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第4章 15歳の辺境聖女
5 辺境の山の中にて
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オールディと隣国ルクレツェンの辺境に勤務する黒騎士達は盛り上がっていた。
「辺境勤務でクリスローズ様とお会いできるなんて!」
そう盛り上がるのはヒューゴよりも年嵩の黒騎士達だ。首都で修行していたころはクリスはまだ教会におらず、その活躍を辺境で聞くだけだった。
「久しぶりのクリスだ!会えるの嬉しいな!」
こちらはヒューゴと同年から若手の黒騎士だ。平民の黒騎士見習いたちは黒騎士団長のお墨付きをもらうと一人前として辺境に派遣される。特にこのルクレツェンとの辺境はとある理由から他の辺境よりも黒騎士の人数が多い。そのためクリスと知り合いの黒騎士も今この場で10人ほどいた。
もちろん全員が常に教会にいるわけではないが。
「お前たちはまたクリスローズ様を呼び捨てにして!」
「お生まれもクリスローズ様は公爵令嬢だ!馴れ合っていいお方ではないんだ!」
ヒューゴは自分の学園での失敗を思い出し、苦い顔になる。つい癖でいつものように馴れ合ってしまったところを見られてしまい、危うくクリスの評判を落とすところだった。
「おいヒューゴ、俺たちはもちろんしっかりと護衛をするが、クリスローズ様につきっきりになるのはお前だ。しっかりお守りするんだぞ。」
ヒューゴは平民出身の騎士たちにも嫌われず、むしろ可愛がられている。貴族学園でも反感を買うことはなかったし、人間関係に特に苦労がなかった。
むしろ黒騎士見習いを始めた時の方が大変だったと思う。
ヒューゴは首のところに手を当ててそこにあるクリスお手製のアミュレットを触った。クリスが込めた願いは『怪我をしない』と『友達がいっぱい』…、強すぎるご利益が出ているとしか思えない。
「もちろんです。命に代えても守ります。」
ー---
「この移動は強行軍になるから、クリスは俺と一緒の馬に乗ろう。」
「わかった。」
「ノワール殿は俺の分も荷物を。」
「わかった。」
白騎士にいた頃のノワールならば、自分がクリスを運ぶと言い出しただろうが、黒騎士団で稽古して黒騎士の身体能力の高さをしっかり理解したのだろう。
むしろ自分はクリスという荷物を背負っていてはおいていかれない、と。
「みんなの馬に身体強化する?」
「いや、いつもと変わるとみんなも扱いにくい。このままでいこう。」
クリスを前に乗せ、その後ろに自分もまたがる。小柄なクリスは長身なヒューゴの腕の中にすっぽりと納まった。
「飛ばすから、クリス自身に身体強化をかけた方がいいな。」
「わかった。」
素直なクリスは自分の身体を素直に強化している。クリスの素直さはヒューゴとしては不安になるところだが、マルシャローズの理不尽に耐え続けてもいい子のままなのはただの素直ではないのだとも思う。
「行くぞ。」
こうして約6人の黒騎士とともにクリスとノワール、ヒューゴは結界の穴に向けて出発した。
ー---
途中で軽く休憩をはさんだが、一刻を争うからとクリスが疲れをとってくれたおかげでいつもよりも早いぐらいの時間で目的地に着いた。
交代の騎士たちがヒューゴ達を出迎える。
「早かったですね。」
「クリスローズ様のおかげだ。」
このあたりで数日野営をした騎士たちはヒューゴの抱えているクリスを見てそわそわとし始めた。においや汚れ、生えた無精ひげなどを心配している。
「お前たちは結界を修復したクリスローズ様を連れて教会に戻ってほしいから、もう少し出発を待ってくれ。」
においを気にしていた騎士たちはピシりと固まって涙目になった。憧れのクリスに半日も自分のにおいをかがせることになるのだから。
「穴はこれね。」
そんな騎士たちのことは気にせず、クリスは結界に開いた穴を見ていた。その後の辺りをぐるりと見まわすクリスの肩に突然にオッドアイの黒猫が現れた。
周りの黒騎士からは驚きの声が上がるが、付き合いの長いヒューゴはこの猫をよく知っている。クリスが大聖女の宝石目を開眼したときに契約した”感情”の精霊であるフィフィだ。
クリスに相対する人々の感情を教えてくれていると以前に言っていた。つまり、クリスにはヒューゴの感情は筒抜けなのである。
「助けてくれるかな?」
クリスの問いかけにこたえるようにフィフィがニャーと鳴いた。何やら会話をしている様だ。
「クリス、穴はふさげそうか?」
