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しおりを挟む叔父は麗子に吐き捨てるように言った。
「おまえも母親も、うちの一族にとって疫病神だ! お前たちのせいで義姉さんは心を病んでしまったし、晴香は…あの子はミュージカル女優目指して小さな頃から血の滲むような努力をしてきたっていうのに! 人の家族を不幸にしておいて、何でお前たちだけのうのうと幸せに暮らしてるんだよ!」
麗子はいたたまれなくなって、会社を辞めた。
それからは、母と一緒に毎日朝から晩まで父の病院へ通って世話をするようになった。
亡くなる前、父は麗子に言った。
「ごめんな、麗子。ママと君を残していくパパを許してくれな。」
「パパ、そんな事言わないで。きっと良くなるよ!」
「僕にはもうわかるんだ。だから、麗子にお願いがあるんだ。聞いてくれるかい?」
「…うん。」
「麗子にはお姉さんがいる事、知ってるよね?」
「…晴香…さん?」
「そう。」
「晴香はね、パパのせいで、幼いころからずっと寂しい思いをしてきたんだ。僕はママと麗子の事ばかり考えていたからね。晴香には、子供の頃からミュージカル女優になりたいっていう夢があって、歌やダンスの勉強をとてもがんばっていたんだ。だけど…」
「麗子のせいだね…。沢渡さんの事でしょ? でも麗子、沢渡さんのこと、何とも思ってないよ。」
「麗子の気持ちはわかってるよ。それに麗子のせいなんかじゃない。違うんだ。全ては僕が悪い。だけど、パパはあの子の事が心配でね。パパがいなくなったら、麗子があの子の力になってくれないかな?」
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