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第六章 Side B
5 エリーと新しい相棒
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救国の英雄が、アーチボルト嬢との結婚を国王陛下に打診した…?思わず、エリーは隣のブラッドリーを見た。
…完全にフリーズしている。
「そ、それは、アーチボルト嬢とそなたは恋仲であったということか…?」
「いいえ!これから求婚する予定です。しかし、平民の自分では侯爵令嬢に求婚をすることなどできません。なので、まず陛下の許可をいただきたく。そして、晴れてお思いが通じた際には結婚のお許しをいただきたく。」
「そ、そうか。う、うむ。求婚を許可しよう。」
許可を出したら王命での結婚ということにはならないと判断した国王はとりあえず、求婚の許可をだした。
「ありがたき幸せにございます。」
そう言ってサマルは軽い足取りで下がって行った。オルグレン公爵家に大きな爆弾を落として。
ーーーー
アーチボルト嬢はブラッドリーとの婚約が内々定している。しかし、本来の意味合いはポートレット帝国との終戦を成し遂げ、アーチボルト家が侯爵位に復帰した今となっては薄い。
しかし、イヴァン皇子の件がある。皇子がアーチボルト嬢を見つけて求婚してしまうと、今の状態では断りにくい。なのでなるべく早く彼女に高位貴族と縁づいてほしいという思惑があり、このまま二人は正式に婚約する予定だった。
エリーとブラッドリーの離縁の後で。
しかし、ここにきて救国の英雄が爵位よりも金よりも彼女がほしいと求婚してしまった。
国王陛下は頭を悩ませることとなる。
式典の後、ブラッドリーは呆然とした様子でどこかに行ってしまった。おそらく今後のことを話し合うのだろう。
結局、ブラッドリーと離縁の話は全くできないままに、三回目の結婚記念日を迎えた。
「リチャード、今日は旦那様は?」
「朝早くに仕事へと行ってしまわれまして…。奥様がお話があると仰っていたことは伝えたのですが、今日もお帰りになるのは難しいと。」
「…そう。」
リチャードは困った顔をしている。
「今日はお客様がいらっしゃるの。」
「お客様、ですか?エバンズ商会のヘンリー殿がいらっしゃると聞いていますが。」
「ええ。ヘンリーが教会の方を連れてくるわ。」
「教会!?まさか、奥様…!?」
リチャードはもちろんエリーとブラッドリーの間に夫婦生活がないことを把握している。三年記念の今日に教会から人が来る、となれば嫌な予感しかないだろう。
「旦那様はこのことをご存じなのですか!?」
「旦那様は私が離縁の話をする度に話をそらして、最近は会ってもいなかったわ。こちらにも準備があるのに、酷いわよね。全く他人への配慮ができない人よね。」
特にこれまで、エリーは使用人たちの前でブラッドリーの悪口を話すことはなかった。もちろん褒めることもなかったが。
なので侍女たちは少し驚いている。
「でも、問題ないわ。婚約するときに、三年で離縁する約束だったの。」
「ええ!?」
そうこうしているうちに、ヘンリーが教会から神官やシスターを連れてやってきた。
「今回は白い結婚による離縁手続きをお望みとのことで間違いないですか?」
「はい。」
「旦那様がいらっしゃらないようですが、同意はないということでいいでしょうか。」
「いいえ。こちらをご覧ください。」
エリーは大事に保管していた契約書を取り出した。
「今回の離縁は三年前に決定していたことです。旦那様は忙しく、本日は不在ですが、異存はないでしょう。」
神官が契約書を確認する横からリチャードとヘンリーもそれを覗き込む。片方は青ざめ、片方は面白そうににやにやしている。おいおい、厚かましいぞ。
「確かに、ブラッドリー・オルグレン殿のサインの様です。」
そこからシスターたちに白い結婚であることを確認してもらい、あっさりと離縁の手続きが進んだ。
「ではこちらを教会に提出して手続きは完了となります。」
「お、お待ちください!」
帰って行こうとする神官たちを慌ててリチャードが止める。
「何か?」
「旦那様の帰りを待っていただけませんか?」
「しかし、これは奥様が有している正当な権利であります。実際に旦那様との契約書も提出いただきましたし、離縁を阻むものはありません。」