声をかけると顎下で切りそろえられた短いシルバーブロンドを揺らして元気よくクリスが振り返った。黒騎士の注目を集めていると気付いてちょっとすました令嬢モードの顔になる。中等部三年間ですっかりこの切り替えが上手になったクリスは年下の令嬢や令息たちからも尊敬を集めている。
「大丈夫そうよ、ヒューゴ。」
近づいたヒューゴだけに見えるように器の形にした手のひらの中を見せてくれたが、ヒューゴには何も見えない。
「森の精霊がいるの。小さな緑色のリスなの。」
小声でヒューゴにだけ聞こえるようにささやいたクリスはとても楽しそうだ。自分にもその景色が視えたらなと思う。
手の中の何かを降ろすような仕草をしてから壁に手をやるように両手を掲げた。結界の視えないヒューゴからするとパントマイムだが、クリスの目の前には結界があるのだろう。
クリスが軽く発声練習をした後、建国祭でも歌われる祈りの歌を歌い始めた。クリスの両手のひらの周りがほのかに発光しだし、やがて、黒騎士達にも穴の全貌が分かるようになった。
クリスの触れている結界に色がつき、穴の部分には色がつかなかったのだ。20㎝四方という報告だったが、ヒューゴにはそれよりも大きく見えた。
森がざわざわと音をたて、クリスの目の前にある穴がシュルシュルと縮んでいく。
「すごい…。あっという間だ。」
そうささやくのは部隊長を任されている最年長の黒騎士だ。彼は先々代の頃から辺境で騎士をしており、一度だけ若手の頃に結界の修復に立ち会ったことがあった。穴の大きさは当時の方が大きかったが、それにしてもクリスの修復は速い。
少し距離が離れたところにあった穴にもクリスの力は広がり、より小さかった穴は数十秒で閉じた。
クリスが歌っていたのはわずか5分のことだ。
「終わりました。これで問題はないと思います。一番大きい穴と、新たに開いた二つ、あと開きかけていた三か所を修復してこの山にかかる部分の結界を補強しました。他と比べても弱っていたみたいです。」
穴が閉じてからも歌っているなと思ったら、全体の補強までしていたらしい。
「他と比べて弱っている、というのはどういうことでしょうか?」
「この山…というよりも森は魔獣や魔物にとって住みよい環境であるらしく、攻撃を受けて結界が弱るのが速いのだと思います。」
「なるほど。」
「つまり、同じ条件を満たす場所の結界は同様に弱っている可能性があるのか…。」
クリスの旅が長引きそうな予感にヒューゴはこめかみをもんだ。
「辺境勤務でクリスローズ様とお会いできるなんて!」
そう盛り上がるのはヒューゴよりも年嵩の黒騎士達だ。首都で修行していたころはクリスはまだ教会におらず、その活躍を辺境で聞くだけだった。
「久しぶりのクリスだ!会えるの嬉しいな!」
こちらはヒューゴと同年から若手の黒騎士だ。平民の黒騎士見習いたちは黒騎士団長のお墨付きをもらうと一人前として辺境に派遣される。特にこのルクレツェンとの辺境はとある理由から他の辺境よりも黒騎士の人数が多い。そのためクリスと知り合いの黒騎士も今この場で10人ほどいた。
もちろん全員が常に教会にいるわけではないが。
「お前たちはまたクリスローズ様を呼び捨てにして!」
「お生まれもクリスローズ様は公爵令嬢だ!馴れ合っていいお方ではないんだ!」
ヒューゴは自分の学園での失敗を思い出し、苦い顔になる。つい癖でいつものように馴れ合ってしまったところを見られてしまい、危うくクリスの評判を落とすところだった。
「おいヒューゴ、俺たちはもちろんしっかりと護衛をするが、クリスローズ様につきっきりになるのはお前だ。しっかりお守りするんだぞ。」
ヒューゴは平民出身の騎士たちにも嫌われず、むしろ可愛がられている。貴族学園でも反感を買うことはなかったし、人間関係に特に苦労がなかった。
むしろ黒騎士見習いを始めた時の方が大変だったと思う。
ヒューゴは首のところに手を当ててそこにあるクリスお手製のアミュレットを触った。クリスが込めた願いは『怪我をしない』と『友達がいっぱい』…、強すぎるご利益が出ているとしか思えない。
「もちろんです。命に代えても守ります。」
ー---
「この移動は強行軍になるから、クリスは俺と一緒の馬に乗ろう。」
「わかった。」
「ノワール殿は俺の分も荷物を。」
「わかった。」
白騎士にいた頃のノワールならば、自分がクリスを運ぶと言い出しただろうが、黒騎士団で稽古して黒騎士の身体能力の高さをしっかり理解したのだろう。
むしろ自分はクリスという荷物を背負っていてはおいていかれない、と。
「みんなの馬に身体強化する?」
