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しおりを挟む俺はじーちゃんの施設と水原工務店のある街へ行く電車に飛び乗った。電車はしばらく街中を走り、旭の言っていたトラクター王国を横切った。俺はトラクター王国の兵士に哀悼の意を表した。ん?兵士は死んでなかったか…。もといトラクター兵士に憐憫の情を覚えた。そのうち店や家も少なくなって、トンネルを抜けると山と田園地帯が広がった。夕日に照らされて、まだ刈り取られていない稲穂が黄金に輝いて揺れていた。電車はさらに進んでいった。
駅に着いた時には、もう薄暗くなっていた。この時間帯にレトロな駅舎の中にいると、大正か昭和の初めかにタイムトリップした気分になる。駅の裏手の水飲み場に行ってみた。この間宝箱を見つけた場所だ。そしてそのノートにノエルが「来世の約束を信じますか」と書いていた。俺は「信じます。」と書いたのだった。
宝箱は今日も同じ場所にあった。宝箱を手にとって見ていると視線を感じた。振り向くと、同年代の制服を着た女の子が俺をじっと見ていた。女の子はすごく驚いたような顔をしていた。その子は見たことがある、俺はその子を知っていると思った。
そうだ!
この前のリアルな夢で見た!
由紀子だ!
俺は、その子をじっと見つめたまま動けなくなった。その子も俺を見たまま金縛りにかかったように動かなかった。俺たちはしばらく言葉も無く見つめ合ったままだった。
話しかけたいけど、何て話しかけていいのかわからない。いきなり、君の事このまえ夢で見たよ、なんて言ったら完全に変態だと思われる!どうしたらいいのかパニックになっていたら、その子の方から声をかけてきた。
「あの…。」
その子も言葉に迷っている感じがした。
「もしかして、宝箱探してるの?ごめん、俺先に取っちゃった…。」
俺は無理矢理自分の気持ちを落ち着かせて、平静を装っていった。
「あ、そうじゃなくて…。この前私もそれを見つけてて…。変なメッセージ書いてしまったから気になって見に来たんです。」
その子は恥ずかしそうに笑顔で言った。
やばい…めちゃかわいい…。
色白で大人しそうだけど芯が通ってる感じで、髪がさらさらで、夢で見た由紀子にそっくりだ。こんなことって、あるのか?もしかして俺、昔この子に会ったことあって、それを潜在意識が記憶してて、無意識に夢で見たのかな…?いや、でも夢以外で会ったことは絶対ないはずだ!
こんな可愛い子に会ってたら、絶対好きになってるから!
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