「オルグレン公爵家は代々、宰相を預かる家。離縁一つにも適切なタイミングを考える必要があります。」
「…では、公表のタイミングはお任せします。教会は離縁の手続きを行うのみですから。」
そうして、神官たちは帰って行った。
「奥様…、こんなことを独断でされては…。」
「独断ではないわ。リチャードも見たでしょう?旦那様とは契約書を交わしているの。みんなにはつかの間の妻なのにこんなに良くしてもらって感謝しているわ。」
そうして席を立ちあがる。
「今日、屋敷を出ていくわ。」
「お待ちください!旦那様と話し合ってください!」
「旦那様とは何度も話し合おうとしたわ。でも取り合ってくださらないの。離縁の公表時期は旦那様にお任せするとお伝えしておいて。」
「家を出て、どこに行くというのです!?」
「ひとまずはホテルに泊まるわ。私の個人資産から泊まれるところに。」
「エリー、荷物は本当にこれだけでいいのか?」
エリーが部屋から持ってきた荷物をヘンリーが持つ。
「ええ。公爵家で買ったものはすべて置いていくから。」
「庭の家庭菜園グッズは?」
「あれも公爵家で買ってもらったものだから…。あら、そういえば、あれは買ってないわね。」
エリーは自慢の家庭菜園とガゼボのある庭へと出る。ちなみに夏の野菜の収穫はすべて終えている。畑にあるのは愛嬌のある顔をした案山子だけだ。
案山子の側にはいつごろからか出没するようになったカエルがいる。
「この案山子、ヘンリーにタダでもらったのよね。持っていこうかしら。」
「いや、もうそれ、ゴミでいいだろ…。」
「でも、三年間、ほぼ毎日この案山子を見てたのよ?思い入れがあるわ。もう、相棒みたいなものよ。」
よっこいしょっと地面に刺さった案山子を引き抜く。
「あなたも行く?」
と一応カエルにも声をかけたが、ゲコーといってどこかへ跳ねて行ってしまった。…フラれてしまった。
「さあ、行きましょう。」
エリーは案山子を担いでヘンリーの用意してくれた馬車へと向かう。
「奥様…、本当に行ってしまわれるのですか?」
専属侍女の三人が狼狽えた様子で後ろをついて来る。
「ええ。行くわ。あなたたちにも世話になったわね。次の奥様にも誠心誠意お仕えして差し上げて。」
エリーは誰の引き留めにも答えずに馬車に乗った。そしてその馬車は屋敷を出ていった。
…完全にフリーズしている。
「そ、それは、アーチボルト嬢とそなたは恋仲であったということか…?」
「いいえ!これから求婚する予定です。しかし、平民の自分では侯爵令嬢に求婚をすることなどできません。なので、まず陛下の許可をいただきたく。そして、晴れてお思いが通じた際には結婚のお許しをいただきたく。」
「そ、そうか。う、うむ。求婚を許可しよう。」
許可を出したら王命での結婚ということにはならないと判断した国王はとりあえず、求婚の許可をだした。
「ありがたき幸せにございます。」
そう言ってサマルは軽い足取りで下がって行った。オルグレン公爵家に大きな爆弾を落として。
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アーチボルト嬢はブラッドリーとの婚約が内々定している。しかし、本来の意味合いはポートレット帝国との終戦を成し遂げ、アーチボルト家が侯爵位に復帰した今となっては薄い。
しかし、イヴァン皇子の件がある。皇子がアーチボルト嬢を見つけて求婚してしまうと、今の状態では断りにくい。なのでなるべく早く彼女に高位貴族と縁づいてほしいという思惑があり、このまま二人は正式に婚約する予定だった。
エリーとブラッドリーの離縁の後で。
しかし、ここにきて救国の英雄が爵位よりも金よりも彼女がほしいと求婚してしまった。
国王陛下は頭を悩ませることとなる。
式典の後、ブラッドリーは呆然とした様子でどこかに行ってしまった。おそらく今後のことを話し合うのだろう。
結局、ブラッドリーと離縁の話は全くできないままに、三回目の結婚記念日を迎えた。
「リチャード、今日は旦那様は?」
「朝早くに仕事へと行ってしまわれまして…。奥様がお話があると仰っていたことは伝えたのですが、今日もお帰りになるのは難しいと。」
「…そう。」
リチャードは困った顔をしている。
「今日はお客様がいらっしゃるの。」
「お客様、ですか?エバンズ商会のヘンリー殿がいらっしゃると聞いていますが。」
