51 / 59
第5章 17歳の愛し子
14
しおりを挟む
王女殿下に会場から連れ出されたクリスは王女から「先に行っていて」と紹介された女性の使用人について控室の一つに入った。案内してくれた使用人に「私は外でお待ちしております」と言われて一人にされたとき、急に不安がこみ上げてきた。
必ず信頼する相手と行動するように、人目のある場所にいるように、と言われていたのに王女殿下のお誘いとはいえ一人になってしまった…。
舞踏会場の物音が一切届かず、部屋が静まり返っていることも不気味さを増す。
「フィフィ、出てきてくれない?」
耐えきれなくなったクリスがそう問いかけると肩に黒猫が現れた。
『不安がたくさん漏れてきてるわよ、クリス。』
「どうしよう。お姉さまにも神官長たちにも言われていたのに、一人になってしまったわ。さっきの侍女におかしなところはなかったわよね?」
『ええ。ただ命令に忠実に、仕事をしていただけよ。今も、扉の前にいるわ。…あら?』
「どうしたの?」
『何か悪意を持った存在がこちらに近づいてくるわ。』
感情の精霊であるフィフィの能力を借りているだけのクリスは視界に入っている人物の感情しか読み取れないが、フィフィは視界に存在を認めていなくとも近づく人物の感情を察知できる。
『クリスが危険??』
『大変??』
『僕たちが扉の前のやつをやっつけようか??』
そう問いかけるのは会場からクリスについてきた歌の精霊たちだ。ハチドリのように羽ばたく鳥型の光の精霊の姿もある。
「もし、私が危ないと思ったら、お願いするわ。」
『私が指示を出すわね。』
精霊たちは『わかったー!!』と言ってクリスの周りをぶんぶんと飛び回る。精霊たちにできるのはせいぜい目くらましなのだが、逃げる時間ぐらいは作れるだろう。
クリスは、きっと大丈夫だと震える手を握りしめた。だって王女殿下本人に呼ばれてこの部屋に来たのだ。何か楽しそうな感情は伝わってきたが、クリスに対する悪意はなかった。それにコンスタンス王女殿下は姉のアリシラローズの親友である。その意味でもクリスを害するはずがない。
しかし、王女殿下はお忙しい方だ。ちょっと目を離した隙に、他の悪意が自分に迫ってきているのだとしたら?
『あ、侍女が扉の前から移動するわ。何か別の仕事を言いつけられたみたい。代わりに来た人物が護衛を代わっているわ。』
見知らぬ人物が扉の前にいる。恐怖に心臓がドクン、ドクン、と大きな音を立てる。脳裏に浮かぶのは黒髪の幼馴染の顔だ。…ヒューゴ、助けに来て。そう強く心に願ったとき、扉のノブが回り、ゆっくりと扉が開いた。
現れたのは白騎士の制服を着た青年だった。以前、マルシャローズの下を訪ねた時にもいたマルシャローズの専任護衛のイケメン騎士の一人である。
「あなたは、マルシャお姉さまの護衛の?」
白騎士の青年は恐ろしいほどの無表情から急に笑顔を作ってこちらに歩いてきて一礼した。
「クリスローズ様。マルシャローズ様より命じられて参りました。」
「マルシャお姉さまが何をご命じになったの?」
「クリスローズ様の身に危険があってはいけないからと、一人になった際には護衛にあたるようにと。大聖女様付きの白騎士のレオと申します。」
「そう、レオ。では部屋の外で護衛をお願いするわ。」
声が震えないように注意しながら怪しい白騎士であるレオを部屋の外に追い出そうとするが、レオは止まらずにクリスに歩み寄りその腕をつかんだ。
「…放しなさい。」
振りほどいてやろうか、とレオを睨みつけると、レオが気持ちの悪い顔でにたりと笑った。先ほどから漏れ出ていた悪意にクリスの全身を舐めるように見る視線が加わり、マルシャローズの専任ということで顔はきれいなのだが、クリスにとってはひたすらに気持ち悪い。
「クリスローズ様のようにお美しい方を妻にできるだなんて光栄です。」
「…何を言っているの?」
「マルシャローズ様がおっしゃったのです、クリスローズ様も素敵な白騎士の青年との結婚を夢見ていらっしゃったけれど、大聖女のスペアとしてそれは許されないのだと。そのような状況の中で夢をかなえるには白騎士との間に子供を作ってしまうしかないと言って私に子ができやすくなる薬をくださいました。」
レオは興奮しているのか顔を赤らめて夢見心地で喋っている。伝わってくる幸せそうな感情がクリスには得体がしれなくて気持ちが悪い。
「…私は白騎士との結婚など夢見ていないわ。」
「大切にしますから、クリスローズ様。私に全てをお委ねください。」
全くクリスの話を聞いていないレオは嬉しそうな表情で懐から毒々しい赤い液体の入った小瓶を取り出してクリスに見せる。
「この薬には媚薬効果もあり、素敵な一夜をクリスローズ様に……。」
…もうだめだ!気持ち悪い!
