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第4章 15歳の辺境聖女
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「いまごろは先頭部隊が衝突しているかもしれないですね…。」
「増援と共に私が指揮に向かいます。」
「よろしくお願いします、隊長。」
教会の基地に待機していた黒騎士達が慌ただしく動いている。その中には昨日クリスと山から帰ってきたばかりの騎士も含まれていた。何より、戦闘に最も近いと考えられる第5拠点にはエマがいる。何かあったらと心配でたまらない。
「ヒューゴ…、もしかして昨日の私の結界の修復がなにか…。」
クリスは不安になって思わずヒューゴの袖をつかむ。結構な広範囲で修復を行ったから。ルクレツェン側から見ても何か異変があるように見えたのかもしれない。
ヒューゴがクリスの手を上から強く握ってくれる。
「いや、大丈夫だ。一日でこんなに早く侵攻してこれないよ。恐らくその前から山に常に人員を配置しているのに気づいて何かあったと考えていたんだ。結界の異常じゃないかと。」
「侵攻ってどんな攻撃をしてくるの?」
「奴らの目的は祈りの結界を壊すことだ。結界の中に入ってこれるけれど、結界の中だと魔法の威力は半減どころじゃなく落ちるんだ。その状態では黒騎士は互角以上に戦える。」
「魔法使いと互角以上なの?」
「ああ。聖女様の身体強化があればね。幸いにも、今第5拠点にいるのは強化術の使えるエマ殿だ。増援の聖女も向かってる。」
「でも、魔法騎士たちは結界の外から攻撃してきて結界を壊そうとするんじゃない?」
「ああ、結界の外では向こうの方が強い。追い払うのには時間がかかる。」
「私も…。」
「だめだ。ここで一番守られなきゃいけないのはクリスだ。絶対に前線には行かせられない。…私も辺境聖女だからなんて言うなよ?祈りの結界が張れる辺境聖女なんて替えがいないんだからな?
マルシャローズ様が使えない今、実質クリスが大聖女だ。」
ヒューゴはいつになく厳しい顔をしている。
「ヒューゴ、お前の準備もできたぞ!」
「ああ、ありがとう。今行く。」
「え?ヒューゴも行くの?」
「ああ。先陣を切れる手練れが必要だからね。ノワール殿、クリスをよろしくお願いします。」
「で、でも……。」
今にも走っていきそうなヒューゴに袖をつかんでいた手を優しく離される。…引き留めたい。でも、それはしてはいけないんだと頭ではわかっている。
「……行ってらっしゃい、ヒューゴ。」
ヒューゴからは驚いた気配が伝わってくる。その後には安堵だ。クリスの頭をポンと軽くたたいてくれる。
「すぐに帰ってくるよ。」
そうしてヒューゴは振り返りもせずに走って行ってしまった。
ー---
クリスは結界を補強するための祈りを教会から捧げ続けていた。通常は朝に駐在の辺境聖女たちと祈りの歌を捧げるだけだが、何かがしたくてクリスが提案したことだ。今は皆忙しくしていて聖堂にいるのはクリスだけだが元大聖女の祈りなのだから聖女十数人分の力がある。
本当はずっと歌い続けていたいが、声をつぶしてしまうといざという時に結界を修復できない。だから歌は二時間に一回だ。それ以外はずっと手を組んで祈っている。
聖堂には小人型の歌の精霊の他に、昼間にはキラキラと光る小鳥の精霊がやってきた。フィフィ曰く光の精霊なのだそうだ。
「クリスローズ様、そろそろ休んでいただかないと。」
「…寝られそうにないわ。」
「夜は魔法騎士も黒騎士達も戦闘は控えます。横になるだけで体が休まりますから。」
「………あと一時間ね。」
結局クリスはノワールに対して、あと一時間をもう二回繰り返し、眠りについたのは日付も変わって大分経ったあとだった。ヒューゴであればもう二時間早く寝かせられただろう。
そして、一週間後の昼頃、その知らせは届いた。
「魔法騎士団、撤退しました!負傷者が帰還します!」
