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第二章 大国での失恋
クリスは王妃様のお茶会に呼ばれました
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昼からのお茶会は王妃が親しい10人の夫人を呼んでいた。
「皆さんこちらが隣国のミハイル侯爵家の方々です。」
シャーロットとクリスが行くとすでに全員そろっていた。
長方形のテーブルに王妃の隣にシャーロットがその横にクリスが座る。
「シャーロットミハイルです。本日はお招きいただきありがとうございます」
「同じく、クリスティーナ・ミハイルです。よろしくお願いいたします」
では隣から自己していきますわ。私の左隣が・・・」
順番に紹介していく。
「で最後に私の隣がアルフェスト公爵夫人」
「セナ・アルフェストです。本日はシャーロット夫人と聖女様にお会いできて光栄でございます」
「聖女様?」
クリスはシャーロットと見合わせた。
「はい、マーマレードにてクリスティーナ様は聖女様と呼ばれていると噂にお伺いしました」
「・・・・」
クリスは初めて聞いて困惑した。
「あのうアルフェスト様。うちの娘が聖女と呼ばれていることは無いと思うのですが」
シャーロットが言うと、
「何をおっしゃいます。昨日のパーティでもその話でもちきりでございました」
「一人親の侍女の子供らの面倒を忙しい中見ておられたとか」
「子供の面倒見る為に少し遅刻されただけで、王妃様から折檻されたのに何一つ言い訳されなかったとか」
「子供が熱があるのに働いていた侍女がいるのを知り、自らがその仕事を代わって侍女を帰されたとか」
「私、そのあと怒った王妃様に折檻されて大変だったのに、翌日出てきた侍女には子供が治って良かったわね、と笑っていらっしゃったとお伺いしました」
「皇太子さまが愛人に宝石類を贈る金を捻出するために孤児院なんてつぶしてしまえとおっしゃられたのを身を挺して換言されたとか」
怒涛の如くある事無い事誇張されたことを聞いてクリスらは困惑した。
「あのう、皆様方。私、王妃様や皇太子殿下から酷いことをされたことはございません。今回婚約破棄されたのは、私自身の至らなさが原因ですので」
と自国の王妃と皇太子の為に訂正したのだが、
「はい、聖女様がそう言われるだろうことは皆承知いたしております」
「流石聖女様だと昨日も皆話しておりました」
全く信じてもらえなかった。
「まあまあ、皆さん、クリスが困っているわ」
キャロラインは笑って言った。クリスの人気がここまで高くなっているとは思っていなかった。。今日参加する婦人方には婚約破棄の話はしないように念押ししていたが、このままではまずいと
「それよりもアルフェスト夫人、その着ていらっしゃる斬新な着物だけど…」
話をそらそうとした。
「ありがとうございます。出入りにの商人がマーマレードから持ってきてもらったものなんです。なんでも特殊な染め方をしているとか」
「クリスは知っていて」
「はい、特殊な花を使って染め上げるそうです。
たいそう時間がかかって染め上げるのに1年以上かかるとか」
「そうなのですか。大変長くかかるものなのですね」
「夏の終わりに花が咲くのでそれからが勝負だそうです」
「今は収穫の真っ最中かもしれませんね」
「夏と言えばクリス様はこの王都にはいつ頃まで滞在されるご予定ですの」
話をふったのにまたクリスの話に戻ってしまった。
「私ですか。滞在させていただくのはあと5日くらいかなと思っております」
「まあ、それは残念ですわ。もしよろしければ私ども侯爵家へもいらしていただけたらと思ったものですから」
「あらそれでしたら是非ともうちの公爵家に」
アルフェスト公爵夫人も負けずに言いだす。
「クリス様と同じ年頃の娘がおりまして、出来たらお話ししたいと、今日お会いするとお話ししたらそれはそれは残念がりまして。
昨日のパーティーの時もお話ししたかったようですが、クリス様は忙しそうにしていらっしゃったので、お話しできなかったとか。」
「それは私どもの娘たちも残念がっておりまして」
「次にいらっしゃるのはいつ頃ですか?」
矢継ぎ早に話かけられる。
「それはまだ何とも、この後は学園に帰りまして」
クリスは適当に話を濁すが、
「冬休みにでも、いらっしゃるご予定は?」
「いらっしゃったら是非とも私どものお茶会などにご参加賜ればと」
次々と誘いがかかる。
「まあ、次にお邪魔することがあればぜひお誘いください」
「まあ、それは残念ですわ」
「ところで昨日つけておられて飾りはバーミンガム公爵に渡していらっしゃいましたが」
一人が王家の忠誠の誓いの飾りの件を持ち出す。
キャロルはそれには触れられたくなかったが、それとなく隣のセナ・アルフェスト公爵夫人に目で合図するが公爵夫人は首を振って笑った。
「はい。あれは皇太子殿下にお借りしていただけなので」
「まあ、皇太子殿下から譲り受けられたわけではございませんの」
皆の視線が一斉に王妃に突き刺さる。
えっ私?
