上 下
70 / 121

70

しおりを挟む



夫の母の目には涙が浮かんでいた。

綾子は戸惑ってしまった。

一郎と一緒に結婚の許しを得るために会った時、すごい剣幕で怒鳴られた。

その後は会うことすら出来ず、門前払いだった。

その後、夫の母の代理人という人がやってきて、綾子の家族や親戚、仕事や交友関係を調べ上げた書類を見せられ、今後一郎には近づくなと言われた。

綾子の家庭環境では、一郎の家に嫁ぐことなど出来ないとわかってはいた。

嫁いだところで一郎に迷惑になるし、自分が苦労するのも目に見えていた。

そして綾子は一郎と別れたのだった。

一郎の家族と仲良くやっていける自信も資格も自分には無いと思ったから。

何年も経って、一郎が結婚していることを風の便りに聞いた。

もう自分とは関係の無い事と思っていた。

そんなある日、綾子の働いている店に一郎がやって来た。

一郎もそこに綾子がいるとは知らなかった。

そしてまた二人は元の関係に戻ってしまった。

綾子が妊娠したとわかって、一郎は妻の和恵と別れる決心をした。

その時、母親は一郎と綾子との関係を簡単に許した。

子供を産む事も受け入れた。

しかし、あくまで愛人として。

和恵と別れる事も、綾子と再婚する事も許さなかった。

和恵は綾子の事を知って、自殺未遂をした。

それ以来、心身共に病んでしまった。

結局、一郎の母が勝ったのだ。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

良心的AI搭載 人生ナビゲーションシステム

まんまるムーン
ライト文芸
 人生の岐路に立たされた時、どん詰まり時、正しい方向へナビゲーションしてもらいたいと思ったことはありませんか? このナビゲーションは最新式AIシステムで、間違った選択をし続けているあなたを本来の道へと軌道修正してくれる夢のような商品となっております。多少手荒な指示もあろうかと思いますが、全てはあなたの未来の為、ご理解とご協力をお願い申し上げます。では、あなたの人生が素晴らしいドライブになりますように! ※本作はオムニバスとなっており、一章ごとに話が独立していて完結しています。どの章から読んでも大丈夫です! ※この作品は、小説家になろうでも連載しています。

妻のち愛人。

ひろか
恋愛
五つ下のエンリは、幼馴染から夫になった。 「ねーねー、ロナぁー」 甘えん坊なエンリは子供の頃から私の後をついてまわり、結婚してからも後をついてまわり、無いはずの尻尾をブンブン振るワンコのような夫。 そんな結婚生活が四ヶ月たった私の誕生日、目の前に突きつけられたのは離縁書だった。

お飾りの侯爵夫人

悠木矢彩
恋愛
今宵もあの方は帰ってきてくださらない… フリーアイコン あままつ様のを使用させて頂いています。

寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。

にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。 父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。 恋に浮かれて、剣を捨た。 コールと結婚をして初夜を迎えた。 リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。 ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。 結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。 混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。 もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと…… お読みいただき、ありがとうございます。 エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。 それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。

思い出を売った女

志波 連
ライト文芸
結婚して三年、あれほど愛していると言っていた夫の浮気を知った裕子。 それでもいつかは戻って来ることを信じて耐えることを決意するも、浮気相手からの執拗な嫌がらせに心が折れてしまい、離婚届を置いて姿を消した。 浮気を後悔した孝志は裕子を探すが、痕跡さえ見つけられない。 浮気相手が妊娠し、子供のために再婚したが上手くいくはずもなかった。 全てに疲弊した孝志は故郷に戻る。 ある日、子供を連れて出掛けた海辺の公園でかつての妻に再会する。 あの頃のように明るい笑顔を浮かべる裕子に、孝志は二度目の一目惚れをした。 R15は保険です 他サイトでも公開しています 表紙は写真ACより引用しました

離縁の脅威、恐怖の日々

月食ぱんな
恋愛
貴族同士は結婚して三年。二人の間に子が出来なければ離縁、もしくは夫が愛人を持つ事が許されている。そんな中、公爵家に嫁いで結婚四年目。二十歳になったリディアは子どもが出来す、離縁に怯えていた。夫であるフェリクスは昔と変わらず、リディアに優しく接してくれているように見える。けれど彼のちょっとした言動が、「完璧な妻ではない」と、まるで自分を責めているように思えてしまい、リディアはどんどん病んでいくのであった。題名はホラーですがほのぼのです。 ※物語の設定上、不妊に悩む女性に対し、心無い発言に思われる部分もあるかと思います。フィクションだと割り切ってお読み頂けると幸いです。 ※なろう様、ノベマ!様でも掲載中です。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

ただいま冷徹上司を調・教・中!

伊吹美香
恋愛
同期から男を寝取られ棄てられた崖っぷちOL 久瀬千尋(くぜちひろ)28歳    × 容姿端麗で仕事もでき一目置かれる恋愛下手課長 平嶋凱莉(ひらしまかいり)35歳 二人はひょんなことから(仮)恋人になることに。 今まで知らなかった素顔を知るたびに、二人の関係は近くなる。 意地と恥から始まった(仮)恋人は(本)恋人になれるのか?

処理中です...