上 下
67 / 444
第四章 王立高等学園

クリスの憂鬱

しおりを挟む
さて今回から第4章の始まりです。クリスは色々悩んでいますが、
王立学園にはオウやアレク、オウ狙いのアレクの妹達が留学してきてさあ大変。
オウとクリスの恋愛は………。王立学園は学園祭の混乱の中大変なことになっていきます。
今章は学園恋愛編です。

*****************************************************************

マーマレード王立高等学園

創立500年を超える名門だ。今は科学技術の研究にて世界中に名前が響いていた。魔導電話など次から次にいろんな技術を生み出していた。そのために各国から王族や貴族、能力のある者の留学生も多かった。

その教授会でのこと。

「理事長、ジャンヌ王女殿下が学園に入られるというのは本当ですか?」
物理の教授のパウル・ヒルシュは青くなっていた。

「国王陛下からはお願いされていますが」
アダム・ブラウン理事長は言った。

「アレクサンドル・ボロゾドフ ノルディン帝国皇太子も入られるとお伺いしましたが」
「言いたくは無いですが、そのお二人が、物理を理解されるのは難しいと存じますが」
他の教授からも不安が寄せられる。

「まあまあ、世界的権威であられるヒルシュ教授のお力をもってすれば問題ないでしょう」
笑ってアダム・ブラウン理事長は言った。

「問題だらけな気がいたしますが」
ヒルシュは不満げに答えた。

それはブラウンにしてもそうだった。
オーウェン・ドラフォード皇太子が前期に続いて留学を続けるとドラフォードからは連絡があったし、その同じ学年にはヘルマン・ゲーリング ボフミエ魔導帝国第三皇子が留学に来るし、その学年には王子だけで10名がいる事になる。
通常は各学年2名から3名だ。
前期はこの国の皇太子とドラフォードの皇太子だけだったのに。
ブラウンは胃が痛かった。

その中に自国の暴風王女と赤い死神がいるのだ。
何が起こるか判らない。

何故かドラフォード国から10名もの新たな留学生がそれも貴族階級が来ることになったし、他国からも20名程貴族階級が増えていた。外交ルートから強引にねじ込まれたので、どうしようもなかった。

教師連中で貴族位を持つものはほとんどいず、理事長には頭の痛い問題だった。

ミハイル侯爵令嬢目当てが大半みたいだったが、外交問題にならないか、戦々恐々としていた。
国王からはいざとなればジャンヌ王女を前面に出すように言われていたが、そのジャンヌ王女自体が信頼感ゼロだったのだが。


クリスは憂鬱だった。

夏休みの残り1か月は領地で静かに過ごしていたのだが。

王弟反逆で切れて、王族を散々馬鹿にした挙句、王弟をまた張り倒したのだった。
サマーパーティの皇太子に引き続いて。
王族2人を張り倒した侯爵令嬢なんて史上はじめてに違いない。

明日からは王立高等学園で後期の授業が始まる。
婚約破棄されて以来の学校だった。
皇太子に婚約破棄されたので皆に冷たい視線で迎えられそうだし、本当に学校に行くのは嫌だった。

本日寮に帰って来るのも憂鬱だった。
寮に帰って来ても逃げるようにこそこそと部屋に上がった。
誰にも会わずにほっとした。
ご飯も部屋まで護衛騎士のメイに運んでもらっていた。
結局、今回の事件でせっかく会えたオーウェンにも肘鉄を喰らわせてしまったし、そのあと、何度も会いたいと手紙をもらっていたが、思い返すと自分の行動が恥ずかしかったので全く無視していた。

「少しくらい会えばよかったかな。婚約破棄された私に優しくしてくれたのに」
とクリスは乙女心に後悔もしていた。
オーウェンとは基本的にもう会う事も無いだろう。
せっかく会いたいと言ってくれたのに、無視したのはまずかったかもしれない。

でも、まずいと言っても彼は大国ドラフォードの皇太子なのだ。
自国の皇太子に公の場で振られたクリスに釣り合うわけもない。
それに王族2人をオーウェンの前で殴り倒してもいた。
こんなお転婆娘をオーウェンが好いてくれる訳は無いとクリスは思った。

振られた皇太子ばかりか、反逆した王弟までも殴り倒してしまった。
明日からは化け物を見るような目で周りから見られるかもしれない。
貴族の子弟や軍関係者の子弟も王立高等学園には多いのだ。
彼らはいろんなことを親から聞いているだろう。
明日からの事を考えるとクリスは憂鬱だった。

卒業したらもういっそのこと修道院にでも入ろうかしらと悩むクリスだったが、その日ももんもんとして中々寝られなかった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

伯爵令嬢が婚約破棄され、兄の騎士団長が激怒した。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。

命を狙われたお飾り妃の最後の願い

幌あきら
恋愛
【異世界恋愛・ざまぁ系・ハピエン】 重要な式典の真っ最中、いきなりシャンデリアが落ちた――。狙われたのは王妃イベリナ。 イベリナ妃の命を狙ったのは、国王の愛人ジャスミンだった。 短め連載・完結まで予約済みです。設定ゆるいです。 『ベビ待ち』の女性の心情がでてきます。『逆マタハラ』などの表現もあります。苦手な方はお控えください、すみません。