王妃はびっくりした。
何だろうこの感じ。
「クリス様。このドラフォードご訪問いただいていかがですか?」
「はい。王妃様はじめ皆様にはとても親切にしていただいてとても過ごしやすくさせて頂いております」
クリスは一同を見渡して応えた。
「ここにおります一同、出来たらクリス様をこの国にお迎え出来ればなあと希望しておりますの」
「学園を卒業されたなら、是非ともこの国に来ていただけたらなあと」
「ここにいる一同困ったことがあれば必ずクリス様のお力になりますゆえ、是非とも御勘案下さいませ」
「なんだかなあ」
王妃は疲れ切っていた。
あの後、アルフェスト公爵夫人から直接直談判されたのだが、
「王妃様。ご存知ですか。巷では皇太子殿下のクリス様とのご婚約の事が噂になっていることを」
「えっ噂になっているの?」
「はい。酷い目に会って婚約破棄されてマーマレードの皇太子に折檻されそうになったのを皇太子殿下が身をもって助けられて婚約申し込みされて、クリス様は感激されて受けられたと」
「でも、セナ、婚約破棄された時に婚姻を申し込むなんて」
「されましたよね。ノルディンの皇太子に邪魔されましたけど」
笑ってアルフェスト公爵夫人が言う。
「そう聞いているわ」
仕方なしにキャロルは頷く。
「巷の噂では、クリス様は聖女の再来であると。それを守った皇太子殿下も素晴らしい。このドラフォードの誇りだと皇太子殿下の人気もうなぎのぼりです」
「でもあなたのところの娘も皇太子妃候補だったと思うのだけどそれで良いの?」
「娘なんてクリス様の噂にもう首ったけなんです。
特にキャロル様の妹君から厳しくされて寝る間も無い時に、いじめられている戦災孤児の男の子に電話して
あなたのお父さんがいてくれたから私達が生きていられるの。
あなたのお父さんは素晴らしいわ。
と鼓舞されたところなんか、私娘に聞いていて思わず涙してしまいました。
その子はクリス様を守るためにお父さんを継いで戦士になるって宣言したのに、
私はその約束を守れなくなったって嘆いていらっしゃるところなんかも」
恍惚して話すセナにキャロルは少し引き気味だ。
そこまで巷に噂になっているとは思っていなかった。
「何でも酷いことをした皇太子殿下はそのままで、クリス様を罰するという話が王弟殿下から出たそうですけど、そんなことをするなら辞めるとすべての侍女が辞表を出したとか、
他の噂はその噂を聞いた一般兵士から突き上げを喰らって将軍たちが辞表を提出してやっと皇太子廃嫡が決まったとかいうのもあります」
「他国もその噂を聞きつけて必死にアプローチしているんだとか。既に王族だけで20か国くらいがクリス様にアプローチしているんだとか。その人気のクリス様がこの地を訪問された事で巷はオーウェン皇太子殿下がこの競争を勝ち抜きクリス様を手に入れたと歓迎ムード一色です。
今日お話しした感じでもとても思慮深い方ですし、下々の人気もとても高いです。
昨日のパーティーではあの短時間に反対派をことごとく取り込まれた手腕も素晴らしいと存じますが」
普段は控えめなセナがここまで言うのだ。
クリスを取り込むことが出来ないとキャロルとしても針の筵になりそうなことは予感できた。
「ありがとうセナ。今は婚約破棄されたところですぐには無理でも皆さんの期待は判りました」
キャロルは笑って言った。
セナとキャロルは昔、マーマレードの王立学園で一緒に学んだ仲だった。マーマレードの王立学園は昔から科学立国のマーマレードのシンボルでもあり、他国の子女の多くも通っていた。
「後は他国からの邪魔立てにお気を付けください。
今もノルディンが必死に邪魔しようとしているとか聞き及びました。そこはお気を付けください」
最後にセナは今国王とノルディンの皇太子がしようとしていることに釘をさした。
(でも、もう絶対に止められないわよね。
そこは諦めてもらうしかないのだけれど)
キャロルはまだ浅はかにもそう考えていた。
「皆さんこちらが隣国のミハイル侯爵家の方々です。」
シャーロットとクリスが行くとすでに全員そろっていた。
長方形のテーブルに王妃の隣にシャーロットがその横にクリスが座る。
「シャーロットミハイルです。本日はお招きいただきありがとうございます」
「同じく、クリスティーナ・ミハイルです。よろしくお願いいたします」
