73 / 101
73
しおりを挟む「いったいどうしたの? デザート食べないなんてモッコらしくない。」
朋美はデザートプレートに乗ったフルーツをフォークで刺しながらモッコに言った。
二人は近くのケーキ屋に併設されてあるカフェで待ち合わせた。
「…それがさ…ハァ…」
モッコはさっきから溜息ばかりついている。
「沙也加のご主人の事でしょ? あれからどうなったの?」
朋美は聞いた。
「輝也さんにはちゃんと伝えるつもり。二人では会わないって…。」
モッコは溜息交じりに答えた。
朋美はモッコのその姿に、彼女の考えている事はものすごく分かりやすいなと思った。
「他にも何かありそうだね…。」
朋美は言った。
「…実は…」
「うん。」
「主人がね…」
「うん。」
「…離婚したいって…。」
「ハァ?」
「あの人、私と離婚したいって言ってるのよ!」
モッコはテーブルを叩いた。
「何でそう言う事になっちゃうわけ? モッコみたいないい奥さんいないでしょ!」
朋美は言った。
「…そんなこと…ないけど…」
モッコは肩を落とした。
―全く私の周りの男たちは何考えてんのかしら…
朋美は呆れてコーヒーを飲んだ。」
「理由は何なの?」
朋美は聞いた。
モッコはうなだれたまま首を横に振った。
「浮気でもしてるのかしら….。」
朋美が呟いた。
「…それは無いわよ。あの人がそんな事出来るわけないもの…。」
モッコは言った。
「分かんないわよ! 世の中には、えっ、この人が? っていう人だって、浮気したりするんだから…。」
朋美の言葉にモッコは自分の事を言われている気がしてドキっとした。
「そ、そうかもしれないけど…あの人に限ってそんな事…。」
モッコは慌てて言った。
「どうするの? まさか離婚に応じるわけないよね?」
「そりゃあもちろん…。子供たちだっているっていうのに…。」
「そうよね…。」
朋美は心配そうにモッコを見つめた。
「とりあえず、波風起こさないようにやり過ごしてみるわ。そのうちあの人だって我に返ると思う。」
「そっか。」
朋美はモッコに微笑んだ。
「朋美は? 何かあったんじゃない? ちょっと疲れてるみたいな気がする。」
―幼馴染ってのはするどいわね…
朋美は驚いた。
「実はさ、お義母さんが、孫の顔が見たくて仕方ないみたいでさ。悪気は無いんだろうけど、圧をかけてくるのよ。そのせいもあって、ちょっとストレス溜まってる。」
朋美は言った。
「朋美は欲しくないの?」
モッコは聞いた。
「そう言う訳ではないんだけどね…。何なんだろ…。私…やっぱり冷たいのかな…。こんな私じゃとてもじゃないけどモッコみたいな良い母親にはなれそうにないわ。」
朋美は苦笑いした。
「難しいね…。女の一生って、ほんと難しいよね。」
モッコは溜息をついた。
「一生、正解を出せそうにないわ…。」
朋美も溜息をついた。
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
三度目に会えたら
まんまるムーン
ライト文芸
“沢見君とはどういう訳だか一度だけキスした事がある。付き合ってもいないのに…”
学校一のモテ男、沢見君と体育祭の看板政策委員になった私。彼には同じく学校一の美人の彼女がいる。もともと私とは違う世界の住人と思っていたのに、毎日顔を合わせるうちに仲良くなっていった。そして沢見君の心変わりを知った彼女は…狂暴化して私に襲い掛かってきた! そんな二人のすれ違い続けたラブストーリー。
ハナノカオリ
桜庭かなめ
恋愛
女子高に進学した坂井遥香は入学式当日、校舎の中で迷っているところをクラスメイトの原田絢に助けられ一目惚れをする。ただ、絢は「王子様」と称されるほどの人気者であり、彼女に恋をする生徒は数知れず。
そんな絢とまずはどうにか接したいと思った遥香は、絢に入学式の日に助けてくれたお礼のクッキーを渡す。絢が人気者であるため、遥香は2人きりの場で絢との交流を深めていく。そして、遥香は絢からの誘いで初めてのデートをすることに。
しかし、デートの直前、遥香の元に絢が「悪魔」であると告発する手紙と見知らぬ女の子の写真が届く。
絢が「悪魔」と称されてしまう理由は何なのか。写真の女の子とは誰か。そして、遥香の想いは成就するのか。
女子高に通う女の子達を中心に繰り広げられる青春ガールズラブストーリーシリーズ! 泣いたり。笑ったり。そして、恋をしたり。彼女達の物語をお楽しみください。
※全話公開しました(2020.12.21)
※Fragranceは本編で、Short Fragranceは短編です。Short Fragranceについては読まなくても本編を読むのに支障を来さないようにしています。
※Fragrance 8-タビノカオリ-は『ルピナス』という作品の主要キャラクターが登場しております。
※お気に入り登録や感想お待ちしています。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
伊緒さんのお嫁ご飯
三條すずしろ
ライト文芸
貴女がいるから、まっすぐ家に帰ります――。
伊緒さんが作ってくれる、おいしい「お嫁ご飯」が楽しみな僕。
子供のころから憧れていた小さな幸せに、ほっと心が癒されていきます。
ちょっぴり歴女な伊緒さんの、とっても温かい料理のお話。
「第1回ライト文芸大賞」大賞候補作品。
「エブリスタ」「カクヨム」「すずしろブログ」にも掲載中です!
ウブな政略妻は、ケダモノ御曹司の執愛に堕とされる
Adria
恋愛
旧題:紳士だと思っていた初恋の人は私への恋心を拗らせた執着系ドSなケダモノでした
ある日、父から持ちかけられた政略結婚の相手は、学生時代からずっと好きだった初恋の人だった。
でも彼は来る縁談の全てを断っている。初恋を実らせたい私は副社長である彼の秘書として働くことを決めた。けれど、何の進展もない日々が過ぎていく。だが、ある日会社に忘れ物をして、それを取りに会社に戻ったことから私たちの関係は急速に変わっていった。
彼を知れば知るほどに、彼が私への恋心を拗らせていることを知って戸惑う反面嬉しさもあり、私への執着を隠さない彼のペースに翻弄されていく……。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる