5 / 11
5
しおりを挟む「大丈夫、安心して。俺、口は堅いから。俺んちも、両親離婚してね、母親のメンタルが心配だったのと、姉が…ま、ちょっと大変なもんで、いまだに家から出られてないというか…。ま、俺がモテないのが一番の理由なんだけどね、ハハ…。」
「沢井君、モテないの? そんなことないんじゃない? さっきだって、すごくスマートな立ち振る舞いで、私びっくりしたよ!」
「そ、そう? そう思ってもらえたなら嬉しいな。久しぶりに同級生に会ったから、少し張り切っちゃったのも正直あったんだけどね…、ハハ…。」
沢井君は恥ずかしそうに横を向いて頭を掻いた。
「…そういえば、沢井君のお姉さん…体調悪いの? さっき…」
「あー、あれね…。ちょっとあまり言いにくいんだけど…うちの姉ね、恐怖漫画を描いてるんだ…。」
「お姉さん、漫画家さんなの?」
「…ああ…。有名ではないんだけどね。ほんとは王道の少女漫画家になりたかったらしいけど、そっちの方は全然ダメで、ずっとアシスタントとかやっててね、恐怖漫画描いてみないかって言われて…、そしたらそっちの方がうまくいったらしくて…。」
「そうなんだ! いいじゃない! 私好きだよ。よく雑誌かったりもするし。」
「そう?」
沢井君は少しホっとしたような顔をした。姉が恐怖漫画化だと知られると、たまにドン引きされることがあるらしくて、普段は隠しているらしい。
「それで姉がね、そういう漫画描いてくると、けっこうその手のものが寄ってくるらしいのよ。それで払ってって言われて、さっきみたいに手で叩いてやるんだ。」
「…沢井君…霊が見えるの?」
「見えない、見えない! 俺、霊感ゼロだから! だから本当に霊が寄ってきてるかどうかは分からないんだけど、姉に時々そう言われるのよ。そういう時って、いつもそんな症状が出るらしくて。」
「…私…、何か憑いてたのかな…?」
「いや、俺、いつものクセでついやっちゃっただけで、別に今井さんに霊が憑いているのが見えたわけじゃないし。」
「…そうなのね…。」
私は苦笑いをした。沢井君も気まずそうに苦笑いした。
「そうよ…もし私に怨霊が憑いてたとしたら、横にいるカスミが教えてくれるはずだもん。あの人いつも私の事守ってくれるから。あれ? そういえばカスミ、どこに行っちゃったんだろう? あれ?」
「カスミ…?」
「うん、ずっと一緒にいたでしょ?」
「え? 今井さんずっと一人だったよ。」
「そんなはずない! 会社からずっと一緒だったのよ。電車でも横にいたし…。」
「電車で? 今井さんの両横、おじさんだったよ。俺、目の前で見たし。」
「え?」
「その…カスミさんって人にいつも守ってもらってるって…、今井さん、そんなに過酷な状況なの?」
「過酷って言うか…そんなに酷い状況とかいうわけじゃないけど…私どんくさいし、仕事も出来ないし…、上司に怒られてばっかりでね、そんな時カスミがいつもかばってくれるんだ。派手な女友達に行きたくもない合コンに誘われたときも、カスミが…」
「優しい友達なんだね、カスミさんって。俺も派手な友達から誘われると、ちょっと疲れる事あるもんな。ま、断れない性分なんで、付き合っちゃうんだけどね。」
「あれ…? 普通…友達って…私に関係する人たちに簡単に死ねって…言うかな…?」
「死ね? 冗談なら無くはないかも…。あー、俺も冗談でも気をつけなきゃな。もし自分が言われたら立ち直れないもんな。」
「カスミはね、私に関わる人みんなに死ねって言うの!」
「冗談でじゃなくて?」
「あれは冗談なんかじゃないと思う…」
「その…カスミさんって…少し変わってるね。会社の同僚?」
「…会社の…? え…ちょっと待って…、私…いつカスミと友達になったんだろ…」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる