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第四章 王立高等学園

学園祭実行委員会

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丁度その時に生徒会長ら執行役員が入ってきた。
皆慌てて席に着く。

生徒会長はコロンバス・ダイニンゲン、伯爵家の長男だ。
普通は伯爵家の人間だと地位は高い方に入るのだが、各国の王族が多く集まるこの会議では緊張していた。
その彼がつっかえひっかえ説明を始める。

「落ち着け」
とかジャンヌがヤジを飛ばす。
オーウェンはそれを見ながら資料に

さっきはごめんねと書く。

がクリスは目の端にちらっと見るが無視した。
頭の隅に抱き合うエカテリーナとオーウェンの様子がよぎったのだ。

今日も図書館に行くの?

その様子にめげずに更に書き込む。
クリスは嫌そうに頷いた。

僕も後で行くね。

オーウェンが更にめげずに書き込む。
そこでクリスは考えた。
オーウェンはイラっとはするが頭はいい。
ジャンヌやアレクを教えるのはスミスでは厳しいだろう。
オーウェンならなんやかんや言いながらでもやってくれるのではないかと。

そこで、図書館で手伝ってほしいことがあるんですが。

と渋々書き込むとオーウェンは喜んで頷いた。

-何だろう、クリスの頼みって?

前期は図書館でクリスを見ても声さえかける事は出来なかったが、やっと机の隣で一緒に勉強できるって事につながるんだろうか。
オーウェンは楽しくなった。

「では各クラスは来週のこの時間までに何をされるか概要を書いて生徒会までご提出ください」
オーウェンはほとんど何も聞いていなかったが、コロンバスは何とか説明を終えていた。

そのあと質疑応答があって、1時間くらいで会議は終わった。
そのあとスティーブはクリスと連れ立って図書館に向かう。

「来週の今の時間までに何するか決めないといけませんね」
クリスが言う。

「アンケートは取っているからその結果を今日中にまとめてそちらに送りますよ」
スティープが言う。

「ざっと私が見た感じでは演劇が多かったと思うのですけど。どなたか演出できる方いらっしゃいます?」
クリスが聞く。

「うーん。アレク殿下とか、人に指示がうまそうに思うんですけど」

「アレク殿下ですか。でも、殿下は演技力もありそうですし、見た目も良いと思うので、集客力もあるから演技に専念していただいた方が良くありませんか?」

「うーん、そうするとジャンヌ王女もオーウェン殿下も難しくなってしまいますよね」
と言いながらスティーブは考える。

「そう言えばエステラ・ハイドさんはどうですか。平民出で王子様の演技とか指導するのはどうかと思いますが彼女、中等部の演劇の人気が高くてこの高等学園に推薦されたって聞きましたけど」

「エステラ・ハイドさんは演劇部ですよね。演劇部なら学祭の時は忙しいんじゃありません?」

「そうでもないみたいですよ。演劇部ではあまり活躍の場を与えられていないってこぼしていたのを聞いたことがあります」

「そうですか。演劇部でやることがあんまりないなら、クラスで頼めばやってくれますよね。一度私からアプローチしてみます。」
クリスもその話は聞いたことがあった。エステラ・ハイド、確か夢見る少女王宮へ行くっていう演劇をみた学園の理事の一人が学園に推薦したはずだった。そうか、演劇部で干されているなら、クラスの演劇で力を発揮してくれるはずだった。

スティーブはその考えているクリスの横顔を見ながら
-今日は何の用なのだろう?
と考えていた。
勉学はクラスのトップ、魔力もすさまじくあるはずだ、制御は出来ないみたいだけど。
その行いによって多くの侍女や兵士たちが助けられており、聖女とも一部で呼ばれている。
そんな彼女からのお願いなんて何なのだろう?
スティーブは少し浮かれていたが、

「お疲れ様です」
図書館の手前で後ろからアルバートが現れてびくっとする。

「あっアルバート様」
クリスが声をかける。

「皆さんはこちらです」
アルバートに案内された先ではドラフォードとノルディンの令嬢たちが待っていた。

「すいません。スティーブ様には数学の勉強教えるのお手伝いしてほしいんです。
私一人では教えられなくて」

スティーブはがっかりした。
そう、クリスが何か個人的に頼むなんてありえなかった。
でも、まあ、かわいい令嬢たちとお近づきになれるなら良いかと、考えを改める。

「ああ、良いですよ。私で宜しければ」
でもそのスティーブの考えは甘かった…
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