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布団の中で子犬を抱いて、昼間あったことに悔し涙を流しました
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「ころちゃん、ごめんなさいね」
私は部屋に帰るなり、ころちゃんを抱きしめたのだ。
「くうーん」
ころちゃんは私の顔をペロポロ舐めてくれた。
「ああん、有難う、ころちゃん」
私はそんなころちゃんを胸にぎゅっと抱きしめた。
「姫様、玉座の間から出られてからお元気がございませんでしたが、どうされたのですか?」
侍女のサーヤが心配して聞いてくれた。
玉座の間にサーヤは入れなかったから、ドーラの振る舞いを見ていないのだ。
部屋から出てきた私が、静かだったのを不審に思っていたみたいだ。
私が中であったことを説明すると、
「何ですって! あのヘボ金ピカ夫人! あろうことかノース帝国の皇帝の力を使って、この可愛いころちゃんを殺そうとしたってことですか!」
「しーーーー、サーヤ、声がでかい」
私は大声で叫ぶサーヤを窘めた。
この王宮内とはいえども、どこに宰相のスパイがいるか判ったものではなかった。
「申し訳ありません、姫様。しかし、あの鬼ババア! いくら、自分が犬が嫌いだって、この可愛い子犬のころちゃんを殺そうだなんて、なんてことを考えるのですか」
サーヤは怒り心頭だった。
「私がその場にいたら発狂して靴を顔にぶつけるところでしたわ」
サーヤは本当に切れていた。
「わんわん!」
ころちゃんもサーヤに頷くように吠えてくれた。
「まあ、サウス帝国のフェルナンド様が助け舟を出して頂けたので、私が謝るだけで済んだけど」
「なんですって? 姫様は臣下の妻に頭を下げさせられたのですか」
更に目を吊り上げてサーヤが怒りだした。
「まあ、ころちゃんを殺されるよりはましだから」
私が言い訳をすると、
「しかし、姫様はこの王国の中では国王陛下の次に至高な存在のはずなんです。なのにあんな夫人に頭を下げさせるなんて、なんてことなんですか!」
「まあ、サーヤ、相手は帝国の元皇女殿下なんだから」
「たとえ元は皇女殿下とはいえ、今は臣下の妻ではないですか。臣下の妻が頭を下げさすなど言語道断です。あのサウスの皇子もアレイダと婚約するという噂がもっぱらですからね。姫様に頭を下げさすために、一芝居打ったのかもしれませんね」
サーヤはフェルナンドのことも宰相側の人間だと疑っているみたいだった。
まあ、しかし、今回のことは善意から出たものだと私は思いたかった。
別れ際にフェルナンドが少し笑ってくれたような気がしたのだ。
「姫様は甘いです! この世界は陰謀が渦巻いているのです。全てのことは疑ってかからないと」
侍女のサーヤの言うことも最もだったが、帝国の王子殿下まで疑うのはどうかと思う。
「まあ、私が謝るこどで、二度と夫人の前にころちゃんを出さないって事でなんとか丸く収まったんだから、それで良しとしましょうよ」
私は言い聞かせた。
「いえ、姫様。謝るのは私達の方です。
私達臣下がもっとしっかりしていたら姫様があんな高慢ちきな女に頭を下げることもなかったのです。申し訳ありません」
サーヤが頭を下げてくれた。
「ううん。私がもっと強気で話せばよかったのかもしれないわ」
私は首を振った。本来王女が頭を下げるということは余程のことなのだ。サーヤの言う通り、早まったのかもしれない。
私ももう少し慎重にならねばと私は反省したのだ。
その日は疲れたので早めに食事をとって、布団に入った。
「ごめんね。ころちゃん。頼りない王女で」
私は布団の中でころちゃんを抱きしめつつ、涙が溢れてきた。
「くうーーーーん」
ころちゃんは私を慰めるように顔をペロペロ舐めてくれた。
「私がもっとしっかりしていれば、ドーラにころちゃんを殺せなど言われなかったわ。あなたがドーラに吠えた時に注意すればよかったのよ」
「くうーんくうーん!」
ころちゃんは私の鼻をペロペロ舐めてくれた。
吠えたのはころちゃんが悪かったって謝ってくれているみたいだった。
「ううん、ころちゃんは悪くないのよ。子犬は吠えるのが当たり前だし、一人前の犬でも誰彼構わず吠える犬もいるんだから」
私はころちゃんをぎゅっと抱きしめたのだ。
私はころちゃんをもふもふして堪能しつつ、昼間のことを思い出したら涙が出てきた。
考えたら本当にサーヤの言う通りで、本来ならば臣下の言う事など王女が聞く必要はないのだ。
でも、大きな権力を持っている宰相の言葉を気にしつつ、即座に否定する事が出来なのも事実だった。
お父様でもとても宰相には気を使っているのだ。
我慢せねばと思うのだが、涙が止まらなくなってしまった。
「くうーん」
ころちゃんはそう鳴くと私の涙をペロペロ舌で舐めてくれた。
「有難う、ころちゃん」
私はそう言ってころちゃんを抱きしめた。
涙が更にポロポロ出てきた。
「頼りない、王女でごめんなさい」
私は何故か涙が止まらなくなった。
必死に涙をころちゃんが舐めてくれたが、止まらなかった。
ころちゃんを抱きしめながら、私は泣きながら寝てしまったのだ。
私はその涙を誰にも見られていないと思っていたのだ。
そう、ころちゃん以外には……
***************************************
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
続きは夜です。
次はヒーロー視点です。
お楽しみに!
続きが気になる方はお気に入り登録、感想等をして頂けたら嬉しいです(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾
私は部屋に帰るなり、ころちゃんを抱きしめたのだ。
「くうーん」
ころちゃんは私の顔をペロポロ舐めてくれた。
「ああん、有難う、ころちゃん」
私はそんなころちゃんを胸にぎゅっと抱きしめた。
「姫様、玉座の間から出られてからお元気がございませんでしたが、どうされたのですか?」
侍女のサーヤが心配して聞いてくれた。
玉座の間にサーヤは入れなかったから、ドーラの振る舞いを見ていないのだ。
部屋から出てきた私が、静かだったのを不審に思っていたみたいだ。
私が中であったことを説明すると、
「何ですって! あのヘボ金ピカ夫人! あろうことかノース帝国の皇帝の力を使って、この可愛いころちゃんを殺そうとしたってことですか!」
「しーーーー、サーヤ、声がでかい」
私は大声で叫ぶサーヤを窘めた。
この王宮内とはいえども、どこに宰相のスパイがいるか判ったものではなかった。
「申し訳ありません、姫様。しかし、あの鬼ババア! いくら、自分が犬が嫌いだって、この可愛い子犬のころちゃんを殺そうだなんて、なんてことを考えるのですか」
サーヤは怒り心頭だった。
「私がその場にいたら発狂して靴を顔にぶつけるところでしたわ」
サーヤは本当に切れていた。
「わんわん!」
ころちゃんもサーヤに頷くように吠えてくれた。
「まあ、サウス帝国のフェルナンド様が助け舟を出して頂けたので、私が謝るだけで済んだけど」
「なんですって? 姫様は臣下の妻に頭を下げさせられたのですか」
更に目を吊り上げてサーヤが怒りだした。
「まあ、ころちゃんを殺されるよりはましだから」
私が言い訳をすると、
「しかし、姫様はこの王国の中では国王陛下の次に至高な存在のはずなんです。なのにあんな夫人に頭を下げさせるなんて、なんてことなんですか!」
「まあ、サーヤ、相手は帝国の元皇女殿下なんだから」
「たとえ元は皇女殿下とはいえ、今は臣下の妻ではないですか。臣下の妻が頭を下げさすなど言語道断です。あのサウスの皇子もアレイダと婚約するという噂がもっぱらですからね。姫様に頭を下げさすために、一芝居打ったのかもしれませんね」
サーヤはフェルナンドのことも宰相側の人間だと疑っているみたいだった。
まあ、しかし、今回のことは善意から出たものだと私は思いたかった。
別れ際にフェルナンドが少し笑ってくれたような気がしたのだ。
「姫様は甘いです! この世界は陰謀が渦巻いているのです。全てのことは疑ってかからないと」
侍女のサーヤの言うことも最もだったが、帝国の王子殿下まで疑うのはどうかと思う。
「まあ、私が謝るこどで、二度と夫人の前にころちゃんを出さないって事でなんとか丸く収まったんだから、それで良しとしましょうよ」
私は言い聞かせた。
「いえ、姫様。謝るのは私達の方です。
私達臣下がもっとしっかりしていたら姫様があんな高慢ちきな女に頭を下げることもなかったのです。申し訳ありません」
サーヤが頭を下げてくれた。
「ううん。私がもっと強気で話せばよかったのかもしれないわ」
私は首を振った。本来王女が頭を下げるということは余程のことなのだ。サーヤの言う通り、早まったのかもしれない。
私ももう少し慎重にならねばと私は反省したのだ。
その日は疲れたので早めに食事をとって、布団に入った。
「ごめんね。ころちゃん。頼りない王女で」
私は布団の中でころちゃんを抱きしめつつ、涙が溢れてきた。
「くうーーーーん」
ころちゃんは私を慰めるように顔をペロペロ舐めてくれた。
「私がもっとしっかりしていれば、ドーラにころちゃんを殺せなど言われなかったわ。あなたがドーラに吠えた時に注意すればよかったのよ」
「くうーんくうーん!」
ころちゃんは私の鼻をペロペロ舐めてくれた。
吠えたのはころちゃんが悪かったって謝ってくれているみたいだった。
「ううん、ころちゃんは悪くないのよ。子犬は吠えるのが当たり前だし、一人前の犬でも誰彼構わず吠える犬もいるんだから」
私はころちゃんをぎゅっと抱きしめたのだ。
私はころちゃんをもふもふして堪能しつつ、昼間のことを思い出したら涙が出てきた。
考えたら本当にサーヤの言う通りで、本来ならば臣下の言う事など王女が聞く必要はないのだ。
でも、大きな権力を持っている宰相の言葉を気にしつつ、即座に否定する事が出来なのも事実だった。
お父様でもとても宰相には気を使っているのだ。
我慢せねばと思うのだが、涙が止まらなくなってしまった。
「くうーん」
ころちゃんはそう鳴くと私の涙をペロペロ舌で舐めてくれた。
「有難う、ころちゃん」
私はそう言ってころちゃんを抱きしめた。
涙が更にポロポロ出てきた。
「頼りない、王女でごめんなさい」
私は何故か涙が止まらなくなった。
必死に涙をころちゃんが舐めてくれたが、止まらなかった。
ころちゃんを抱きしめながら、私は泣きながら寝てしまったのだ。
私はその涙を誰にも見られていないと思っていたのだ。
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