「いや、いつもと変わるとみんなも扱いにくい。このままでいこう。」
クリスを前に乗せ、その後ろに自分もまたがる。小柄なクリスは長身なヒューゴの腕の中にすっぽりと納まった。
「飛ばすから、クリス自身に身体強化をかけた方がいいな。」
「わかった。」
素直なクリスは自分の身体を素直に強化している。クリスの素直さはヒューゴとしては不安になるところだが、マルシャローズの理不尽に耐え続けてもいい子のままなのはただの素直ではないのだとも思う。
「行くぞ。」
こうして約6人の黒騎士とともにクリスとノワール、ヒューゴは結界の穴に向けて出発した。
ー---
途中で軽く休憩をはさんだが、一刻を争うからとクリスが疲れをとってくれたおかげでいつもよりも早いぐらいの時間で目的地に着いた。
交代の騎士たちがヒューゴ達を出迎える。
「早かったですね。」
「クリスローズ様のおかげだ。」
このあたりで数日野営をした騎士たちはヒューゴの抱えているクリスを見てそわそわとし始めた。においや汚れ、生えた無精ひげなどを心配している。
「お前たちは結界を修復したクリスローズ様を連れて教会に戻ってほしいから、もう少し出発を待ってくれ。」
においを気にしていた騎士たちはピシりと固まって涙目になった。憧れのクリスに半日も自分のにおいをかがせることになるのだから。
「穴はこれね。」
そんな騎士たちのことは気にせず、クリスは結界に開いた穴を見ていた。その後の辺りをぐるりと見まわすクリスの肩に突然にオッドアイの黒猫が現れた。
周りの黒騎士からは驚きの声が上がるが、付き合いの長いヒューゴはこの猫をよく知っている。クリスが大聖女の宝石目を開眼したときに契約した”感情”の精霊であるフィフィだ。
クリスに相対する人々の感情を教えてくれていると以前に言っていた。つまり、クリスにはヒューゴの感情は筒抜けなのである。
「助けてくれるかな?」
クリスの問いかけにこたえるようにフィフィがニャーと鳴いた。何やら会話をしている様だ。
「クリス、穴はふさげそうか?」
声をかけると顎下で切りそろえられた短いシルバーブロンドを揺らして元気よくクリスが振り返った。黒騎士の注目を集めていると気付いてちょっとすました令嬢モードの顔になる。中等部三年間ですっかりこの切り替えが上手になったクリスは年下の令嬢や令息たちからも尊敬を集めている。
「大丈夫そうよ、ヒューゴ。」
近づいたヒューゴだけに見えるように器の形にした手のひらの中を見せてくれたが、ヒューゴには何も見えない。
「森の精霊がいるの。小さな緑色のリスなの。」
小声でヒューゴにだけ聞こえるようにささやいたクリスはとても楽しそうだ。自分にもその景色が視えたらなと思う。
手の中の何かを降ろすような仕草をしてから壁に手をやるように両手を掲げた。結界の視えないヒューゴからするとパントマイムだが、クリスの目の前には結界があるのだろう。
クリスが軽く発声練習をした後、建国祭でも歌われる祈りの歌を歌い始めた。クリスの両手のひらの周りがほのかに発光しだし、やがて、黒騎士達にも穴の全貌が分かるようになった。
クリスの触れている結界に色がつき、穴の部分には色がつかなかったのだ。20㎝四方という報告だったが、ヒューゴにはそれよりも大きく見えた。
森がざわざわと音をたて、クリスの目の前にある穴がシュルシュルと縮んでいく。
「すごい…。あっという間だ。」
そうささやくのは部隊長を任されている最年長の黒騎士だ。彼は先々代の頃から辺境で騎士をしており、一度だけ若手の頃に結界の修復に立ち会ったことがあった。穴の大きさは当時の方が大きかったが、それにしてもクリスの修復は速い。
少し距離が離れたところにあった穴にもクリスの力は広がり、より小さかった穴は数十秒で閉じた。
クリスが歌っていたのはわずか5分のことだ。
「終わりました。これで問題はないと思います。一番大きい穴と、新たに開いた二つ、あと開きかけていた三か所を修復してこの山にかかる部分の結界を補強しました。他と比べても弱っていたみたいです。」
穴が閉じてからも歌っているなと思ったら、全体の補強までしていたらしい。
「他と比べて弱っている、というのはどういうことでしょうか?」
「この山…というよりも森は魔獣や魔物にとって住みよい環境であるらしく、攻撃を受けて結界が弱るのが速いのだと思います。」
「なるほど。」
「つまり、同じ条件を満たす場所の結界は同様に弱っている可能性があるのか…。」
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