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第三章 王弟反逆

赤い死神と大国皇太子は決死の救出劇に向かいます

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その夜の丑三つ時、二人はジャルカによって王宮の中庭に転移させられた。

近くに何もいないのを確認する。
そして、二人して地面を少し掘る。
これはノルディンとドラフォードの皇太子の2回目の共同作業だった。
二人は認めたくも無かったが…

そして、その掘った先に鉄の扉が出てきた。
昔、ジャンヌが誤って開けてしまった穴を元に作った脱出口であった。
そのまま、鉄の扉を開けてジャンヌの作った王妃の教育からの脱出口に飛び込む。

その穴は一階の通気口につながっていた。

その穴をアレクを先頭にして這って進む。

「よし、ここだ」
アレクは周りを検知する。
誰もいないのを確認して通気口の入り口を外す。

二人はゆっくりと地上に降り立った。
そして、地下牢の入り口に向かって進む。
前には歩哨の二人がいた。

一瞬で二人の前に出たアレクら二人は峰打ちで倒す。

そして地下牢の入り口をこじ開けて中に侵入する。

そして階段を地下に降りる。

歩哨二人をぶった切り、オーウェンは剣で地下牢の扉の鍵を全て壊す。

そして、アレクは魔導防御装置を見つけ出してスイッチを切る。

その瞬間一斉に警報が鳴りだす。

アレクは迷いを無くして国王と王妃の捕まっている牢獄に踏み込む。

「助けに来ました」

「でも国王は負傷中です」
王妃は言う。


「お二人をジャルカのところにお送りします。失礼します」
アレクはそう言うとベッドに寝込む国王の手と王妃の手を握る。

そして、転移の魔法を使う。二人は転移した。
そして、残ったオーウェンの手を握りたくないが握る。

その嫌がった一瞬が明暗を分けた。

パッと明かりが光る。

誰かが魔導防御スイッチを推したみたいだ。

転移できずに地面に叩きつけられた。

「アレク、いくら俺がむかつくからって地面に叩きつけるなよ」
オーウェンは文句を言うが、

「やられた。防御装置のスイッチを入れられた」
アレクが言ったその時、

「ほう、これはこれは」
嫌らしい声が響いた。

「両陛下がいなくなられたが、代わりにノルディンとドラフォードの皇太子殿下が牢に入られたか」
そこには王弟ヘンリーと中央師団長がいた。

「王弟殿下。今すぐこのような愚行を止められよ」
オーウェンが言う。

「愚行とな。良く言って頂けた。
我が母の恨み両殿下にもじっくり味わって頂こう」
王弟は笑って言った。


「は?
父と母は助かったが、ノルディンとドラフォードの両皇太子が捕まった?
どういう事だ。ジャルカ」
憤慨したジャンヌは言った。

「ほう?ジャンヌ様もアレク殿下の事が気にかかりますか」
ジャルカはうれしげに言う。

「そういう冗談はどうでも良い。
これは重大な外交問題だぞ」
きっとしてジャンヌが言った。

「申し訳ありません。ウィル殿とアルバート殿にお任せしようとしたのですが、無理やりあのお二人に取られまして」
自分が仕事をふった事は棚に上げてジャルカは二人の誓約書を取り出す。

「あのお二人、どうしてもジャンヌ様とクリス様のお許しを頂きたいようでして
土下座して迫られたので、仕方なしに今回のお仕事お任せしたのですが」
自分から振ったとはおくびにも出さずにジャルカは反省したふりをした。

「あの馬鹿め。明日早朝より総攻撃をかける。
直ちに準備に入れ」
ジャルカは全軍に命じた。

「ライラ、幻覚の打ち合わせを
あの2匹に怪我をさせるわけにはいくまい」

「了解しました。お一人は姫様の想い人ですものね」
嬉々としてライラが言う。

「ライラ!」
「はい。すいません。」
ジャンヌの恐ろしい声に慌ててライラは叫んでいた。
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