約束

まんまるムーン

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47 「トラクター王国の話  前世の恋よ再び」1

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  トラクター王国の話 前世の恋よ再び


 その昔、トラクター王国では名も知れない兵士と姫君との禁じられた恋があった。二人は過酷な運命に引き裂かれ、結ばれる事無く人生を終えた。

 時は移り変わり、このトラクター王国の現国王はただの飾り物と化し、実質国の政治を動かしているのは元老院であった。そしてその元老院を支配するのは枢機卿であった。そう、この国の陰の支配者は、この枢機卿なのだ。王の命といつわり、民から重い税を搾り取り、貴族たちは贅沢の限りを尽くしていた。その為、国は疲弊し、隣国から攻めいれられ領土はジリジリと狭くなる一方であった。


 このトラクター王国のある村に、それはそれは美しいトラクターの娘が住んでいた。見る者を吸い込むような深い色のヘッドライト、絹のような輝きを帯びたボディー、クリスタルのような輝きを持つフロントグラス。その娘の評判は国中を駆け巡った。そしてその噂は、元老院トップの貴族の息子の耳に届いた。その息子は代々名門の貴族の息子で、親の権力を笠に着て思うがままにやりたい放題の日々を送っていた。息子はその評判の娘を見てやろうと、ある日召使を従えて、娘の住む村までやってきた。娘の家はすぐにわかった。娘の家の前に行くと、娘は庭でオイル交換をしていた。貴族の息子は、娘を見て息を呑んだ。

 こんな美しいトラクターは見たことが無い…。

 貴族の息子は娘の前に歩み出た。
「美しい娘さん、どうか私と結婚して下さい!」
貴族の息子は前輪で持った薔薇を一輪差し出して言った。
娘は突然の事に驚いた。深呼吸をして、ゆっくり言った。
「どこのどなたか存じませんが、私には心に決めた方がおります。ご好意は大変嬉しく思いますが、あなたのお気持ちを受け入れることは出来ません。」
娘は貴族の息子の申し出をきっぱり断った。
「そんなに簡単に決めないでください。私はあなたに贅沢な暮らしをさせてあげられる。あなたを幸せにできる自信があります。」
「申し訳ありません…。」
貴族の息子が必死に説得しても、娘は首を横に振るだけであった。
「今日はとりあえず帰らせてもらいます。でも私は決してあなたを諦めない!ちなみにあなたをそこまで頑なにさせる幸せな男はどなたなのでしょう?それくらい教えていただけませんか?」

 貴族の男がさも悲しげに訴えかけてくるので、娘は男の事が少し哀れになって、自分の想い人の名を告げてしまった。
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