では隣から自己していきますわ。私の左隣が・・・」
順番に紹介していく。
「で最後に私の隣がアルフェスト公爵夫人」
「セナ・アルフェストです。本日はシャーロット夫人と聖女様にお会いできて光栄でございます」
「聖女様?」
クリスはシャーロットと見合わせた。
「はい、マーマレードにてクリスティーナ様は聖女様と呼ばれていると噂にお伺いしました」
「・・・・」
クリスは初めて聞いて困惑した。
「あのうアルフェスト様。うちの娘が聖女と呼ばれていることは無いと思うのですが」
シャーロットが言うと、
「何をおっしゃいます。昨日のパーティでもその話でもちきりでございました」
「一人親の侍女の子供らの面倒を忙しい中見ておられたとか」
「子供の面倒見る為に少し遅刻されただけで、王妃様から折檻されたのに何一つ言い訳されなかったとか」
「子供が熱があるのに働いていた侍女がいるのを知り、自らがその仕事を代わって侍女を帰されたとか」
「私、そのあと怒った王妃様に折檻されて大変だったのに、翌日出てきた侍女には子供が治って良かったわね、と笑っていらっしゃったとお伺いしました」
「皇太子さまが愛人に宝石類を贈る金を捻出するために孤児院なんてつぶしてしまえとおっしゃられたのを身を挺して換言されたとか」
怒涛の如くある事無い事誇張されたことを聞いてクリスらは困惑した。
「あのう、皆様方。私、王妃様や皇太子殿下から酷いことをされたことはございません。今回婚約破棄されたのは、私自身の至らなさが原因ですので」
と自国の王妃と皇太子の為に訂正したのだが、
「はい、聖女様がそう言われるだろうことは皆承知いたしております」
「流石聖女様だと昨日も皆話しておりました」
全く信じてもらえなかった。
「まあまあ、皆さん、クリスが困っているわ」
キャロラインは笑って言った。クリスの人気がここまで高くなっているとは思っていなかった。。今日参加する婦人方には婚約破棄の話はしないように念押ししていたが、このままではまずいと
「それよりもアルフェスト夫人、その着ていらっしゃる斬新な着物だけど…」
話をそらそうとした。
「ありがとうございます。出入りにの商人がマーマレードから持ってきてもらったものなんです。なんでも特殊な染め方をしているとか」
「クリスは知っていて」
「はい、特殊な花を使って染め上げるそうです。
たいそう時間がかかって染め上げるのに1年以上かかるとか」
「そうなのですか。大変長くかかるものなのですね」
「夏の終わりに花が咲くのでそれからが勝負だそうです」
「今は収穫の真っ最中かもしれませんね」
「夏と言えばクリス様はこの王都にはいつ頃まで滞在されるご予定ですの」
話をふったのにまたクリスの話に戻ってしまった。
「私ですか。滞在させていただくのはあと5日くらいかなと思っております」
「まあ、それは残念ですわ。もしよろしければ私ども侯爵家へもいらしていただけたらと思ったものですから」
「あらそれでしたら是非ともうちの公爵家に」
アルフェスト公爵夫人も負けずに言いだす。
「クリス様と同じ年頃の娘がおりまして、出来たらお話ししたいと、今日お会いするとお話ししたらそれはそれは残念がりまして。
昨日のパーティーの時もお話ししたかったようですが、クリス様は忙しそうにしていらっしゃったので、お話しできなかったとか。」
「それは私どもの娘たちも残念がっておりまして」
「次にいらっしゃるのはいつ頃ですか?」
矢継ぎ早に話かけられる。
「それはまだ何とも、この後は学園に帰りまして」
クリスは適当に話を濁すが、
「冬休みにでも、いらっしゃるご予定は?」
「いらっしゃったら是非とも私どものお茶会などにご参加賜ればと」
次々と誘いがかかる。
「まあ、次にお邪魔することがあればぜひお誘いください」
「まあ、それは残念ですわ」
「ところで昨日つけておられて飾りはバーミンガム公爵に渡していらっしゃいましたが」
一人が王家の忠誠の誓いの飾りの件を持ち出す。
キャロルはそれには触れられたくなかったが、それとなく隣のセナ・アルフェスト公爵夫人に目で合図するが公爵夫人は首を振って笑った。
「はい。あれは皇太子殿下にお借りしていただけなので」
「まあ、皇太子殿下から譲り受けられたわけではございませんの」
皆の視線が一斉に王妃に突き刺さる。
えっ私?