クリスがつかまれている腕を強化して渾身を超える力でレオの手を振りほどいたのと同時に、『今よ!』というフィフィの合図で周囲の精霊たちが一斉にレオに襲い掛かる。激しい目くらまし攻撃を受けたレオが「うわあ!」という声をあげてその場に倒れるのを聞きながらクリスは半分開いている扉に全力疾走だ。
『クリス!助けが来てるわよ!』
というフィフィの声と同時にヒールで身体強化してドレスを持ちあげながら走っていたクリスはたくましい腕に抱きしめられた。
「クリス!無事か!?」
とっさに逃げようとしたが、慣れ親しんだ声にパッと相手の顔を見上げて、思わず安堵のため息をついた。
「ヒューゴ…。」
「何があっても俺が守ってやるから、もう大丈夫だ。」
ヒューゴは油断なく周囲に視線を配りながらクリスを少し強めの力で抱きしめてくれている。どうやらヒューゴはクリスを見失っていたらしく、とても不安になっていたようで、クリスの存在を腕の中に確かめることで徐々に落ち着いていくのがわかった。
同じようにクリスの心も落ち着いていく。
「お、王女殿下に誘われて、控室で待っているように言われて、待っていたら白騎士が入ってきて…。私と結婚するために妊娠させるしかないってマルシャお姉さまに薬をもらったって…。」
向けられた感情の気持ち悪さを思い出して思わず涙ぐむが、泣いてしまっては化粧が崩れる。ここはぐっと我慢したかったがヒューゴの腕の中に安心してしまい、一筋の涙がこぼれた。
「あの部屋だな?」
クリスを背にかばいながら油断なくヒューゴが部屋の中をのぞき、「なんだこれ…」と困惑の声をあげた。声につられてクリスが顔をあげると大量の精霊が雪崩のように部屋の中に入っていくのが見えた。
『こいつがクリスを泣かせた!!』
『やっつけろ!!』
『明日は拝ませないぜ!!!』
何やら物騒な声も聞こえるが、どうやら部屋の外にも大量の精霊がいたらしく、中でクリスを助けて白騎士を襲っていた精霊の助太刀に次から次へと突進しているらしい。
クリスには大量の精霊に囲まれた何かが見えるだけで、中で何が起きているかわからなかった。
「精霊が…、私の代わりに攻撃してくれているみたい。数が多くて何が起きているのかわからないけれど。」
「俺には白騎士が両目を手でおさえながらも床の上で悶えているのが見えるよ。魚みたいに飛び跳ねたりもしてる。」
そこにバタバタと先ほどの侍女を引き連れた王女殿下が登場した。後ろには近衛騎士の護衛もいる。
「王家の影から全てを聞いたわ。クリスちゃんは無事?」
「は、はい。」
「ちょっと泣かせてしまったわね。ごめんなさい。」
王女殿下からは申し訳なさそうな気持ちが伝わってきた。クリスを一人で放置して危険な目に合わせたことを悔いているのだろうか。ヒューゴからは渋い感情が伝わってくるが…。
「この白騎士が、大聖女様に命令されてあなたを媚薬を使って襲わせようとしたことは全て聞いたわ。連行してちょうだい。……この騎士は大丈夫なの?」
クリスが精霊たちに「もういいわ」と声をかけると精霊たちが一斉に白騎士のそばを離れて、みんなに見えていた奇行が止まった。
近衛騎士たちが手早く白騎士を拘束し、どこかへ連れて行く。
「クリスちゃんはお化粧をちょっと直してもらってきなさい。優秀なヒューゴ・クレマン騎士は護衛をお願いね。彼女の侍女を呼んできているから。
終わったらすぐに舞踏会場に戻ってきてちょうだい。」
「かしこまりました。」
何やら指示を出しながら去っていく王女殿下にヒューゴは難しい顔だ。
「ヒューゴ、助けに来てくれてありがとう。」
「いや…、俺は一度王女殿下に撒かれたんだ。クリスからもらったこれがなかったら、見つけられていなかったよ。」
そう言って胸ポケットから取り出したのはヒューゴにクリスが贈った寄り添う黒と白の鳥の刺繍のハンカチだ。
「このハンカチがクリスに近づくと熱くなるんだ。まるで居場所を教えてくれるように。」
ハンカチには『ヒューゴが必ず私のところに帰ってきますように』と願いを込めた。その願いがそのような形で力を発揮したのだろうか。
「…私もずっと『ヒューゴ、助けて』って思っていたから、ヒューゴを呼べたのかもしれないね。実はその刺繍の白い鳥が私で黒い鳥がヒューゴなの。」
そう言ってクリスは再びヒューゴに抱き着いた。そうするとクリスの額がヒューゴの鎖骨のところにあたって、ヒールを履いている分、いつもよりヒューゴの顔が近い。ヒューゴも抱きしめ返してくれた。
「…そうなんじゃないかって思っていたよ。」
かけつけたヤスミンに化粧と髪形を手早く直してもらい、クリスは会場へ戻った。
必ず信頼する相手と行動するように、人目のある場所にいるように、と言われていたのに王女殿下のお誘いとはいえ一人になってしまった…。
舞踏会場の物音が一切届かず、部屋が静まり返っていることも不気味さを増す。
「フィフィ、出てきてくれない?」
耐えきれなくなったクリスがそう問いかけると肩に黒猫が現れた。
『不安がたくさん漏れてきてるわよ、クリス。』
「どうしよう。お姉さまにも神官長たちにも言われていたのに、一人になってしまったわ。さっきの侍女におかしなところはなかったわよね?」
『ええ。ただ命令に忠実に、仕事をしていただけよ。今も、扉の前にいるわ。…あら?』
「どうしたの?」
『何か悪意を持った存在がこちらに近づいてくるわ。』
感情の精霊であるフィフィの能力を借りているだけのクリスは視界に入っている人物の感情しか読み取れないが、フィフィは視界に存在を認めていなくとも近づく人物の感情を察知できる。
『クリスが危険??』
『大変??』
『僕たちが扉の前のやつをやっつけようか??』
そう問いかけるのは会場からクリスについてきた歌の精霊たちだ。ハチドリのように羽ばたく鳥型の光の精霊の姿もある。
「もし、私が危ないと思ったら、お願いするわ。」
『私が指示を出すわね。』
精霊たちは『わかったー!!』と言ってクリスの周りをぶんぶんと飛び回る。精霊たちにできるのはせいぜい目くらましなのだが、逃げる時間ぐらいは作れるだろう。
クリスは、きっと大丈夫だと震える手を握りしめた。だって王女殿下本人に呼ばれてこの部屋に来たのだ。何か楽しそうな感情は伝わってきたが、クリスに対する悪意はなかった。それにコンスタンス王女殿下は姉のアリシラローズの親友である。その意味でもクリスを害するはずがない。
しかし、王女殿下はお忙しい方だ。ちょっと目を離した隙に、他の悪意が自分に迫ってきているのだとしたら?