あなたが望んだ、ただそれだけ

cyaru
恋愛
いつものように王城に妃教育に行ったカーメリアは王太子が侯爵令嬢と茶会をしているのを目にする。日に日に大きくなる次の教育が始まらない事に対する焦り。 国王夫妻に呼ばれ両親と共に登城すると婚約の解消を言い渡される。 カーメリアの両親はそれまでの所業が腹に据えかねていた事もあり、領地も売り払い夫人の実家のある隣国へ移住を決めた。 王太子イデオットの悪意なき本音はカーメリアの心を粉々に打ち砕いてしまった。 失意から寝込みがちになったカーメリアに追い打ちをかけるように見舞いに来た王太子イデオットとエンヴィー侯爵令嬢は更に悪意のない本音をカーメリアに浴びせた。 公爵はイデオットの態度に激昂し、処刑を覚悟で2人を叩きだしてしまった。 逃げるように移り住んだリアーノ国で静かに静養をしていたが、そこに1人の男性が現れた。 ♡注意事項~この話を読む前に~♡ ※胸糞展開ありますが、クールダウンお願いします。  心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。 ※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義です。 ※架空のお話です。現実世界の話ではありません。イラっとしたら現実に戻ってください。 ※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。 ※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。

魔力無しの私に何の御用ですか?〜戦場から命懸けで帰ってきたけど妹に婚約者を取られたのでサポートはもう辞めます〜

まつおいおり
恋愛
妹が嫌がったので代わりに戦場へと駆り出された私、コヨミ・ヴァーミリオン………何年も家族や婚約者に仕送りを続けて、やっと戦争が終わって家に帰ったら、妹と婚約者が男女の営みをしていた、開き直った婚約者と妹は主人公を散々煽り散らした後に婚約破棄をする…………ああ、そうか、ならこっちも貴女のサポートなんかやめてやる、彼女は呟く……今まで義妹が順風満帆に来れたのは主人公のおかげだった、義父母に頼まれ、彼女のサポートをして、学院での授業や実技の評価を底上げしていたが、ここまで鬼畜な義妹のために動くなんてなんて冗談じゃない……後々そのことに気づく義妹と婚約者だが、時すでに遅い、彼女達を許すことはない………徐々に落ちぶれていく義妹と元婚約者………主人公は 主人公で王子様、獣人、様々な男はおろか女も惚れていく………ひょんな事から一度は魔力がない事で落されたグランフィリア学院に入学し、自分と同じような境遇の人達と出会い、助けていき、ざまぁしていく、やられっぱなしはされるのもみるのも嫌だ、最強女軍人の無自覚逆ハーレムドタバタラブコメディここに開幕。

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

旦那様、そんなに彼女が大切なら私は邸を出ていきます

おてんば松尾
恋愛
彼女は二十歳という若さで、領主の妻として領地と領民を守ってきた。二年後戦地から夫が戻ると、そこには見知らぬ女性の姿があった。連れ帰った親友の恋人とその子供の面倒を見続ける旦那様に、妻のソフィアはとうとう離婚届を突き付ける。 if 主人公の性格が変わります(元サヤ編になります) ※こちらの作品カクヨムにも掲載します

【完結】殿下、自由にさせていただきます。

なか
恋愛
「出て行ってくれリルレット。王宮に君が住む必要はなくなった」  その言葉と同時に私の五年間に及ぶ初恋は終わりを告げた。  アルフレッド殿下の妃候補として選ばれ、心の底から喜んでいた私はもういない。  髪を綺麗だと言ってくれた口からは、私を貶める言葉しか出てこない。  見惚れてしまう程の笑みは、もう見せてもくれない。  私………貴方に嫌われた理由が分からないよ。  初夜を私一人だけにしたあの日から、貴方はどうして変わってしまったの?  恋心は砕かれた私は死さえ考えたが、過去に見知らぬ男性から渡された本をきっかけに騎士を目指す。  しかし、正騎士団は女人禁制。  故に私は男性と性別を偽って生きていく事を決めたのに……。  晴れて騎士となった私を待っていたのは、全てを見抜いて笑う副団長であった。     身分を明かせない私は、全てを知っている彼と秘密の恋をする事になる。    そして、騎士として王宮内で起きた変死事件やアルフレッドの奇行に大きく関わり、やがて王宮に蔓延る謎と対峙する。  これは、私の初恋が終わり。  僕として新たな人生を歩みだした話。  

【完結】婚約者に忘れられていた私

稲垣桜
恋愛
「やっぱり帰ってきてた」  「そのようだね。あれが問題の彼女?アシュリーの方が綺麗なのにな」  私は夜会の会場で、間違うことなく自身の婚約者が、栗毛の令嬢を愛しそうな瞳で見つめながら腰を抱き寄せて、それはそれは親しそうに見つめ合ってダンスをする姿を視線の先にとらえていた。  エスコートを申し出てくれた令息は私の横に立って、そんな冗談を口にしながら二人に視線を向けていた。  ここはベイモント侯爵家の夜会の会場。  私はとある方から国境の騎士団に所属している婚約者が『もう二か月前に帰ってきてる』という話を聞いて、ちょっとは驚いたけど「やっぱりか」と思った。  あれだけ出し続けた手紙の返事がないんだもん。そう思っても仕方ないよでしょ?    まあ、帰ってきているのはいいけど、女も一緒?  誰?  あれ?  せめて婚約者の私に『もうすぐ戻れる』とか、『もう帰ってきた』の一言ぐらいあってもいいんじゃない?  もうあなたなんてポイよポイッ。  ※ゆる~い設定です。  ※ご都合主義です。そんなものかと思ってください。  ※視点が一話一話変わる場面もあります。

処理中です...