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第三章 王弟反逆
国王暗殺される?
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一方王宮では閣議が開かれていた。
「何ヘンリーが来たと!」
国王は驚いて声に出した。
「王弟殿下は領地で謹慎していらっしゃったのでは?」
エルンスト・ミハイル内務卿が不機嫌そうに言った。
相手は愛娘クリスを追い落とす為に暗躍していた親玉と言う認識がある。
娘を溺愛しているエルンストとしては許せる相手ではなかった。
「何でも母上の命日で参られたとか」
報告した侍従が言う。
「そうか、もうそんな日か。」
「一応陛下にご挨拶をと申されておりますが、」
「判った。エリザベス続けておいてくれ」
そう言い残すと、国王は閣議室を出て謁見の間に向かった。
平民出身のヘンリーの母のエイミーは、自分の母にいじめられていたという。
自分の母の侍従が暴走してエイミーを殺害したと。
自分は子供でよく判っていなかったが、それにかこつけて今回の件嫌味を言いに来たのだろうと思うと、国王は少し憂鬱になった。
「陛下、この度はいろいろご迷惑をおかけ致しました。」
その第一声が謝罪だったので国王は驚いた。
「後悔しておるのか」
この傲慢な王弟からこのような言葉が出るとは想像だにしなかった。
「いやあ、クリス嬢は母のようにいじめられていたとか。
陛下の母上のような事を私がしてしまったのだと。」
「・・・・」
やはり、ヘンリーは嫌味な奴だと国王ジョージは思った。
しかし、事実である分、息子である自分は何も言えない。
「昔の母のしでかしたことは私にはどうともいえん。
申し訳無かったとしか言いようがない。」
「謝ってくださるのか」
ニコッと笑ってヘンリーが言った。
「そうするぐらいしかできまいが。」
二人は笑って見つめ合った。
昔はヘンリーとも遊んだものだった。
ヘンリーの母がああなってからはヘンリーから避けてあまり交流が無かったが。
もっとこちらから交流を持てばこうはならなかっただろうか。
国王は後悔した。
「で、兄上、この度の事の責任を取って引退しようと思って今日は参りました。」
「いや、まだ引退するには早かろう」
驚いて国王は言った。
「何をおっしゃいますか。
既に王位継承権も無い。これからは若い世代の世の中です。
私は領地でゆったりとしたいのです。」
首を振ってヘンリーは言った。
権力志向の強い弟がこのような事を言うなど、本来ならばおかしい事だったが、
ヘンリーの母の事に気を取られてしまっていた。
「父からもらったこの王家の宝剣を返納して引退します。
受け取って頂けますか。兄上。」
ヘンリーは宝剣を捧げ持って玉座に近づく。
ジョージの手に渡そうとしたところで、
いきなり宝剣を抜き去った。
「陛下!」
慌てて一部の近衛が駆けだそうとしたが、隣にいた近衛の魔法によって拘束される。
3人の近衛が倒れ込んだ。
次の一瞬にヘンリーの差し出した剣は国王ジョージの胸部に深々と突き刺さっていた。
閣議室では中央師団長のエドウィン・ノーマンに連絡兵が入ってきて書面を渡す。
「王妃殿下。何やら緊急の書面のようです。」
立ち上がってエドウィンはゆっくりと円卓を回って王妃に書面を出そうとする。
何故中央師団長なのかという疑問を抱いたものも多少はいたが、まじめな性格のエドウィンは兵部興のコーフナーとも仲が良く、その行動は予測できなかった。
いきなり書面の代わりにナイフを王妃の首筋に突き立てて、王妃を人質に取った。
「動くな。」
エドウィンは動こうとした将軍たちをけん制する。
皆唖然とした。
エドウィンがこのような事をするなど想像も出来なかったのだ。
外から近衛の兵士たちが剣を抜いて入ってくる。
「エドウィンこれはどうした事だ?」
コーフナーが慌てて聞く。
「全員、王妃殿下の命が惜しければ剣を捨てろ。」
その声を無視してエドウィンは王妃を後ろから羽交い絞めにして剣を首筋に立てる。
エドウィンの目はコーフナーを睨んでいた。
「おい、何を考えている」
「馬鹿な事はやめろ」
将軍たちが口々に言うが、
「うるさいっ。さっさとしろ」
切っ先を王妃の白い首に少し立てる。
「ひいいい」
エリザベスの首筋から血が少し流れた。
「ノーマン、どうして」
王妃は真っ青になりながら言う。
「申し訳ありませんが、少し我慢してください。」
エドウィンは謝った。
呆然とした将軍たちを近衛兵が次々に拘束していく。
「全員拘束したまま地下牢に入れろ」
エドウィンの命令に近衛たちが従う。
「おい、エドウィンどういうつもりだ。」
コーフナーの問いかけにエドウィンは応えなかった。
後ろ手に拘束されたコーフナーたちは呆然として近衛兵に引っ立てられて連れ去られた。
王城は中央師団と一部近衛兵により占拠された。
************************************************
暴風王女、国王と続き次はクリスが襲われます。
しかし、クリスには史上最強の・・・・・
ついにシャラザール来臨?
