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第7章 ーノエル編ー
9 学園二年目
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二年生が始まる前の夏休み、ノエルはロバート商会の本部をリアと共に訪ねていた。
昨年度、制服への導入に向けて活動していたカーディガン、ついに完成し発売前に功労者であるノエルとリアに無料でプレゼントされたのだ。
色は白と黒の二色。もちろん二色とも必要である。こうしてノエルは学園生活を楽しくするアイテムを手に入れたのだった。
「ロバ―ト商会の服飾部門は主に貴族向けのプレタポルテを販売しているの。裕福な平民たちにも流通しているわ。もちろんオートクチュールの扱いもあるわ。
ノエルの服を参考に私の新しいお茶会用の洋服を注文してあるの。デザイナーがノエルに会いたいそうだから、一緒に覗いていきましょう。」
貴族向けの高い服には手が出ないが、素敵なデザインがあればクロエに教えてあげよう。
服飾部門の受付ではちょうど美しい黒髪に鮮やかな紫色の布を被った褐色の肌のスレンダーな異国美人が何やらデザイナーと話しこんでいた。
「あら、ビクトリア・マクレガー様、よくいらっしゃいました。」
「ごきげんよう、アイシャさん。注文した服の確認に来たの。ルチアさんはいるかしら。」
「いますよ。すぐに呼びますね。ご一緒にいらっしゃったのはカーディガン発案者のノエル・ボルトン様かしら?」
「はい。」
異国美人、アイシャさんは流暢なヒューゲン語で語り、にっこりとほほ笑んだ。
「ノエル、彼女はアイシャさん。服飾部門長の奥様なの。」
さっき会ったおじさんの奥さんということか…。
「砂漠の国のご出身ですか?」
ノエルが聞くと「ええ」とアイシャさんは頷いた。二人が魔法学園の二年目が始まるという話をしたら、「あら」と小首を傾げる。
「じゃあ息子の同級生ね。息子は魔力もちで魔法学園に通っているのよ。」
これが次の出会いへのフラグだったのだと、後日ノエルは思う。
ー---
魔法学園の二年目は試験結果の確認から始まった。
魔法学園では学年の終わりに試験がある。その結果が年度初めに公表されるのだ。ノエルもルームメイトのコレットとダコタと成績を確認しに行った。ちなみに三人ともカーディガンを着ている。
成績表の周りには人だかりができていた。
「すごい!ノエル、7位じゃない!」
「やったー!魔法頑張ったからだね!歴史は本当にボロボロだったんだけど…。」
「そりゃ授業で毎回寝てたらそうよね…。」
「一位はやっぱりハロルドか…。」
三位にはザラの名前があり、思わずノエルも笑顔になる。ちなみにリアは四位だ。高位貴族として下手な成績は出せないらしい。
少し離れたところで、ガンっという音がして驚いたようにみんながそちらを向く。一人の男子学生が悪態をつきながら去っていくところだった。
「多分三年生ね…。成績が専門課程の振り分けに響いてくるから。成績が悪かったんじゃない?」
そこに続々とノエルのクラスメイト達もやってくる。
「さすが、ハロルド、一位だな!」
ハロルドとそのルームメイト、ネイトとベンがやってきた。ネイトはハロルドの肩に腕を回し、得意げである。ベンは成績を確認して安心したような顔をしていた。
「二位は、黒い巨塔で三位がザラ・ウォーか。」
”黒い巨塔”とはコレットが書いたオカルト記事に出てくる学生である。言葉を交わすと魂を抜かれる、とかいう。そう、明らかにガセだ。
”黒い巨塔”の名前を確認しようと成績表を振り返りかけたところにカーディガンを着たリアがやってきた。
「ごきげんよう、みんな。成績はどう?」
「おはよー、リア。リアは四位だよ。」
リアがやってくるとネイトがぷいと横を向いてハロルドを引っ張っていこうとする。ハロルドはするりとネイトの腕を抜けてノエルのところへやってきた。
「ノエル、僕、非魔法族の遊び、『かくれんぼ』を学んだんだ。一緒にやらない?ランチまでまだ一時間ぐらいあるし。」
かくれんぼって、何歳児だ。
「えー。かくれんぼって子供の遊びだよ?」
「デザート賭けるよ。ちなみにリアも参加する。個室のデザートも賭ける。」
「え、ちょっと、ハロルド、勝手に決めないでよ。」
リアは文句を言っているが、それならありだ。
「いいよ。私が鬼?」
「いや、僕が鬼やるよ。このまえに隠れたから。」
せっかくならもっとたくさんの人を呼んでやりたい。ふとクラスメイトのデイビー三姉妹を視界にとらえた。熊獣人デイビー家の三つ子である。