「そうか!」
聖堂で祈っていたクリスのところにもすぐに伝えられた。
「負傷者は何人ぐらいいるのかしら?」
「運ばれてくるのは療養が必要な20人です。」
「20人…。」
戦闘地点に近い第5拠点には王都や周辺から来た増援も含めて1000人程度の黒騎士が向かった。それで療養が必要な負傷が20人というのは少ないのではないだろうか。
しかし、クリスは”療養が必要”の意味を勘違いしていた。
大きな荷馬車に寝かされる形で運ばれてきたのは歩行が困難な患者ばかりだった。向こうでの応急処置で顔中を包帯に巻かれた者や、腕を欠損した者、両足に添え木をした者、全身が包帯まみれの者…、療養が必要な者というのはより高度な医療が必要な者という意味だったのだ。
首都からの応援に来ていた高度医療のできる医者と看護師が順番に処置に当たっている。
負傷した人たちの前ではクリスは無力だ。結界術にできるのはせいぜい止血で、強化術では怪我は治せないし、無くなった部位を戻すこともできない。
「クリスローズ様、そんなに悲しまれる必要はありません。彼らは役目を果たし、この国と家族を守ったのですから、褒めてやってください。」
ガブリエル神官はそう言って重傷者たちの横で打ちひしがれるクリスの肩をたたくが、クリスには今回の件が不十分な結界のせいで起きたとしか思えなかった。
結界の不備が隣国に付け入る隙を与えたのだ。
死者も出ていることをクリスはちゃんと知っている。
「私は…、マルシャお姉さまが赦せません。祈りの結界に穴が開くのはあることだとしても、それを修復せずに放っておこうとしただなんて、大聖女の資格がないです。
でも、私も辺境で黒騎士のみんながこんな危険な仕事をしているだなんて知りませんでした。大聖女が守っているものが何なのか、わかっていませんでした。」
「通常、大聖女様が辺境にいらっしゃるときに戦闘がおきることはありません。歴代の大聖女様のほとんどが辺境での戦いを知らない。
しかし、クリスローズ様はお知りになった。いつかあなたが大聖女に戻られたときには、その力で辺境の騎士たちをお守りください。」
ガブリエル神官が優しくクリスの頭を撫でてくれて、その温かさにクリスの美しい宝石目からは涙が止まらなかった。
「増援と共に私が指揮に向かいます。」
「よろしくお願いします、隊長。」
教会の基地に待機していた黒騎士達が慌ただしく動いている。その中には昨日クリスと山から帰ってきたばかりの騎士も含まれていた。何より、戦闘に最も近いと考えられる第5拠点にはエマがいる。何かあったらと心配でたまらない。
「ヒューゴ…、もしかして昨日の私の結界の修復がなにか…。」
クリスは不安になって思わずヒューゴの袖をつかむ。結構な広範囲で修復を行ったから。ルクレツェン側から見ても何か異変があるように見えたのかもしれない。
ヒューゴがクリスの手を上から強く握ってくれる。
「いや、大丈夫だ。一日でこんなに早く侵攻してこれないよ。恐らくその前から山に常に人員を配置しているのに気づいて何かあったと考えていたんだ。結界の異常じゃないかと。」
「侵攻ってどんな攻撃をしてくるの?」
「奴らの目的は祈りの結界を壊すことだ。結界の中に入ってこれるけれど、結界の中だと魔法の威力は半減どころじゃなく落ちるんだ。その状態では黒騎士は互角以上に戦える。」
「魔法使いと互角以上なの?」
「ああ。聖女様の身体強化があればね。幸いにも、今第5拠点にいるのは強化術の使えるエマ殿だ。増援の聖女も向かってる。」
「でも、魔法騎士たちは結界の外から攻撃してきて結界を壊そうとするんじゃない?」
「ああ、結界の外では向こうの方が強い。追い払うのには時間がかかる。」
「私も…。」
「だめだ。ここで一番守られなきゃいけないのはクリスだ。絶対に前線には行かせられない。…私も辺境聖女だからなんて言うなよ?祈りの結界が張れる辺境聖女なんて替えがいないんだからな?
