47 / 71
47 「トラクター王国の話 前世の恋よ再び」1
しおりを挟むトラクター王国の話 前世の恋よ再び
その昔、トラクター王国では名も知れない兵士と姫君との禁じられた恋があった。二人は過酷な運命に引き裂かれ、結ばれる事無く人生を終えた。
時は移り変わり、このトラクター王国の現国王はただの飾り物と化し、実質国の政治を動かしているのは元老院であった。そしてその元老院を支配するのは枢機卿であった。そう、この国の陰の支配者は、この枢機卿なのだ。王の命といつわり、民から重い税を搾り取り、貴族たちは贅沢の限りを尽くしていた。その為、国は疲弊し、隣国から攻めいれられ領土はジリジリと狭くなる一方であった。
このトラクター王国のある村に、それはそれは美しいトラクターの娘が住んでいた。見る者を吸い込むような深い色のヘッドライト、絹のような輝きを帯びたボディー、クリスタルのような輝きを持つフロントグラス。その娘の評判は国中を駆け巡った。そしてその噂は、元老院トップの貴族の息子の耳に届いた。その息子は代々名門の貴族の息子で、親の権力を笠に着て思うがままにやりたい放題の日々を送っていた。息子はその評判の娘を見てやろうと、ある日召使を従えて、娘の住む村までやってきた。娘の家はすぐにわかった。娘の家の前に行くと、娘は庭でオイル交換をしていた。貴族の息子は、娘を見て息を呑んだ。
こんな美しいトラクターは見たことが無い…。
貴族の息子は娘の前に歩み出た。
「美しい娘さん、どうか私と結婚して下さい!」
貴族の息子は前輪で持った薔薇を一輪差し出して言った。
娘は突然の事に驚いた。深呼吸をして、ゆっくり言った。
「どこのどなたか存じませんが、私には心に決めた方がおります。ご好意は大変嬉しく思いますが、あなたのお気持ちを受け入れることは出来ません。」
娘は貴族の息子の申し出をきっぱり断った。
「そんなに簡単に決めないでください。私はあなたに贅沢な暮らしをさせてあげられる。あなたを幸せにできる自信があります。」
「申し訳ありません…。」
貴族の息子が必死に説得しても、娘は首を横に振るだけであった。
「今日はとりあえず帰らせてもらいます。でも私は決してあなたを諦めない!ちなみにあなたをそこまで頑なにさせる幸せな男はどなたなのでしょう?それくらい教えていただけませんか?」
貴族の男がさも悲しげに訴えかけてくるので、娘は男の事が少し哀れになって、自分の想い人の名を告げてしまった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
神楽坂gimmick
涼寺みすゞ
恋愛
明治26年、欧州視察を終え帰国した司法官僚 近衛惟前の耳に飛び込んできたのは、学友でもあり親戚にあたる久我侯爵家の跡取り 久我光雅負傷の連絡。
侯爵家のスキャンダルを収めるべく、奔走する羽目になり……
若者が広げた夢の大風呂敷と、初恋の行方は?
~春の国~片足の不自由な王妃様
クラゲ散歩
恋愛
春の暖かい陽気の中。色鮮やかな花が咲き乱れ。蝶が二人を祝福してるように。
春の国の王太子ジーク=スノーフレーク=スプリング(22)と侯爵令嬢ローズマリー=ローバー(18)が、丘の上にある小さな教会で愛を誓い。女神の祝福を受け夫婦になった。
街中を馬車で移動中。二人はずっと笑顔だった。
それを見た者は、相思相愛だと思っただろう。
しかし〜ここまでくるまでに、王太子が裏で動いていたのを知っているのはごくわずか。
花嫁は〜その笑顔の下でなにを思っているのだろうか??
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
カモフラ婚~CEOは溺愛したくてたまらない!~
伊吹美香
恋愛
ウエディングプランナーとして働く菱崎由華
結婚式当日に花嫁に逃げられた建築会社CEOの月城蒼空
幼馴染の二人が偶然再会し、花嫁に逃げられた蒼空のメンツのために、カモフラージュ婚をしてしまう二人。
割り切った結婚かと思いきや、小さいころからずっと由華のことを想っていた蒼空が、このチャンスを逃すはずがない。
思いっきり溺愛する蒼空に、由華は翻弄されまくりでパニック。
二人の結婚生活は一体どうなる?
12年目の恋物語
真矢すみれ
恋愛
生まれつき心臓の悪い少女陽菜(はるな)と、12年間同じクラス、隣の家に住む幼なじみの男の子叶太(かなた)は学校公認カップルと呼ばれるほどに仲が良く、同じ時間を過ごしていた。
だけど、陽菜はある日、叶太が自分の身体に責任を感じて、ずっと一緒にいてくれるのだと知り、叶太から離れることを決意をする。
すれ違う想い。陽菜を好きな先輩の出現。二人を見守り、何とか想いが通じるようにと奔走する友人たち。
2人が結ばれるまでの物語。
第一部「12年目の恋物語」完結
第二部「13年目のやさしい願い」完結
第三部「14年目の永遠の誓い」←順次公開中
※ベリーズカフェと小説家になろうにも公開しています。
さようならの定型文~身勝手なあなたへ
宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」
――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。
額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。
涙すら出なかった。
なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。
……よりによって、元・男の人生を。
夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。
「さようなら」
だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。
慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。
別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。
だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい?
「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」
はい、あります。盛りだくさんで。
元・男、今・女。
“白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。
-----『白い結婚の行方』シリーズ -----
『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる