めがけて斬撃が飛んでくる。
慌てて魔導師たちが障壁を築くがバリンっと割れる。

その先にはびくともしていないジャスティンが立っていた。

「少しは歯ごたえがあるのか」
アーベルは笑った。

「魔人をあてがえ」
そのジャスティンめがけて魔人が手を出す。
その手からは衝撃波が放たれる。
両手を前で組んでジャスティンはその衝撃に耐える。
ただし、耐えきれずに弾き飛ばされていた。

家が1軒弾き飛ばされる。

「これまでか」
皇帝が言う。しかしがれきの中からジャスティンは現れると剣を構えて魔人に切りかかった。
魔人は強化した手で受ける。
剣技を次から次に打ち出すが、魔人は次々に防ぐ。
そして魔人が衝撃波を繰り出すが、ジャスティンはそれを避ける。
魔人と最強騎士の戦いが始まった。

「あの男は1人の魔人に任せて残りは残りの奴らをやれ。
そしてクリスを見つけ出すのだ」

その時に皇帝の前に次々に炎の塊が降り注ぐ。
魔導師たちは慌てて障壁を築く。

その炎の飛んできた向こうには鎧を着た騎士の一団が現れた。

「何だこの一軍は」
魔導師が聞く。

「我こそは東方方面第一師団第一大隊長ベン・ドーブネル。令嬢誘拐犯を成敗するためにここに参った。
貴様が誘拐犯アーベル・ゲーリングか」
堂々と言い切る。
「何だと」
まさか一軍の兵士ごときに皇帝が呼び捨てにされて侮辱されるとは魔導師たちは思ってもいなかった。

「貴様。皇帝陛下に不敬だぞ」
サロモンが叫ぶ。

「何が皇帝だ。ボフミエはいつから犯罪者が皇帝になった。
まあ元々国の成り立ちからしてゲーリング家の乗っ取りであったか。
犯罪者はいつまでも犯罪者であるな」
ベンはにやりと笑った。
確かに魔導師の集まりで会ったボフミエ国を時のゲーリング家が皇帝として世襲制にした事が帝国の始まりではあった。
しかし、それはどこの国でも似たり寄ったりだろう。
他国につべこべ言われるいわれは無かった。

「おのれ。その無礼者を成敗しろ」
「ふんっ。そこの誘拐犯こそ成敗されろ。全軍突撃」
騎士たちは抜剣すると馬ごと突撃に移った。

魔導師たちが慌てて攻撃魔法をかけるが大隊付きの魔導士によって多くは防がれる。

「陛下大変です。南から一師団が攻め上がってきます」
斥候が報告してきた。

「慌てるな。魔人を中心に攻撃させろ」
アーベルが指示する。

「サロモン1隊を率いて小娘を探させろ」
「いえっあそこにいます」
サロモンが指さした。
その指先を見ると確かに一群の先頭に小娘がちょこまかとこちらの方にかけてくるのが目に付いた。

「捕まえろ」
5人の魔導士にアーベルは指示する。

5人は転移してクリスに近付く。
衝撃波を使ってクリスを止めようとするがクリスのバリアによってびくともしない。
逆に反射されて1人の魔導士がもろに食らって吹き飛ぶ。

クリスは魔導士を無視して第一師団に向かおうとした1人の魔人に駆け寄る。

魔人はクリスを見ると手を伸ばして捕まえようとした。

「よし、殺さずに捕まえろよ」
アーベルが聞こえもしないのに思わず口を出す。

しかし、クリスはちょこまかと大きいが少し遅い魔人の手をかいくぐると飛び上がった。

そして、
「あなたも人間に戻りなさあい」
大声で叫ぶとあいの言葉と同時に魔力を込めた手で魔人を殴りつける。

バシンっ

何故かいかにも痛そうな音と共に、最強の戦士のはずの魔人が頬を殴られて張り倒されていた。
後ろにいた3人の魔導士を道連れに地面に叩きつけられる。
噴煙が去った後にはカエルのようにひしゃげてヒクヒク痙攣する4人の魔導師の残骸が残っていた。
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