「レーナ!ミッチー!コリン!一緒にかくれんぼしない?」
ー---
かくれんぼの制限時間5分前といったタイミング。これなら無事に逃げおおせるだろう。ノエルは鬼たちを躱しながらかくれんぼ中も学園内を移動していた。そして成績表の前に戻ってきた。
成績表の前には褐色の肌の学生がたたずんでいる。
…知らない人と話していたら、案外見つかりにくいかもしれないわ。
そう思ってノエルは彼に声をかけた。
「ねえねえ、君。ちょっと私とお話ししない?」
その男子学生は横を見て下を見た。…失礼ね。ネクタイの色は黒いことから背は高いが、3年生かもしれない。
「ノエル・ボルトン?」
「私のこと知ってるの?何年生?」
「二年生だよ。同級生だ。」
「そうだったの!?2組?3組?」
「2組。…何か用?」
この背の高い少年はまさかの同い年で同学年だった様だ。絶対に上級生だと思った。
「今、1組のみんなでかくれんぼしてるの。最後まで一人でも生き残ったら、鬼チームの昼食のデザートがもらえるの。」
「…かくれんぼ?1組のみんな、で?」
「鬼チームは貴族ばかりなの。個室の子もいるから、きっと豪華なデザートが手に入るわ!」
彼は肌の色からも貴族ではないだろう。貴族はウソみたいに白い肌をしている。天然か化粧かはさておきに。
「それで、なんで僕と話を。」
「かくれんぼ中の人が道の真ん中で話しているなんて誰も思わないでしょう?人を隠すなら人の中よ。歩きながらしゃべりましょう?…と言ってもあと、3分でタイムアウトなの。だからもしどこかに行く予定なら道すがらでいいわ。」
「ノーエル、みーつけた!!」
他愛もない話をしながら連れ立って歩いていると、すぐに誰かが走り寄ってきて腕をつかまれた。ハロルドはノエルの手首をつかみ上へと掲げる。ピという音とともに現在時刻を表す数字が表れる。
「11時59分!鬼チームの勝ち!」
「え、みんな捕まったの?」
「僕が本気を出せば、君以外は秒速だよ。まずいと思ったけど、まさか”黒い巨塔”とおしゃべりしながら移動してくれちゃうなんて。そんなことする人、この学園には君しかいないよ。」
ノエルは驚いて隣の男子学生を見る。
「君が噂の”黒い巨塔”だったの?あの、言葉を交わすと魂を抜かれるっていう?」
「…な、なにそれ?」
これが”黒い巨塔”ことショーン・ロバートとノエルの出会いである。
昨年度、制服への導入に向けて活動していたカーディガン、ついに完成し発売前に功労者であるノエルとリアに無料でプレゼントされたのだ。
色は白と黒の二色。もちろん二色とも必要である。こうしてノエルは学園生活を楽しくするアイテムを手に入れたのだった。
「ロバ―ト商会の服飾部門は主に貴族向けのプレタポルテを販売しているの。裕福な平民たちにも流通しているわ。もちろんオートクチュールの扱いもあるわ。
ノエルの服を参考に私の新しいお茶会用の洋服を注文してあるの。デザイナーがノエルに会いたいそうだから、一緒に覗いていきましょう。」
貴族向けの高い服には手が出ないが、素敵なデザインがあればクロエに教えてあげよう。
服飾部門の受付ではちょうど美しい黒髪に鮮やかな紫色の布を被った褐色の肌のスレンダーな異国美人が何やらデザイナーと話しこんでいた。
「あら、ビクトリア・マクレガー様、よくいらっしゃいました。」
「ごきげんよう、アイシャさん。注文した服の確認に来たの。ルチアさんはいるかしら。」
「いますよ。すぐに呼びますね。ご一緒にいらっしゃったのはカーディガン発案者のノエル・ボルトン様かしら?」
「はい。」
異国美人、アイシャさんは流暢なヒューゲン語で語り、にっこりとほほ笑んだ。
「ノエル、彼女はアイシャさん。服飾部門長の奥様なの。」
さっき会ったおじさんの奥さんということか…。
「砂漠の国のご出身ですか?」
ノエルが聞くと「ええ」とアイシャさんは頷いた。二人が魔法学園の二年目が始まるという話をしたら、「あら」と小首を傾げる。
「じゃあ息子の同級生ね。息子は魔力もちで魔法学園に通っているのよ。」
これが次の出会いへのフラグだったのだと、後日ノエルは思う。
ー---
魔法学園の二年目は試験結果の確認から始まった。
魔法学園では学年の終わりに試験がある。その結果が年度初めに公表されるのだ。ノエルもルームメイトのコレットとダコタと成績を確認しに行った。ちなみに三人ともカーディガンを着ている。
成績表の周りには人だかりができていた。
「すごい!ノエル、7位じゃない!」