「何ヘンリーが来たと!」
国王は驚いて声に出した。
「王弟殿下は領地で謹慎していらっしゃったのでは?」
エルンスト・ミハイル内務卿が不機嫌そうに言った。
相手は愛娘クリスを追い落とす為に暗躍していた親玉と言う認識がある。
娘を溺愛しているエルンストとしては許せる相手ではなかった。
「何でも母上の命日で参られたとか」
報告した侍従が言う。
「そうか、もうそんな日か。」
「一応陛下にご挨拶をと申されておりますが、」
「判った。エリザベス続けておいてくれ」
そう言い残すと、国王は閣議室を出て謁見の間に向かった。
平民出身のヘンリーの母のエイミーは、自分の母にいじめられていたという。
自分の母の侍従が暴走してエイミーを殺害したと。
自分は子供でよく判っていなかったが、それにかこつけて今回の件嫌味を言いに来たのだろうと思うと、国王は少し憂鬱になった。
「陛下、この度はいろいろご迷惑をおかけ致しました。」
その第一声が謝罪だったので国王は驚いた。
「後悔しておるのか」
この傲慢な王弟からこのような言葉が出るとは想像だにしなかった。
「いやあ、クリス嬢は母のようにいじめられていたとか。
陛下の母上のような事を私がしてしまったのだと。」
「・・・・」
やはり、ヘンリーは嫌味な奴だと国王ジョージは思った。
しかし、事実である分、息子である自分は何も言えない。
「昔の母のしでかしたことは私にはどうともいえん。
申し訳無かったとしか言いようがない。」
「謝ってくださるのか」
ニコッと笑ってヘンリーが言った。
「そうするぐらいしかできまいが。」
二人は笑って見つめ合った。
昔はヘンリーとも遊んだものだった。
ヘンリーの母がああなってからはヘンリーから避けてあまり交流が無かったが。
もっとこちらから交流を持てばこうはならなかっただろうか。
国王は後悔した。
「で、兄上、この度の事の責任を取って引退しようと思って今日は参りました。」
「いや、まだ引退するには早かろう」
驚いて国王は言った。
「何をおっしゃいますか。
既に王位継承権も無い。これからは若い世代の世の中です。
私は領地でゆったりとしたいのです。」
首を振ってヘンリーは言った。
権力志向の強い弟がこのような事を言うなど、本来ならばおかしい事だったが、
ヘンリーの母の事に気を取られてしまっていた。
「父からもらったこの王家の宝剣を返納して引退します。
受け取って頂けますか。兄上。」
ヘンリーは宝剣を捧げ持って玉座に近づく。
ジョージの手に渡そうとしたところで、
いきなり宝剣を抜き去った。
「陛下!」
慌てて一部の近衛が駆けだそうとしたが、隣にいた近衛の魔法によって拘束される。
3人の近衛が倒れ込んだ。
次の一瞬にヘンリーの差し出した剣は国王ジョージの胸部に深々と突き刺さっていた。
閣議室では中央師団長のエドウィン・ノーマンに連絡兵が入ってきて書面を渡す。
「王妃殿下。何やら緊急の書面のようです。」
立ち上がってエドウィンはゆっくりと円卓を回って王妃に書面を出そうとする。
何故中央師団長なのかという疑問を抱いたものも多少はいたが、まじめな性格のエドウィンは兵部興のコーフナーとも仲が良く、その行動は予測できなかった。
いきなり書面の代わりにナイフを王妃の首筋に突き立てて、王妃を人質に取った。
「動くな。」
エドウィンは動こうとした将軍たちをけん制する。
皆唖然とした。
エドウィンがこのような事をするなど想像も出来なかったのだ。
外から近衛の兵士たちが剣を抜いて入ってくる。
「エドウィンこれはどうした事だ?」
コーフナーが慌てて聞く。
「全員、王妃殿下の命が惜しければ剣を捨てろ。」
その声を無視してエドウィンは王妃を後ろから羽交い絞めにして剣を首筋に立てる。
エドウィンの目はコーフナーを睨んでいた。
「おい、何を考えている」
「馬鹿な事はやめろ」
将軍たちが口々に言うが、
「うるさいっ。さっさとしろ」
切っ先を王妃の白い首に少し立てる。
「ひいいい」
エリザベスの首筋から血が少し流れた。
「ノーマン、どうして」
王妃は真っ青になりながら言う。
「申し訳ありませんが、少し我慢してください。」
エドウィンは謝った。
呆然とした将軍たちを近衛兵が次々に拘束していく。
「全員拘束したまま地下牢に入れろ」
エドウィンの命令に近衛たちが従う。
「おい、エドウィンどういうつもりだ。」
コーフナーの問いかけにエドウィンは応えなかった。
後ろ手に拘束されたコーフナーたちは呆然として近衛兵に引っ立てられて連れ去られた。
王城は中央師団と一部近衛兵により占拠された。
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暴風王女、国王と続き次はクリスが襲われます。
しかし、クリスには史上最強の・・・・・
ついにシャラザール来臨?
応援ありがとうございます!
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