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第3章 12歳の公爵令嬢
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姉のマルシャローズが離縁を成立させ、教会に戻ってきたのはそれから一週間後という早業だった。
「あら、クリス、これまでご苦労様だったわね?簡単に戻ってこれたってことは、あなた、大してしっかりした結界を張れていなかったのでしょう?」
大聖女の引継ぎに現れたマルシャローズはふふふんと笑って言った。マルシャローズは白騎士団と主に連絡をとっていたので、クリスローズの結界の出来がいいことや体調が良くないことは知らされていなかった。
前者は主に黒騎士団と神官長が管理する項目であるし、マルシャローズの機嫌を損ねる話題でもあるから知らせるはずがない。また後者も一部の者のみが知るトップシークレットであったため、マルシャローズは知らない。もちろんマルシャローズは12歳の少女の平均的な体型なんて知らない。
「まあ、安心しなさい。これからは私がちゃんと大聖女をやってあげるから。」
「よろしくお願いします。大聖女様。」
クリスはマルシャローズの機嫌を損ねるようなことは言わない。アリシラローズの指示を忠実に守っているからだ。
「あなたの今後なんだけど、大聖女だったのに、聖女に戻るなんて酷でしょう?だから聖女をやめて聖カリスト学園に通いなさい。」
「え?学園ですか?」
「そう。ちょうど12歳でしょう?この秋から学園の中等部に通いなさい。公爵令嬢として。」
マルシャローズからは意地悪な気持ちが伝わってくる。クリスを学園に通わせる、というのはマルシャローズの大好きな妹いじめの一環なのだろう。
しかし、クリスとしてはマルシャローズのいる教会に残ることの方が苦痛だ。6歳のころはあの生活が辛いということもよくわかっていなかったが、今はヤスミンもサーシャもいない生活なんて考えられない。
あ、でも、教会を出てしまったら、教会侍女の二人はクリスについてきてはくれないだろう。
「かしこまりました。」
でも、マルシャローズの指示に反発するのは得策ではない。寂しい気持ちを押し隠して、クリスは退室した。
ー---
「そんな!マルシャローズ様が戻ってくるだなんて!」
話を聞いたエマは大げさなうめき声をあげてその場に崩れ落ちた。ちなみにエマは今17歳の立派に成長した聖女だ。背もクリスより30cm近く高い。
そんなエマはがばっと起き上がるとクリスに縋り付いた。
「なんてことなの!クリス、あなたはどうなるの!?」
「私は…学園に行くことになるみたい。」
「学園?それって、聖カリスト学園?貴族子女が通う、あの?」
「うん。ちょうど12歳だからいいだろうって。」
「いいだろう、ですって?あの学園は社交界の縮図よ?ずっと教会で過ごしていて友人もいないし、最低限の礼儀作法しかしらないクリスに住みよい場所であるはずがないじゃない!」
「そっか…。」
クリスの悲しそうな顔に、エマはああ言い過ぎたと額に手をやる。
「でも、クリスなら大丈夫よ?だってすぐにみんなに好かれちゃうんだもの。…それにしても、今回の件、神官長たちは反対しなかったのかしら?」
「あ、それは…。」
クリスは自分の体調を神官長たちが心配していることを伝えた。エマは「確かに小さいとは思っていたけれど…、まさか祈りの結界のせいだったとはね」と納得してくれた。
「それにしても、マルシャローズが帰ってきて、クリスがいなくなる教会なんて、残りたくないわね。」
「エマ?」
「実は、神官長が王都の教会から辺境に派遣できる聖女を探してるの。多分、来年にマルシャローズ様が結界を張ったら問題が起きることを心配しているんじゃないかしら。
私にも打診があって、どうしようかと思っていたんだけれど、良い機会ね。」
「エマ、辺境聖女になるの?」
「ええ。昔は絶対に嫌だったけど、それも悪くないわね。」
ー---
「クリス、今回は災難だったな。」