「やったー!魔法頑張ったからだね!歴史は本当にボロボロだったんだけど…。」
「そりゃ授業で毎回寝てたらそうよね…。」
「一位はやっぱりハロルドか…。」
三位にはザラの名前があり、思わずノエルも笑顔になる。ちなみにリアは四位だ。高位貴族として下手な成績は出せないらしい。
少し離れたところで、ガンっという音がして驚いたようにみんながそちらを向く。一人の男子学生が悪態をつきながら去っていくところだった。
「多分三年生ね…。成績が専門課程の振り分けに響いてくるから。成績が悪かったんじゃない?」
そこに続々とノエルのクラスメイト達もやってくる。
「さすが、ハロルド、一位だな!」
ハロルドとそのルームメイト、ネイトとベンがやってきた。ネイトはハロルドの肩に腕を回し、得意げである。ベンは成績を確認して安心したような顔をしていた。
「二位は、黒い巨塔で三位がザラ・ウォーか。」
”黒い巨塔”とはコレットが書いたオカルト記事に出てくる学生である。言葉を交わすと魂を抜かれる、とかいう。そう、明らかにガセだ。
”黒い巨塔”の名前を確認しようと成績表を振り返りかけたところにカーディガンを着たリアがやってきた。
「ごきげんよう、みんな。成績はどう?」
「おはよー、リア。リアは四位だよ。」
リアがやってくるとネイトがぷいと横を向いてハロルドを引っ張っていこうとする。ハロルドはするりとネイトの腕を抜けてノエルのところへやってきた。
「ノエル、僕、非魔法族の遊び、『かくれんぼ』を学んだんだ。一緒にやらない?ランチまでまだ一時間ぐらいあるし。」
かくれんぼって、何歳児だ。
「えー。かくれんぼって子供の遊びだよ?」
「デザート賭けるよ。ちなみにリアも参加する。個室のデザートも賭ける。」
「え、ちょっと、ハロルド、勝手に決めないでよ。」
リアは文句を言っているが、それならありだ。
「いいよ。私が鬼?」
「いや、僕が鬼やるよ。このまえに隠れたから。」
せっかくならもっとたくさんの人を呼んでやりたい。ふとクラスメイトのデイビー三姉妹を視界にとらえた。熊獣人デイビー家の三つ子である。
「レーナ!ミッチー!コリン!一緒にかくれんぼしない?」
ー---
かくれんぼの制限時間5分前といったタイミング。これなら無事に逃げおおせるだろう。ノエルは鬼たちを躱しながらかくれんぼ中も学園内を移動していた。そして成績表の前に戻ってきた。
成績表の前には褐色の肌の学生がたたずんでいる。
…知らない人と話していたら、案外見つかりにくいかもしれないわ。
そう思ってノエルは彼に声をかけた。
「ねえねえ、君。ちょっと私とお話ししない?」
その男子学生は横を見て下を見た。…失礼ね。ネクタイの色は黒いことから背は高いが、3年生かもしれない。
「ノエル・ボルトン?」
「私のこと知ってるの?何年生?」
「二年生だよ。同級生だ。」
「そうだったの!?2組?3組?」
「2組。…何か用?」
この背の高い少年はまさかの同い年で同学年だった様だ。絶対に上級生だと思った。
「今、1組のみんなでかくれんぼしてるの。最後まで一人でも生き残ったら、鬼チームの昼食のデザートがもらえるの。」
「…かくれんぼ?1組のみんな、で?」
「鬼チームは貴族ばかりなの。個室の子もいるから、きっと豪華なデザートが手に入るわ!」
彼は肌の色からも貴族ではないだろう。貴族はウソみたいに白い肌をしている。天然か化粧かはさておきに。
「それで、なんで僕と話を。」
「かくれんぼ中の人が道の真ん中で話しているなんて誰も思わないでしょう?人を隠すなら人の中よ。歩きながらしゃべりましょう?…と言ってもあと、3分でタイムアウトなの。だからもしどこかに行く予定なら道すがらでいいわ。」
「ノーエル、みーつけた!!」
他愛もない話をしながら連れ立って歩いていると、すぐに誰かが走り寄ってきて腕をつかまれた。ハロルドはノエルの手首をつかみ上へと掲げる。ピという音とともに現在時刻を表す数字が表れる。
「11時59分!鬼チームの勝ち!」
「え、みんな捕まったの?」
「僕が本気を出せば、君以外は秒速だよ。まずいと思ったけど、まさか”黒い巨塔”とおしゃべりしながら移動してくれちゃうなんて。そんなことする人、この学園には君しかいないよ。」
ノエルは驚いて隣の男子学生を見る。
「君が噂の”黒い巨塔”だったの?あの、言葉を交わすと魂を抜かれるっていう?」
「…な、なにそれ?」
これが”黒い巨塔”ことショーン・ロバートとノエルの出会いである。
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