最古の吸血鬼は眷属と静かに暮らしたい

序章

吸血鬼とヴァンパイア

ほぼ世界観の説明です。読むとより理解しやすいと思います。







ここは魔王が勇者一向に討伐され魔物が死滅した世界。

世界中が歓喜に包まれたのも束の間、今度は吸血鬼という魔人が誕生する。吸血鬼は元は人間であり、吸血により人間を理性の持たないヴァンパイアへと変える。ヴァンパイアは血を求め、吸血により理性を保つことが出来る。

元は人間のため、動物の血で生きていくヴァンパイアも存在するが、その血は酷く不味いものであるため、ヴァンパイアのほとんどは人間を襲い血を吸っている。

吸血鬼とヴァンパイアの違いはその強さと増殖率の違いである。
ヴァンパイアは日光に弱く、日中は日光の届かない場所で眠りにつく。身体の成長は全盛期で止まるが、寿命は人間の頃と変わらない。
身体能力は人間だったころの3倍に向上し、定期的に血を吸うことで渇きを潤す。噛まれた人間は体内にヴァンパイアの体液が入り込むことによってヴァンパイアに転化する
転化にかかる時間は丸一日。その間に聖水を飲むことが出来れば転化を防ぐことが出来る。転化直後や一定期間血を吸わないでいると理性を失い、ただ血を求める化け物となるのだ。

これとは違い吸血鬼は日中も問題なく行動でき、身体の成長は全盛期を維持したまま永遠の時を生きる。渇きは無く、吸血時は性的な快楽に似た感覚を得る。身体能力は人間だったころの5倍、また威圧や精神干渉、使役といった能力を有している。
吸血鬼にかまれても人間はヴァンパイアに転化し、吸血鬼の血を飲むことでヴァンパイアは吸血鬼に進化できる。そのため吸血鬼はヴァンパイアからも狙われることになるが、吸血鬼はヴァンパイアの最上位種であり、吸血鬼自身が許可を出さない限り滅多にヴァンパイアは吸血鬼の血を飲むことはできない。これが吸血鬼の数が少ない理由である。

吸血鬼が人間を噛み、その血を飲んだ後、自身の血をヴァンパイア化した元人間に与えることで眷属となる。これが使役であり、吸血鬼の血を飲んだヴァンパイアは吸血鬼となるが、自身に血を与えた吸血鬼に絶対服従となる。その代わり他の上位吸血鬼からは精神支配や威圧を受けなくなるのだ。

吸血鬼、ヴァンパイアの中にも能力差があり、滅多に生まれることはないがヴァンパイアの変異種は一部の吸血鬼にも勝ると言われている。


吸血鬼、ヴァンパイアを総称して魔人や魔族と呼び、それに対抗するため吸血鬼やヴァンパイアを狩る職業が生まれた。今まで冒険者と名乗っていた者たちはハンターと名乗り、冒険者ギルドはハンター教会となった。

ハンターは皆、銀のタグを付けており、銀は魔を退けると信じられている。実際は銀だけでなく、聖水に1年ほど浸けておく必要があり、その聖水が高価な物のため市場に出回る事はほとんどない。主に国が聖水を管理しており、大規模討伐やハンターなどに武器として支給されている。ヴァンパイアは聖水につけた銀の武器で心臓を潰せば殺すことができる。しかし、吸血鬼は心臓を潰してもダメージは与えられるが丸一日で再生するため、地中深くに埋めることとなっている。

高ランクのハンターになると女神の加護を与えられ、吸血鬼の威圧や精神干渉を受けなくなる。





これは仲間と共に死ぬことができなかった吸血鬼と、その眷属たちの物語である。