マルシャローズ様が使えない今、実質クリスが大聖女だ。」
ヒューゴはいつになく厳しい顔をしている。
「ヒューゴ、お前の準備もできたぞ!」
「ああ、ありがとう。今行く。」
「え?ヒューゴも行くの?」
「ああ。先陣を切れる手練れが必要だからね。ノワール殿、クリスをよろしくお願いします。」
「で、でも……。」
今にも走っていきそうなヒューゴに袖をつかんでいた手を優しく離される。…引き留めたい。でも、それはしてはいけないんだと頭ではわかっている。
「……行ってらっしゃい、ヒューゴ。」
ヒューゴからは驚いた気配が伝わってくる。その後には安堵だ。クリスの頭をポンと軽くたたいてくれる。
「すぐに帰ってくるよ。」
そうしてヒューゴは振り返りもせずに走って行ってしまった。
ー---
クリスは結界を補強するための祈りを教会から捧げ続けていた。通常は朝に駐在の辺境聖女たちと祈りの歌を捧げるだけだが、何かがしたくてクリスが提案したことだ。今は皆忙しくしていて聖堂にいるのはクリスだけだが元大聖女の祈りなのだから聖女十数人分の力がある。
本当はずっと歌い続けていたいが、声をつぶしてしまうといざという時に結界を修復できない。だから歌は二時間に一回だ。それ以外はずっと手を組んで祈っている。
聖堂には小人型の歌の精霊の他に、昼間にはキラキラと光る小鳥の精霊がやってきた。フィフィ曰く光の精霊なのだそうだ。
「クリスローズ様、そろそろ休んでいただかないと。」
「…寝られそうにないわ。」
「夜は魔法騎士も黒騎士達も戦闘は控えます。横になるだけで体が休まりますから。」
「………あと一時間ね。」
結局クリスはノワールに対して、あと一時間をもう二回繰り返し、眠りについたのは日付も変わって大分経ったあとだった。ヒューゴであればもう二時間早く寝かせられただろう。
そして、一週間後の昼頃、その知らせは届いた。
「魔法騎士団、撤退しました!負傷者が帰還します!」
「そうか!」
聖堂で祈っていたクリスのところにもすぐに伝えられた。
「負傷者は何人ぐらいいるのかしら?」
「運ばれてくるのは療養が必要な20人です。」
「20人…。」
戦闘地点に近い第5拠点には王都や周辺から来た増援も含めて1000人程度の黒騎士が向かった。それで療養が必要な負傷が20人というのは少ないのではないだろうか。
しかし、クリスは”療養が必要”の意味を勘違いしていた。
大きな荷馬車に寝かされる形で運ばれてきたのは歩行が困難な患者ばかりだった。向こうでの応急処置で顔中を包帯に巻かれた者や、腕を欠損した者、両足に添え木をした者、全身が包帯まみれの者…、療養が必要な者というのはより高度な医療が必要な者という意味だったのだ。
首都からの応援に来ていた高度医療のできる医者と看護師が順番に処置に当たっている。
負傷した人たちの前ではクリスは無力だ。結界術にできるのはせいぜい止血で、強化術では怪我は治せないし、無くなった部位を戻すこともできない。
「クリスローズ様、そんなに悲しまれる必要はありません。彼らは役目を果たし、この国と家族を守ったのですから、褒めてやってください。」
ガブリエル神官はそう言って重傷者たちの横で打ちひしがれるクリスの肩をたたくが、クリスには今回の件が不十分な結界のせいで起きたとしか思えなかった。
結界の不備が隣国に付け入る隙を与えたのだ。
死者も出ていることをクリスはちゃんと知っている。
「私は…、マルシャお姉さまが赦せません。祈りの結界に穴が開くのはあることだとしても、それを修復せずに放っておこうとしただなんて、大聖女の資格がないです。
でも、私も辺境で黒騎士のみんながこんな危険な仕事をしているだなんて知りませんでした。大聖女が守っているものが何なのか、わかっていませんでした。」
「通常、大聖女様が辺境にいらっしゃるときに戦闘がおきることはありません。歴代の大聖女様のほとんどが辺境での戦いを知らない。
しかし、クリスローズ様はお知りになった。いつかあなたが大聖女に戻られたときには、その力で辺境の騎士たちをお守りください。」
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