王妃はびっくりした。
何だろうこの感じ。
「クリス様。このドラフォードご訪問いただいていかがですか?」
「はい。王妃様はじめ皆様にはとても親切にしていただいてとても過ごしやすくさせて頂いております」
クリスは一同を見渡して応えた。
「ここにおります一同、出来たらクリス様をこの国にお迎え出来ればなあと希望しておりますの」
「学園を卒業されたなら、是非ともこの国に来ていただけたらなあと」
「ここにいる一同困ったことがあれば必ずクリス様のお力になりますゆえ、是非とも御勘案下さいませ」
「なんだかなあ」
王妃は疲れ切っていた。
あの後、アルフェスト公爵夫人から直接直談判されたのだが、
「王妃様。ご存知ですか。巷では皇太子殿下のクリス様とのご婚約の事が噂になっていることを」
「えっ噂になっているの?」
「はい。酷い目に会って婚約破棄されてマーマレードの皇太子に折檻されそうになったのを皇太子殿下が身をもって助けられて婚約申し込みされて、クリス様は感激されて受けられたと」
「でも、セナ、婚約破棄された時に婚姻を申し込むなんて」
「されましたよね。ノルディンの皇太子に邪魔されましたけど」
笑ってアルフェスト公爵夫人が言う。
「そう聞いているわ」
仕方なしにキャロルは頷く。
「巷の噂では、クリス様は聖女の再来であると。それを守った皇太子殿下も素晴らしい。このドラフォードの誇りだと皇太子殿下の人気もうなぎのぼりです」
「でもあなたのところの娘も皇太子妃候補だったと思うのだけどそれで良いの?」
「娘なんてクリス様の噂にもう首ったけなんです。
特にキャロル様の妹君から厳しくされて寝る間も無い時に、いじめられている戦災孤児の男の子に電話して
あなたのお父さんがいてくれたから私達が生きていられるの。
あなたのお父さんは素晴らしいわ。
と鼓舞されたところなんか、私娘に聞いていて思わず涙してしまいました。
その子はクリス様を守るためにお父さんを継いで戦士になるって宣言したのに、
私はその約束を守れなくなったって嘆いていらっしゃるところなんかも」
恍惚して話すセナにキャロルは少し引き気味だ。
そこまで巷に噂になっているとは思っていなかった。
「何でも酷いことをした皇太子殿下はそのままで、クリス様を罰するという話が王弟殿下から出たそうですけど、そんなことをするなら辞めるとすべての侍女が辞表を出したとか、
他の噂はその噂を聞いた一般兵士から突き上げを喰らって将軍たちが辞表を提出してやっと皇太子廃嫡が決まったとかいうのもあります」
「他国もその噂を聞きつけて必死にアプローチしているんだとか。既に王族だけで20か国くらいがクリス様にアプローチしているんだとか。その人気のクリス様がこの地を訪問された事で巷はオーウェン皇太子殿下がこの競争を勝ち抜きクリス様を手に入れたと歓迎ムード一色です。
今日お話しした感じでもとても思慮深い方ですし、下々の人気もとても高いです。
昨日のパーティーではあの短時間に反対派をことごとく取り込まれた手腕も素晴らしいと存じますが」
普段は控えめなセナがここまで言うのだ。
クリスを取り込むことが出来ないとキャロルとしても針の筵になりそうなことは予感できた。
「ありがとうセナ。今は婚約破棄されたところですぐには無理でも皆さんの期待は判りました」
キャロルは笑って言った。
セナとキャロルは昔、マーマレードの王立学園で一緒に学んだ仲だった。マーマレードの王立学園は昔から科学立国のマーマレードのシンボルでもあり、他国の子女の多くも通っていた。
「後は他国からの邪魔立てにお気を付けください。
今もノルディンが必死に邪魔しようとしているとか聞き及びました。そこはお気を付けください」
最後にセナは今国王とノルディンの皇太子がしようとしていることに釘をさした。
(でも、もう絶対に止められないわよね。
そこは諦めてもらうしかないのだけれど)
キャロルはまだ浅はかにもそう考えていた。
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