クリスがルロワ公爵家に帰る日、クリスは黒騎士団に挨拶に来ていた。団長はムキムキで大きいいかつい男だが、クリスを見つめる目元は優しい。
「だが、体調が一番大事だ。今後、もう一度クリスに大聖女を頼むことになるかもしれない。それまでに体調を万全にしてくれ。少なくともあと5年はマルシャローズ様に頑張ってもらう必要があるがな。」
「はい。」
「大っぴらにはできないが、学園ではクリスに護衛をつけようと思う。」
「護衛?」
「ああ。入れ。」
団長室に「失礼します。」と言って入ってきたのは黒髪に最近ぐんと背の伸びた見慣れた姿、ヒューゴだ。
「ヒューゴ!」
「ああ、クリス。今回の顛末、聞いたよ。俺は来年から高等部の二年生で校舎は違うから四六時中は一緒にいれないけれど、休日は必ず俺を呼んでくれ。」
「いいの?」
「ああ。学園に付き人を連れて行くのは公爵家のお嬢様なら普通だしな。あと中等部にはテオドールとルイがいるから、平日は二人に護衛を頼んでいるよ。
今日は実家の方にいるけれど。」
テオドールとルイはクリスの一つ年上の貴族令息の黒騎士見習いで去年から学園に通っている。
そうか!テオドールにルイも一緒なんだ!学園は違うけれど知り合いがいるだけで心強い。
「これからルロワ公爵家へは公爵家の護衛がつくはずだ。」
「わあ、なんかすごいですね。」
「まあ、今までは白騎士がみっちり張り付いていたからね。それがなくなった分は我々と公爵家で補うんだ。」
クリスはちょっと安心して部屋を後にした。準備されていたルロワ公爵家の馬車に乗り込むと、中にはよく知っている茶髪の女性の姿があった。
「ヤスミン!」
「クリス様、私も一緒に参りますわ。」
「公爵家に?でもヤスミンは教会侍女だから…。」
「辞めました。」
「や、辞めた?」
「私はクリス様にお仕えする侍女ですから。ルロワ公爵家に転職して、学園にもついていきますわ。」
「本当に…?」
「はい。」
「ありがとう!」
クリスは思わずヤスミンに抱き着いた。「クリス様!はしたないです!」と怒るヤスミンは実は照れている様だった。
ああ、ヒューゴ、テオドールにルイ、それにヤスミンまで学園にいてくれるなんて。きっと学園でも大丈夫だ。そう思ってしっかりとクリスはヤスミンに抱き着いた。
「あら、クリス、これまでご苦労様だったわね?簡単に戻ってこれたってことは、あなた、大してしっかりした結界を張れていなかったのでしょう?」
大聖女の引継ぎに現れたマルシャローズはふふふんと笑って言った。マルシャローズは白騎士団と主に連絡をとっていたので、クリスローズの結界の出来がいいことや体調が良くないことは知らされていなかった。
前者は主に黒騎士団と神官長が管理する項目であるし、マルシャローズの機嫌を損ねる話題でもあるから知らせるはずがない。また後者も一部の者のみが知るトップシークレットであったため、マルシャローズは知らない。もちろんマルシャローズは12歳の少女の平均的な体型なんて知らない。
「まあ、安心しなさい。これからは私がちゃんと大聖女をやってあげるから。」
「よろしくお願いします。大聖女様。」
クリスはマルシャローズの機嫌を損ねるようなことは言わない。アリシラローズの指示を忠実に守っているからだ。
「あなたの今後なんだけど、大聖女だったのに、聖女に戻るなんて酷でしょう?だから聖女をやめて聖カリスト学園に通いなさい。」
「え?学園ですか?」
「そう。ちょうど12歳でしょう?この秋から学園の中等部に通いなさい。公爵令嬢として。」
マルシャローズからは意地悪な気持ちが伝わってくる。クリスを学園に通わせる、というのはマルシャローズの大好きな妹いじめの一環なのだろう。
しかし、クリスとしてはマルシャローズのいる教会に残ることの方が苦痛だ。6歳のころはあの生活が辛いということもよくわかっていなかったが、今はヤスミンもサーシャもいない生活なんて考えられない。
あ、でも、教会を出てしまったら、教会侍女の二人はクリスについてきてはくれないだろう。
「かしこまりました。」
でも、マルシャローズの指示に反発するのは得策ではない。寂しい気持ちを押し隠して、クリスは退室した。
ー---
