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せっかく歩み寄れたと思ったのは気のせいだったのか? 

晴香の心の傷は、麗子が思うよりもっともっと深いものだったのだ。 

その日以来、晴香はまた麗子をマンションに入れようとはしなくなった。

それでも麗子は毎日晴香を訪ねて行った。

麗子はもう諦めようかと何度も思った。

しかしその度に、父・一郎の顔が浮かんでくる。

なんとかして大好きな父の願いを叶えたい! 

麗子は沢渡に頼んでみることにした。



「晴香? いるんだろ? 開けてくれないか? 話がしたい。」

しばらく間があって、無言で扉が開いた。

後ろに隠れていた麗子は沢渡について晴香の部屋へ向かった。

「何であんたがいるの? 涼介、どういうこと? 帰って!」

晴香は麗子を追い出そうと肩を突き飛ばした。

「晴香! いい加減にしろよ!」

「涼介! 涼介までこの子の味方なの? 何で? 麗子、何であんたは私から大事な物を全て奪っていくのよ!」

晴香は麗子を突き飛ばしながら叫んだ。

涼介は晴香を押えた。




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