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しおりを挟む綾子はただじっと夫の母を見つめた。
この人は今さら私たちの前に現れて、いったい何がしたいのか?
まさか…麗子を引き取りたいなんて言うんじゃないか?
不安でたまらなかった。
「そんなに怖がらなくてもいいわ。別にあの子の事をどうこうしたいだなんて思ってない。そんな事出来るわけ無いって、いくら私でもわきまえています。」
夫の母は麗子たちの部屋を見上げた。
窓から麗子がこっちを見ていた。
彼女は笑顔で麗子に手を振った。
「私、去年、癌が見つかったの…。幸い、手術は成功したのだけど…。病室ですることもなくてぼんやりしていたら…ふとあなたとあの子の事が浮かんできて…。あなたに酷い仕打ちをしたくせに…私の孫だと思うと…あの子が愛しくなって…。」
夫の母は悲しそうに笑った。
「和恵さんの事を考えると、表立って何かする事が出来ないのだけど…。あの人は心身病んでますからね。だけど…あの子の事を愛しく思っている妖精のおばあさんがプレゼントを持ってきた事だけでも構わないから許してほしいの。お願いします。」
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