『あ、侍女が扉の前から移動するわ。何か別の仕事を言いつけられたみたい。代わりに来た人物が護衛を代わっているわ。』
見知らぬ人物が扉の前にいる。恐怖に心臓がドクン、ドクン、と大きな音を立てる。脳裏に浮かぶのは黒髪の幼馴染の顔だ。…ヒューゴ、助けに来て。そう強く心に願ったとき、扉のノブが回り、ゆっくりと扉が開いた。
現れたのは白騎士の制服を着た青年だった。以前、マルシャローズの下を訪ねた時にもいたマルシャローズの専任護衛のイケメン騎士の一人である。
「あなたは、マルシャお姉さまの護衛の?」
白騎士の青年は恐ろしいほどの無表情から急に笑顔を作ってこちらに歩いてきて一礼した。
「クリスローズ様。マルシャローズ様より命じられて参りました。」
「マルシャお姉さまが何をご命じになったの?」
「クリスローズ様の身に危険があってはいけないからと、一人になった際には護衛にあたるようにと。大聖女様付きの白騎士のレオと申します。」
「そう、レオ。では部屋の外で護衛をお願いするわ。」
声が震えないように注意しながら怪しい白騎士であるレオを部屋の外に追い出そうとするが、レオは止まらずにクリスに歩み寄りその腕をつかんだ。
「…放しなさい。」
振りほどいてやろうか、とレオを睨みつけると、レオが気持ちの悪い顔でにたりと笑った。先ほどから漏れ出ていた悪意にクリスの全身を舐めるように見る視線が加わり、マルシャローズの専任ということで顔はきれいなのだが、クリスにとってはひたすらに気持ち悪い。
「クリスローズ様のようにお美しい方を妻にできるだなんて光栄です。」
「…何を言っているの?」
「マルシャローズ様がおっしゃったのです、クリスローズ様も素敵な白騎士の青年との結婚を夢見ていらっしゃったけれど、大聖女のスペアとしてそれは許されないのだと。そのような状況の中で夢をかなえるには白騎士との間に子供を作ってしまうしかないと言って私に子ができやすくなる薬をくださいました。」
レオは興奮しているのか顔を赤らめて夢見心地で喋っている。伝わってくる幸せそうな感情がクリスには得体がしれなくて気持ちが悪い。
「…私は白騎士との結婚など夢見ていないわ。」
「大切にしますから、クリスローズ様。私に全てをお委ねください。」
全くクリスの話を聞いていないレオは嬉しそうな表情で懐から毒々しい赤い液体の入った小瓶を取り出してクリスに見せる。
「この薬には媚薬効果もあり、素敵な一夜をクリスローズ様に……。」
…もうだめだ!気持ち悪い!
クリスがつかまれている腕を強化して渾身を超える力でレオの手を振りほどいたのと同時に、『今よ!』というフィフィの合図で周囲の精霊たちが一斉にレオに襲い掛かる。激しい目くらまし攻撃を受けたレオが「うわあ!」という声をあげてその場に倒れるのを聞きながらクリスは半分開いている扉に全力疾走だ。
『クリス!助けが来てるわよ!』
というフィフィの声と同時にヒールで身体強化してドレスを持ちあげながら走っていたクリスはたくましい腕に抱きしめられた。
「クリス!無事か!?」
とっさに逃げようとしたが、慣れ親しんだ声にパッと相手の顔を見上げて、思わず安堵のため息をついた。
「ヒューゴ…。」
「何があっても俺が守ってやるから、もう大丈夫だ。」
ヒューゴは油断なく周囲に視線を配りながらクリスを少し強めの力で抱きしめてくれている。どうやらヒューゴはクリスを見失っていたらしく、とても不安になっていたようで、クリスの存在を腕の中に確かめることで徐々に落ち着いていくのがわかった。
同じようにクリスの心も落ち着いていく。
「お、王女殿下に誘われて、控室で待っているように言われて、待っていたら白騎士が入ってきて…。私と結婚するために妊娠させるしかないってマルシャお姉さまに薬をもらったって…。」
向けられた感情の気持ち悪さを思い出して思わず涙ぐむが、泣いてしまっては化粧が崩れる。ここはぐっと我慢したかったがヒューゴの腕の中に安心してしまい、一筋の涙がこぼれた。
「あの部屋だな?」
クリスを背にかばいながら油断なくヒューゴが部屋の中をのぞき、「なんだこれ…」と困惑の声をあげた。声につられてクリスが顔をあげると大量の精霊が雪崩のように部屋の中に入っていくのが見えた。
