救国の巫女姫、誕生史

ぺきぺき

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閑話 予知の巫覡、状況を見守る

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まさかミッチーが暗殺集団・東雲の一員だったとは。あんなに二ノに張り付いていたのは護衛を兼ねていたんだな。

篤は東雲の頭領と師匠とともに、別の離れで水晶玉ごしに状況を見守っていた。

水晶玉は篤が複雑な術を使うときに脳みそへの負担を抑えるために使う映像媒体だ。に作ってもらった。

「篤殿は予知のスペシャリストと聞いていたが、それでも羽月の予知はできないのかい?」

「一般人の予知と巫覡の予知は難易度が違うんです。巫覡は自分の実力に関して秘密にすることが多いですから、巫覡の行動予知にその力の内容は必須となりますが、その情報が欠けます。
一応予知はできますよ。どこに行くとか誰に会いそうとか。ただ、多分に不確定要素を含んでしまうので、あてにならないんです。」

正直、今日の話を師匠に聞いた時、やってくる暗殺者が満だとは全く予知できなかった。それは篤が満のを全く知らなかったからである。

「何事もなく終わればいいが。」

師匠は複雑そうに言った。

羽月は、師匠の5人の教え子の一人。得意とするジャンルが同じである分、一番目をかけていたといっても過言ではない。
羽月も師匠を一番に慕っていた。その分他4人の教え子たちへの敵視はひどかったが。

でも、羽月が簿あたりから、羽月は変わった。

ますます僕らと距離を置き、離れに籠り、怪しげな術の開発に努めた。

しかし、このような事態を引き起こすまで、師匠が羽月をことは篤としても、そしておそらく二乃子としても解せないことだった。

そして、花街の事件で羽月が転移で逃げてきたこと。あれはどう考えても、師匠がに助けてやるよう頼んだからに決まっている。

5人の教え子のうち巫覡名簿に載った僕ら3人は特に羽月に敵視されているのだから、自ら協力することはない。師匠の頼みなら話は別だ。
だって、僕ら5人を育ててくれたのは師匠だから。


事が進んだのは真夜中のことだった。

満が羽月を銃で仕留めた。やった、と篤も思った。しかし、驚いたことに羽月は死体の状態で動き出したのだ。

すぐに二乃子が満についた印を目印に転移してきて満は助かった。しかし窮地なことには変わりはない。

離れにいた三人も現場へ駆けつけた。
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