Varth統一戦史

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第42話 XXの日記2

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それはとっても日差しが気持ちがいい初夏のある日のこと。
河原を散歩してたら、小学生の七夕の願い事が飾ってあった、半分以上が、健康と平和を願っている。病気にならずに、争いにも巻き込まれずに楽しく長生きしたい。なんて素直な願いなんだろう、感動してしまった。子供は素直に長生きしたいって思ってるんだ。

ほとんどの子供たちにはこの世界になんで戦争があるのか、なんで争いが起こるのかちっとも理解不能だろう、誰もが健康で平和に暮らしたいと願ってるじゃないか?争いなんてナンセンスだって。
 誰もちゃんと戦争がこういうわけで起きるのだよ、と教えないらしい、教育法的なもので教えられないのか知らないけど。オトナも全然わかってないし、知ろうともしないんだろう。

 なぜ戦争が起こるかなんてのは調べればすぐにわかる、すべての戦争の根は一つだそれは人間が「独占的に所有」しようとするようになったからだ。
狩猟時代、人間がその日暮らし、適当に狩りだとかたまたま実っていた果物とかを食べていた時代には戦争がなかった、争いというものがなかった、武器というものがなかった。
 ただ農業が生まれて、土地を独占的に所有するようになった、他の人間からすれば、農業してる奴らの言うことはめちゃくちゃだ、ここはワタシ達が農業してるから、ワタシ達のものだ、近づくな盗人め!略奪者め!こういうわけだ。独占的所有者が、犯罪者、を生み出してるというわけ。
 土地だけじゃない、この人間はワタシの嫁でワタシの独占的所有物だ、手を出すなこの川は、この家は、この奴隷は、この船は、この海は・・・ある日突然昨日と同じ道を歩いていたら、私有地に入るな!不法侵入で殺す!ってなるのだ。

  基本的に戦争、争いの基礎はすべてがここだ。正しい、国家、なんてものはない。
 誰もが、武力で、土地を独占的所有出来るように勝ち取り、そこで生きている
すべて過去の戦争の結果の上に成り立っている。平和は戦争によって獲得されるもので初めからあったものじゃない。平和を願うってことは、宣戦布告してるのと同じだ、戦利品に手を出すな、と言ってるだけだから。


 ほかの一割はもっと具体的な夢を書いていた、スポーツ選手、お菓子屋さん、アイドル・・・別の一割はゲーム、ゲームで進めたいところとかレアなものが欲しい、プロゲーマーになりたい、ゲームプログラマーになりたい、ワタシの友達もこう描くだろう、おもろいゲームが作りたい、世界を楽しくしたいっていつも言ってる。

 もっと大人びたドライな夢もある、お金持ちになって、欲しい物をすべて買って、海外のリゾートに移住して、何もしないでダラダラと暮らしたい。これはこの子のまわりのオトナがこういう事を言ってるんだろう。メディアとかが伝えるオフィシャルの成功、ってのがこういうことだものね。子供なのに想像力が欠如した小さい夢だ、残念だけれど子供なのにもう見込みがない。

 次に愛情、憧れのアイドルに会いたい、有名人にあいたい、好きな人に愛されたい、大人の願い事ならもっとここが増えるんだろう、そして点数稼ぎか誰かに書かされているのか、優等生の願いもある。医者になって誰かを救いたい、誰かを救う仕事がしたい、人に優しく出来るようになりたい・・・

 戦争の起源は、この最後のグループだ。なんで人々が「独占的所有」をしようとするのか?その理由はこの愛されたいという人間と、誰かを救いたいという途方も無くでかい夢を見る人間がいるからだ。
 誰かに愛されたいから、愛する人を救いたいから。そのために「独占的所有」が必要になる、そのために争うことになる。自分の為に自分の命を賭けて戦うってのはむちゃくちゃだ、自分が死んだら意味がない。けど誰かのためなら命を捧げて戦う意味が生まれる。
 戦争ってのはキレイゴトだ  戦争と正義 は同じものだ

人間ってのは二人の人間から生まれる、どうやったって、何かしら繋がりを持ってしまう、愛情や絆は途切れることなく続き、助けたい人間や救いたい人間も増えていく。
 ヒトが優しくなれば戦争はなくなると思ってる人々、ヒトが賢くなれば戦争がなくなると思ってる人々、それはまったくの真逆だ、ヒトが本当に自分のことだけ考えるようになり、ヒトが誰が家族かもわからないほど愚かになれば戦争はなくなる・・・戦争が無い世界、本当は誰も望んでなんかない・・・、けれどそれは人間の望みに関わらず訪れてしまう・・・、ワタシは戦争が無い世界が来るのが怖い、そんな世界は生きるに値しない。

 自由とは何か?それは平和で豊かに暮らす自由じゃない、戦う自由だ、それがすべての自由の源泉だ。
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