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第四章 王立高等学園

大国皇太子はクリスとやっと話せて頭が桃色になりました

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翌朝、目覚ましの大音量でジャンヌは起こされた。
「痛いっ」
体中が筋肉痛で起き上がれない。
シャラザールに朝方まで徹底的にしごかれたのだった。
これは起き上がれない。
でも遅刻したらジャルカの補習だ。
何としても起きないと。
ジャンヌは必死に起き上がろうと努力を始めた。

クリスはその頃ばっちりと目が覚めた。
今日は朝からすがすがしい。
何か心がすっきりしていた。
ここしばらくは毎日オーウェンについて悩んでいたのが、嘘のように気にならなくなった。
昨日自分のやったことは全く分かっていないクリスだった。

「おはようございます。クリス様」
朝までシャラザールにしごかれていたナタリーはクリスを見て思わず姿勢を正した。

「おはようございます。ナタリー様」
クリスも挨拶を返す
「今日はどうされたんですか?少しお疲れのようですが」
「ええ、少し昨日夜更かししまして」
クリスの問いにナタリーは誤魔化す。
夜更かしさせられた相手は全く覚えていないらしい。
ナタリーもクリスの護衛の為にもっと力をつけろと徹底的にしごかれた部類だった。
シャラザール鬼軍曹のしごきをナタリーは思い出したくも無かった。

「クリス様。今日はお元気そうですね」
「まあ、いつまでもうじうじ悩んでも仕方が無いかなと思いまして」
イザベラの問いにクリスが応えた。

おそらく、シャラザールの竹で割ったような性格が乗り移ったのではないかとナタリーは思った。

「クリス様おはようございます」
エステラがクリスに声をかけてきた。
「おはようございます」
「脚本出来たので読んで頂けますか」
「もう出来たんですか?」
エステラはクリスの魔導ノートに移す。
「昼休みにでも読ませていただきます」
「宜しくお願いします」
クリスはクラス委員と生徒会、それとスティーブにも送った。

その朝、オーウェンはクリスを迎えに女子寮まで来ていた。
昨日は図書館に行ってもクリスはいなかった。
何故かアレクらも夜遅くまで帰って来なかった。
今朝はアレクは疲労困憊していて、結局1人で女子寮まで来たのだ。
今日はなんていおうかオーウェンは悩んでいた。
ここ4、5日クリスとは全く話せていなかったのだ。
-このままではまずい、今日は何としてでも話さなくては…
そうオーウェンは思っていたが、
「あっオーウェン様。私を迎えに来ていただけたのですか?」
いきなりエカテリーナに捕まっていた。

「いや、違って」
オーウェンはクリスを探す。
クリスは後ろの方からイザベラらと一緒に出てきた。

「あっオーウェン様おはようございます」
クリスは元気良く、オーウェンに声をかけてきたのだ。

「えっ」
その変わりようにオーウェンは驚いた。

「先日はわざわざ部屋まで送って頂いてありがとうございました」
クリスはエカテリーナがいるのも構わずにオーウェンに話しかけていた。

「いや、当然のことをしたまでですよ。そのあと気分は大丈夫でしたか?」
オーウェンはさらりとエカテリーナに捕まれていた手を放してクリスについて歩きだす。

「えっオーウェン様」
エカテリーナは追いかけようとするが、
「まあ、エカテリーナ様。お久しぶりですね」
イザベラらに強引に捕まってしまう。
「えっあなたたちには昨日もお会いしましたわ」
「もう半日もたっているではないですか」
「本当です。冷たいですね。エカテリーナ様」
エカテリーナはイザベラとナタリーに捕まってしまった。


「あの日は、すいません。私、お酒弱くて。その日の事全然覚えていなくて」
「あれは叔母様も悪いよ」
オーウェンはその時の状況を思い出して言う。
「すいません。酔った勢いで抱きついてしまったみたいで」
クリスは恥ずかしがって足元を見た。

「クリス嬢ならいつでも大歓迎だよ」
「えっじゃあまた抱きついちゃいますよ」
クリスはニコッと笑って言った。
オーウェンは冗談で言ったのに、そんなふうに返してくれるなんて思ってもいなかった。
オーウェンは立ち止まってまじまじとクリスの顔を見た。
-それって好きだって言われたって事だろうか?
オーウェンの頭の中は再び桃色に染まっていった。

「オーウェン様置いて行きますよ」
その横をクリスが歩いていく。

「あっちょっと待って。クリス」
慌ててオーウェンは追いかけた。
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