「ええ。ヘンリーが教会の方を連れてくるわ。」
「教会!?まさか、奥様…!?」
リチャードはもちろんエリーとブラッドリーの間に夫婦生活がないことを把握している。三年記念の今日に教会から人が来る、となれば嫌な予感しかないだろう。
「旦那様はこのことをご存じなのですか!?」
「旦那様は私が離縁の話をする度に話をそらして、最近は会ってもいなかったわ。こちらにも準備があるのに、酷いわよね。全く他人への配慮ができない人よね。」
特にこれまで、エリーは使用人たちの前でブラッドリーの悪口を話すことはなかった。もちろん褒めることもなかったが。
なので侍女たちは少し驚いている。
「でも、問題ないわ。婚約するときに、三年で離縁する約束だったの。」
「ええ!?」
そうこうしているうちに、ヘンリーが教会から神官やシスターを連れてやってきた。
「今回は白い結婚による離縁手続きをお望みとのことで間違いないですか?」
「はい。」
「旦那様がいらっしゃらないようですが、同意はないということでいいでしょうか。」
「いいえ。こちらをご覧ください。」
エリーは大事に保管していた契約書を取り出した。
「今回の離縁は三年前に決定していたことです。旦那様は忙しく、本日は不在ですが、異存はないでしょう。」
神官が契約書を確認する横からリチャードとヘンリーもそれを覗き込む。片方は青ざめ、片方は面白そうににやにやしている。おいおい、厚かましいぞ。
「確かに、ブラッドリー・オルグレン殿のサインの様です。」
そこからシスターたちに白い結婚であることを確認してもらい、あっさりと離縁の手続きが進んだ。
「ではこちらを教会に提出して手続きは完了となります。」
「お、お待ちください!」
帰って行こうとする神官たちを慌ててリチャードが止める。
「何か?」
「旦那様の帰りを待っていただけませんか?」
「しかし、これは奥様が有している正当な権利であります。実際に旦那様との契約書も提出いただきましたし、離縁を阻むものはありません。」
「オルグレン公爵家は代々、宰相を預かる家。離縁一つにも適切なタイミングを考える必要があります。」
「…では、公表のタイミングはお任せします。教会は離縁の手続きを行うのみですから。」
そうして、神官たちは帰って行った。
「奥様…、こんなことを独断でされては…。」
「独断ではないわ。リチャードも見たでしょう?旦那様とは契約書を交わしているの。みんなにはつかの間の妻なのにこんなに良くしてもらって感謝しているわ。」
そうして席を立ちあがる。
「今日、屋敷を出ていくわ。」
「お待ちください!旦那様と話し合ってください!」
「旦那様とは何度も話し合おうとしたわ。でも取り合ってくださらないの。離縁の公表時期は旦那様にお任せするとお伝えしておいて。」
「家を出て、どこに行くというのです!?」
「ひとまずはホテルに泊まるわ。私の個人資産から泊まれるところに。」
「エリー、荷物は本当にこれだけでいいのか?」
エリーが部屋から持ってきた荷物をヘンリーが持つ。
「ええ。公爵家で買ったものはすべて置いていくから。」
「庭の家庭菜園グッズは?」
「あれも公爵家で買ってもらったものだから…。あら、そういえば、あれは買ってないわね。」
エリーは自慢の家庭菜園とガゼボのある庭へと出る。ちなみに夏の野菜の収穫はすべて終えている。畑にあるのは愛嬌のある顔をした案山子だけだ。
案山子の側にはいつごろからか出没するようになったカエルがいる。
「この案山子、ヘンリーにタダでもらったのよね。持っていこうかしら。」
「いや、もうそれ、ゴミでいいだろ…。」
「でも、三年間、ほぼ毎日この案山子を見てたのよ?思い入れがあるわ。もう、相棒みたいなものよ。」
よっこいしょっと地面に刺さった案山子を引き抜く。
「あなたも行く?」
と一応カエルにも声をかけたが、ゲコーといってどこかへ跳ねて行ってしまった。…フラれてしまった。
「さあ、行きましょう。」
エリーは案山子を担いでヘンリーの用意してくれた馬車へと向かう。
「奥様…、本当に行ってしまわれるのですか?」
専属侍女の三人が狼狽えた様子で後ろをついて来る。
「ええ。行くわ。あなたたちにも世話になったわね。次の奥様にも誠心誠意お仕えして差し上げて。」
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