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第三章 王弟反逆

王宮解放戦2 執務室の攻防

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「何だと、敵が入ってきただと」
執務室の隣に寝台を置いて寝ていたヘンリーはたたき起こされていた。
慌ててしたくする。

「警備はどうしていた?」
王弟が叫ぶが、誰にも分らない。

とりあえず執務室に向かう。

「殿下、敵は現在この階下を制圧しました。
階段での攻防戦が」
ギルティが報告する。
「ここまで来たのか?」

「地下から侵入されたようです」
エドウィンは報告した。
「地下か」
地下室から侵入されたのなら地下牢はもう解放されただろう。」

「この扉の前には100名がおります。
侵入した敵は魔導師団で、ここで抑えれば中央師団が駆け付ければ何とか撃退できるかと」
エドウインは中央師団の大半が眠らせられたことをまだ知らないのだった。



「クリス様!」
一階のホールにクリスが上がるとメリーが駆けよってきた。

「メリー、元気にしていた?」
クリスも駆け寄る。

「はい。お陰様で。」
メリーが頷く。

「裏から執務室に行きたいのだけど」
そのメリーに頼み込む。

「こちらです」
裏方用の通路にメリーが案内する。

「クリス様!」
「あっ本当だ」
「クリス様だ」
通路に入ると甲冑を身に付けたクリスらに使用人はみんな驚く
その彼らに手を振りながら、一気に3階まで抜ける。

あちこちで剣や魔法を打ち合う音がしている。
まだ執務室に突入は出来ていないみたいだった。
執務室の裏口の前で兵士が一人で警備していた。

一瞬でウイルが弾き飛ばす。

そのまま扉も弾き飛ばして、中に飛び込んだ。
一同も続く。

「動くな!」
ウイルが叫ぶ。

中には王弟と中央師団長のエドウィン、アーカンソー侯爵他十数人がいた。兵士らは4人ほどが立っていたが、こちらは既に20人くらいいる。

「ミハイルの小娘か」
ヘンリーは言った。

「王弟殿下。王宮は制圧しました。降伏を」
クリスが降伏勧告をする。

「はんっ。エルフリーダの仲間に負けるわけにはいかんわ」
王弟が剣を抜く。

「王弟殿下。エルフリーダ様の仲間と言うのはやめろてもらえませんか」
クリスが嫌そうに言う。

「何を言っている。エルフリーダの出身はミハイル家。貴様はその長女だろうが」
当たり前のようにヘンリーは言う。

「確かにそうですが、エルフリーダ様とは会った事もありません」

「何を誤魔化しておる。貴様がエルフリーダの血をひいているのは事実だろうが」

「違いますね。私にはエルフリーダ様の血は一滴も入っていません。
エルフリーダ様は私の父の父のそのまた父の更に父の娘なだけです。
血を受け継いでいるのは国王陛下とエドとジャンヌお姉さまだけですわ」
ここが大事だと言わんばかりにクリスが言う。

「屁理屈を抜かすな」
ヘンリーにしてもそこはどうでも良かった。

「屁理屈を言っているのはあなたでしょうが。
会った事も無い遠い親戚のやった事なんて知りません。」
クリスは無視すると言い切った。
目の前の机がクリスの怒り?でぶるっと震える。

「何だと。エルフリーダのせいで私の母はいじめられ、そして、その弟ロポックによって殺されたのだ。
皆ミハイルの人間だ。」

「それがどうしたの」
クリスが言う。究極の切り返し、それがどうした・・・
でも頭に血が上っている王弟には通用しなかった。

「だから、貴様らが殺したと言っているだ」
王弟ヘンリーは強調した。

「何言ってんのよ。あなたはそれを黙ってみていたんでしょ」
クリスがとんでもないことを言い出した。
その時ヘンリーは6歳でしかない。
でも、それを言うとクリスが悪いというならクリスはその時は当然影も形も無かったのだが。

「何だと」
ヘンリーの頭では当然ながら理解できず、頭に血が上って剣をクリスに向ける。

思わずウィルとアルバートが前に出ようとするがクリスは止める。

「確かにその時あなたは6歳で何もできなかったかもしれないわ。でも、今はいくつなのよ。
大きくなってから仇を取ればよかったでしょう。
でももう、エルフリーダ様もロポック様もいないわ。
誰もいなくなってからしてどうするのよ!
今頃何言ってんのよ」

「ふん、元凶二人はもういない。
だからこうしてエルフリーダの息子のジョージと
ミハイルの血を引いている貴様らに恨みを晴らそうとしているのだ」
ヘンリーは言い切る。

「何言ってんのよ。
あなたはその時に生きていたからそう言えるけど、
その時に影も形も無かった私に言っても仕方がないでしょう」
当然の常識をクリスは言った。

「にっくきミハイルの血は引いている」
王弟はなおも言い切る。

「あなたバカなの。そもそもミハイルミハイルって言うけれどあなたの4代前にもミハイル家から王妃になっているのよ。だからあなたもそもそもミハイル家の血が入っているのよ。
あなたとエルフリーダ様は血が繋がっているのよ。判っているの?」

「・・・・」
王弟は反論できなくなってしまった。
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