『こいつがクリスを泣かせた!!』
『やっつけろ!!』
『明日は拝ませないぜ!!!』
何やら物騒な声も聞こえるが、どうやら部屋の外にも大量の精霊がいたらしく、中でクリスを助けて白騎士を襲っていた精霊の助太刀に次から次へと突進しているらしい。
クリスには大量の精霊に囲まれた何かが見えるだけで、中で何が起きているかわからなかった。
「精霊が…、私の代わりに攻撃してくれているみたい。数が多くて何が起きているのかわからないけれど。」
「俺には白騎士が両目を手でおさえながらも床の上で悶えているのが見えるよ。魚みたいに飛び跳ねたりもしてる。」
そこにバタバタと先ほどの侍女を引き連れた王女殿下が登場した。後ろには近衛騎士の護衛もいる。
「王家の影から全てを聞いたわ。クリスちゃんは無事?」
「は、はい。」
「ちょっと泣かせてしまったわね。ごめんなさい。」
王女殿下からは申し訳なさそうな気持ちが伝わってきた。クリスを一人で放置して危険な目に合わせたことを悔いているのだろうか。ヒューゴからは渋い感情が伝わってくるが…。
「この白騎士が、大聖女様に命令されてあなたを媚薬を使って襲わせようとしたことは全て聞いたわ。連行してちょうだい。……この騎士は大丈夫なの?」
クリスが精霊たちに「もういいわ」と声をかけると精霊たちが一斉に白騎士のそばを離れて、みんなに見えていた奇行が止まった。
近衛騎士たちが手早く白騎士を拘束し、どこかへ連れて行く。
「クリスちゃんはお化粧をちょっと直してもらってきなさい。優秀なヒューゴ・クレマン騎士は護衛をお願いね。彼女の侍女を呼んできているから。
終わったらすぐに舞踏会場に戻ってきてちょうだい。」
「かしこまりました。」
何やら指示を出しながら去っていく王女殿下にヒューゴは難しい顔だ。
「ヒューゴ、助けに来てくれてありがとう。」
「いや…、俺は一度王女殿下に撒かれたんだ。クリスからもらったこれがなかったら、見つけられていなかったよ。」
そう言って胸ポケットから取り出したのはヒューゴにクリスが贈った寄り添う黒と白の鳥の刺繍のハンカチだ。
「このハンカチがクリスに近づくと熱くなるんだ。まるで居場所を教えてくれるように。」
ハンカチには『ヒューゴが必ず私のところに帰ってきますように』と願いを込めた。その願いがそのような形で力を発揮したのだろうか。
「…私もずっと『ヒューゴ、助けて』って思っていたから、ヒューゴを呼べたのかもしれないね。実はその刺繍の白い鳥が私で黒い鳥がヒューゴなの。」
そう言ってクリスは再びヒューゴに抱き着いた。そうするとクリスの額がヒューゴの鎖骨のところにあたって、ヒールを履いている分、いつもよりヒューゴの顔が近い。ヒューゴも抱きしめ返してくれた。
「…そうなんじゃないかって思っていたよ。」
かけつけたヤスミンに化粧と髪形を手早く直してもらい、クリスは会場へ戻った。
36
お気に入りに追加
3,558
あなたにおすすめの小説

国外追放ですか?畏まりました(はい、喜んでっ!)
ゆきりん(安室 雪)
恋愛
私は、セイラ・アズナブル。聖女候補として全寮制の聖女学園に通っています。1番成績が優秀なので、第1王子の婚約者です。けれど、突然婚約を破棄され学園を追い出され国外追放になりました。やった〜っ!!これで好きな事が出来るわ〜っ!!
隣国で夢だったオムライス屋はじめますっ!!そしたら何故か騎士達が常連になって!?精霊も現れ!?
何故かとっても幸せな日々になっちゃいます。

冤罪で山に追放された令嬢ですが、逞しく生きてます
里見知美
ファンタジー
王太子に呪いをかけたと断罪され、神の山と恐れられるセントポリオンに追放された公爵令嬢エリザベス。その姿は老婆のように皺だらけで、魔女のように醜い顔をしているという。
だが実は、誰にも言えない理由があり…。
※もともとなろう様でも投稿していた作品ですが、手を加えちょっと長めの話になりました。作者としては抑えた内容になってるつもりですが、流血ありなので、ちょっとエグいかも。恋愛かファンタジーか迷ったんですがひとまず、ファンタジーにしてあります。
全28話で完結。


城で侍女をしているマリアンネと申します。お給金の良いお仕事ありませんか?
