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「これ…。」
俺は家の鍵とスマホを取り出した。鍵とスマホにはノエルが作った四葉のクローバーのキーホルダーを一つずつ付けていた。
「最初に城で見つけて、きれいだなーって思ってもらったんだ。次に図書館でまた見つけたんだけど、こんなきれいなのを二つももらったら悪いなって思って、そこではそのままにしておいた。だけど、ここで見つけたときは…なんだか運命的なものを感じてしまって…。」
俺は言いながら恥ずかしくなって顔がみるみるうちに赤くなっていった。
「嬉しい!嬉しいです。二つももらってくれたなんて。」
ノエルは照れながら言った。
お互い笑顔で見つめ合って、なんだか恥ずかしくなった。ノエルは俺に何か言いたそうなそぶりをしていたが、言うかどうか悩んでいるみたいで、結局何も言わなかった。俺は何か他の話題を考えた。
「高校生…だよね?」
「はい、高ニです。」
「なんだ、タメじゃん。敬語使わないで話そうよ。」
「うん。わかった。」
ノエルともっと話したくて、駅前のカフェに誘った。
後一時間くらいなら大丈夫だとノエルは言った。俺はノエルとそのカフェに入った。
夢に出てきた由紀子は三つ編みにセーラー服で、それもすごく似合っていたけど、目の前の水原ノエルは灰色のベストに同じ色のプリーツスカートで白シャツにえんじ色のネクタイをしている。それもすごく似合ってて可愛い。
「乃海君は…この辺の高校じゃないよね?その制服見たこと無い。」
「あー、だよね。俺隣の県だから。」
「そうなの?引っ越してきたの?」
「いや、じーちゃんがこの街の老人介護施設に入ってて、それでこっちに来ること多くなったんだ。」
「そうだったんだ。学校帰りに大変だね。」
「いや、普段は週末とかに来るんだけど…何故か今日はここに来なきゃいけないって…急に思い立って電車に飛び乗った。」
「そうだったんだ!」
「飛び乗って良かった。」
俺はしみじみそう思って言った。
ノエルはどう理解していいのか、複雑な笑顔をしていた。
俺は不思議な居心地の良さを感じていた。初対面のしかもすごく可愛い女の子と二人でカフェに向き合っているというのに、ものすごく気持ちが安らぐ。もちろん緊張もしてるけど、その緊張も心地よくて、ずっと一緒にいたいと思える。
何なんだコレ?
女なんかずっと面倒くさいと思ってたのに、ずっとノエルの顔を見ていたいと思ってる。
多分俺今、ものすごくだらしない顔してるんだろうな…。
俺は家の鍵とスマホを取り出した。鍵とスマホにはノエルが作った四葉のクローバーのキーホルダーを一つずつ付けていた。
「最初に城で見つけて、きれいだなーって思ってもらったんだ。次に図書館でまた見つけたんだけど、こんなきれいなのを二つももらったら悪いなって思って、そこではそのままにしておいた。だけど、ここで見つけたときは…なんだか運命的なものを感じてしまって…。」
俺は言いながら恥ずかしくなって顔がみるみるうちに赤くなっていった。
「嬉しい!嬉しいです。二つももらってくれたなんて。」
ノエルは照れながら言った。
お互い笑顔で見つめ合って、なんだか恥ずかしくなった。ノエルは俺に何か言いたそうなそぶりをしていたが、言うかどうか悩んでいるみたいで、結局何も言わなかった。俺は何か他の話題を考えた。
「高校生…だよね?」
「はい、高ニです。」
「なんだ、タメじゃん。敬語使わないで話そうよ。」
「うん。わかった。」
ノエルともっと話したくて、駅前のカフェに誘った。
後一時間くらいなら大丈夫だとノエルは言った。俺はノエルとそのカフェに入った。
夢に出てきた由紀子は三つ編みにセーラー服で、それもすごく似合っていたけど、目の前の水原ノエルは灰色のベストに同じ色のプリーツスカートで白シャツにえんじ色のネクタイをしている。それもすごく似合ってて可愛い。
「乃海君は…この辺の高校じゃないよね?その制服見たこと無い。」
「あー、だよね。俺隣の県だから。」
「そうなの?引っ越してきたの?」
「いや、じーちゃんがこの街の老人介護施設に入ってて、それでこっちに来ること多くなったんだ。」
「そうだったんだ。学校帰りに大変だね。」
「いや、普段は週末とかに来るんだけど…何故か今日はここに来なきゃいけないって…急に思い立って電車に飛び乗った。」
「そうだったんだ!」
「飛び乗って良かった。」
俺はしみじみそう思って言った。
ノエルはどう理解していいのか、複雑な笑顔をしていた。
俺は不思議な居心地の良さを感じていた。初対面のしかもすごく可愛い女の子と二人でカフェに向き合っているというのに、ものすごく気持ちが安らぐ。もちろん緊張もしてるけど、その緊張も心地よくて、ずっと一緒にいたいと思える。
何なんだコレ?
女なんかずっと面倒くさいと思ってたのに、ずっとノエルの顔を見ていたいと思ってる。
多分俺今、ものすごくだらしない顔してるんだろうな…。
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