「そんな!マルシャローズ様が戻ってくるだなんて!」
話を聞いたエマは大げさなうめき声をあげてその場に崩れ落ちた。ちなみにエマは今17歳の立派に成長した聖女だ。背もクリスより30cm近く高い。
そんなエマはがばっと起き上がるとクリスに縋り付いた。
「なんてことなの!クリス、あなたはどうなるの!?」
「私は…学園に行くことになるみたい。」
「学園?それって、聖カリスト学園?貴族子女が通う、あの?」
「うん。ちょうど12歳だからいいだろうって。」
「いいだろう、ですって?あの学園は社交界の縮図よ?ずっと教会で過ごしていて友人もいないし、最低限の礼儀作法しかしらないクリスに住みよい場所であるはずがないじゃない!」
「そっか…。」
クリスの悲しそうな顔に、エマはああ言い過ぎたと額に手をやる。
「でも、クリスなら大丈夫よ?だってすぐにみんなに好かれちゃうんだもの。…それにしても、今回の件、神官長たちは反対しなかったのかしら?」
「あ、それは…。」
クリスは自分の体調を神官長たちが心配していることを伝えた。エマは「確かに小さいとは思っていたけれど…、まさか祈りの結界のせいだったとはね」と納得してくれた。
「それにしても、マルシャローズが帰ってきて、クリスがいなくなる教会なんて、残りたくないわね。」
「エマ?」
「実は、神官長が王都の教会から辺境に派遣できる聖女を探してるの。多分、来年にマルシャローズ様が結界を張ったら問題が起きることを心配しているんじゃないかしら。
私にも打診があって、どうしようかと思っていたんだけれど、良い機会ね。」
「エマ、辺境聖女になるの?」
「ええ。昔は絶対に嫌だったけど、それも悪くないわね。」
ー---
「クリス、今回は災難だったな。」
クリスがルロワ公爵家に帰る日、クリスは黒騎士団に挨拶に来ていた。団長はムキムキで大きいいかつい男だが、クリスを見つめる目元は優しい。
「だが、体調が一番大事だ。今後、もう一度クリスに大聖女を頼むことになるかもしれない。それまでに体調を万全にしてくれ。少なくともあと5年はマルシャローズ様に頑張ってもらう必要があるがな。」
「はい。」
「大っぴらにはできないが、学園ではクリスに護衛をつけようと思う。」
「護衛?」
「ああ。入れ。」
団長室に「失礼します。」と言って入ってきたのは黒髪に最近ぐんと背の伸びた見慣れた姿、ヒューゴだ。
「ヒューゴ!」
「ああ、クリス。今回の顛末、聞いたよ。俺は来年から高等部の二年生で校舎は違うから四六時中は一緒にいれないけれど、休日は必ず俺を呼んでくれ。」
「いいの?」
「ああ。学園に付き人を連れて行くのは公爵家のお嬢様なら普通だしな。あと中等部にはテオドールとルイがいるから、平日は二人に護衛を頼んでいるよ。
今日は実家の方にいるけれど。」
テオドールとルイはクリスの一つ年上の貴族令息の黒騎士見習いで去年から学園に通っている。
そうか!テオドールにルイも一緒なんだ!学園は違うけれど知り合いがいるだけで心強い。
「これからルロワ公爵家へは公爵家の護衛がつくはずだ。」
「わあ、なんかすごいですね。」
「まあ、今までは白騎士がみっちり張り付いていたからね。それがなくなった分は我々と公爵家で補うんだ。」
クリスはちょっと安心して部屋を後にした。準備されていたルロワ公爵家の馬車に乗り込むと、中にはよく知っている茶髪の女性の姿があった。
「ヤスミン!」
「クリス様、私も一緒に参りますわ。」
「公爵家に?でもヤスミンは教会侍女だから…。」
「辞めました。」
「や、辞めた?」
「私はクリス様にお仕えする侍女ですから。ルロワ公爵家に転職して、学園にもついていきますわ。」
「本当に…?」
「はい。」
「ありがとう!」
クリスは思わずヤスミンに抱き着いた。「クリス様!はしたないです!」と怒るヤスミンは実は照れている様だった。
ああ、ヒューゴ、テオドールにルイ、それにヤスミンまで学園にいてくれるなんて。きっと学園でも大丈夫だ。そう思ってしっかりとクリスはヤスミンに抱き着いた。
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