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「…イテテテテ…」

朝起きたら酷い頭痛がした。二日酔いだ。ベッドの上にスーツを着たままで、うつ伏せになって眠ってしまっていた。

 俺…夕べはどうしたんだっけ? 仕事終わって…なんか路地裏の店に行ったよな…

 
 タヌキ女将!

 そうだ!
 タヌキがやっている小料理屋に入ったんだ!

 え、タヌキの女将?
 夢か?
 有り得ないよな? 




 シャワーを浴びて、夕べ行った「小料理 たぬき」に行ってみた。

「…確か…この辺だったよな…?」

しかしそこはいつも通る商店街で、タヌキ女将の店があった路地などは存在していなかった。

「…やっぱり夢か…。そうだよな…。タヌキの女将がやっている小料理屋なんてあるはずないか…」

俺は来た道を戻っていった。


 何故だろう…
 何かが違う! 


夕べを境に、頭と心の膿が吐き出されたような気分になっていた。




 自分の部屋へ戻ると、今まで気にしなかった部屋の散らかりようが、すごく気になった。

 俺はゴミ袋を取り出して、ゴミをどんどん入れていった。ビールの空き缶、ペットボトル、それらを洗って潰して袋に分別して入れていった。

シンクにたまった食器をガシガシ洗って棚にしまった。洗い物が無くなると、今度はシンク自体の汚れが気になってきた。スポンジに洗剤を付けてこすってみても取れない。

 何かないかな…

引き出しをあさってみると、メラミンスポンジがあった。袋の封は空いてあって、輪ゴムで留めてある。

 …純が買い置きしてくれていたのか…。

メラミンスポンジを使ってみると効果てきめん! あっという間にピカピカになった。

 水しか使わないのに何故こんなにキレイになるんだろう?
 

 仕上げに布で乾拭きするといいんだよ
 私、水回りが汚いのってダメなんだ


 確か前に純がそんなこと言ってたな…

俺は新しい雑巾で、蛇口やシンクを乾拭きした。

 なんてことだ!
 ピッカピカになった!
 気持ちいい!

俺は32にして初めて掃除の楽しさを知ってしまった。

シンクがキレイになると、俺の掃除心に火が付いた。こうなったらいらない物を全部処分しよう! 



 断捨離始めます!



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