甘寧
ファンタジー
「武闘家貴族」「脳筋貴族」と呼ばれていた元子爵令嬢のマリアンネ。
友人に騙され多額の借金を作った脳筋父のせいで、屋敷、領土を差し押さえられ事実上の没落となり、その借金を返済する為、城で侍女の仕事をしつつ得意な武力を活かし副業で「便利屋」を掛け持ちしながら借金返済の為、奮闘する毎日。
マリアンネに執着するオネエ王子やマリアンネを取り巻く人達と様々な試練を越えていく。借金返済の為に……
そんなある日、便利屋の上司ゴリさんからの指令で幽霊屋敷を調査する事になり……
武闘家令嬢と呼ばれいたマリアンネの、借金返済までを綴った物語

妹が聖女の再来と呼ばれているようです
田尾風香
ファンタジー
ダンジョンのある辺境の地で回復術士として働いていたけど、父に呼び戻されてモンテリーノ学校に入学した。そこには、私の婚約者であるファルター殿下と、腹違いの妹であるピーアがいたんだけど。
「マレン・メクレンブルク! 貴様とは婚約破棄する!」
どうやらファルター殿下は、"低能"と呼ばれている私じゃなく、"聖女の再来"とまで呼ばれるくらいに成績の良い妹と婚約したいらしい。
それは別に構わない。国王陛下の裁定で無事に婚約破棄が成った直後、私に婚約を申し込んできたのは、辺境の地で一緒だったハインリヒ様だった。
戸惑う日々を送る私を余所に、事件が起こる。――学校に、ダンジョンが出現したのだった。
更新は不定期です。

リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?
あくの
ファンタジー
15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。
加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。
また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。
長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。
リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!

【完結】特別な力で国を守っていた〈防国姫〉の私、愚王と愚妹に王宮追放されたのでスパダリ従者と旅に出ます。一方で愚王と愚妹は破滅する模様
岡崎 剛柔
ファンタジー
◎第17回ファンタジー小説大賞に応募しています。投票していただけると嬉しいです
【あらすじ】
カスケード王国には魔力水晶石と呼ばれる特殊な鉱物が国中に存在しており、その魔力水晶石に特別な魔力を流すことで〈魔素〉による疫病などを防いでいた特別な聖女がいた。
聖女の名前はアメリア・フィンドラル。
国民から〈防国姫〉と呼ばれて尊敬されていた、フィンドラル男爵家の長女としてこの世に生を受けた凛々しい女性だった。
「アメリア・フィンドラル、ちょうどいい機会だからここでお前との婚約を破棄する! いいか、これは現国王である僕ことアントン・カスケードがずっと前から決めていたことだ! だから異議は認めない!」
そんなアメリアは婚約者だった若き国王――アントン・カスケードに公衆の面前で一方的に婚約破棄されてしまう。
婚約破棄された理由は、アメリアの妹であったミーシャの策略だった。
ミーシャはアメリアと同じ〈防国姫〉になれる特別な魔力を発現させたことで、アントンを口説き落としてアメリアとの婚約を破棄させてしまう。
そしてミーシャに骨抜きにされたアントンは、アメリアに王宮からの追放処分を言い渡した。
これにはアメリアもすっかり呆れ、無駄な言い訳をせずに大人しく王宮から出て行った。
やがてアメリアは天才騎士と呼ばれていたリヒト・ジークウォルトを連れて〈放浪医師〉となることを決意する。
〈防国姫〉の任を解かれても、国民たちを守るために自分が持つ医術の知識を活かそうと考えたのだ。
一方、本物の知識と実力を持っていたアメリアを王宮から追放したことで、主核の魔力水晶石が致命的な誤作動を起こしてカスケード王国は未曽有の大災害に陥ってしまう。
普通の女性ならば「私と婚約破棄して王宮から追放した報いよ。ざまあ」と喜ぶだろう。
だが、誰よりも優しい心と気高い信念を持っていたアメリアは違った。
カスケード王国全土を襲った未曽有の大災害を鎮めるべく、すべての原因だったミーシャとアントンのいる王宮に、アメリアはリヒトを始めとして旅先で出会った弟子の少女や伝説の魔獣フェンリルと向かう。
些細な恨みよりも、〈防国姫〉と呼ばれた聖女の力で国を救うために――。

断罪された大聖女は死に戻り地味に生きていきたい
花音月雫
ファンタジー
幼い頃に大聖女に憧れたアイラ。でも大聖女どころか聖女にもなれずその後の人生も全て上手くいかず気がつくと婚約者の王太子と幼馴染に断罪されていた!天使と交渉し時が戻ったアイラは家族と自分が幸せになる為地味に生きていこうと決心するが......。何故か周りがアイラをほっといてくれない⁉︎そして次から次へと事件に巻き込まれて......。地味に目立たなく生きて行きたいのにどんどん遠ざかる⁉︎執着系溺愛ストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる