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しおりを挟む「遥って私たちの前と家の中とじゃ全然違うみたいなのよ。旦那さんにパワハラまがいの事をするらしいし、経済的DVもしてるんだって。大人しそうに見えて人ってわかんないよね。」
「嘘でしょ…」
「ほんとよ~! 遥、家にいて働いてないでしょ。なのに旦那さんのお給料を自分の物みたいに管理して、旦那さんには毎朝500円渡してるだけなんだって!
本当なら300円もあればカップラーメンと飲み物を買えるところを500円もあげてるんだから感謝しろって言ってるんだって!
有り得ないよね? 大の大人がお小遣い一日500円なんて、友達付き合いもできないじゃん。
自分は私たちと豪華なランチに行くくせにね!
子供の前でも旦那さんをバカにするような事ばかり言って、旦那さん、子供からも嫌われちゃって、最近では寄り付きもしなくなったって。」
「それ、ほんとなの? 全くそんな風には見えない。」
「だから怖いのよ! いかにも健気に生きるか弱い女性って顔して。」
「正直さ…私も遥の事は…本心がわからないなって感じがしてた。裏では逆の事思っているんじゃないか…って。」
「でしょー! やっぱりそうだよね!」
「だからって、やっぱりダメでしょ! 円満な家庭をぶち壊すような事をしちゃ。それに里香の旦那さんに申し訳なくない?」
「わかってるって! 本当に一度だけ! もう金輪際ないし、遥にも絶対バレないようにするから!」
「じゃ、なんで私に話すの?」
「だって、一人くらい誰かに話したいじゃん。美咲は口硬そうだし。美穂は口軽いそうだからな~。だからこの事は墓場まで持って行ってね。」
里香は全てを打ち明けてスッキリしている。私は里香の掃き溜めにされた気分でヘドが出そうだ。
まるで戦果を報告するかの如き里香に呆れてしまいつつも、この年になってもまだ誰かの恋愛対象となり得る彼女に、羨ましい訳では全くないけど、私は若干劣等感を感じていた。
私なんて結婚前からは確実に10キロは太ってるし、ファッションだって自分でも何を着ていいのかわからないくらい感覚が鈍っていてダサすぎる。メイクだって独身時代の頃のままで止まっている。
出産子育てで家庭に籠っていたので、時代に取り残されているのだ。
でも、無事結婚出来て子供までいるんだし、外見にそんなにがんばらくても生きていけるじゃん。
いまさらお洒落したところで、物欲しそうに見えるだけじゃん、里香みたいに…。
「美咲は正直遥の事どう思ってるの?」
「え…私…?」
遥かの顔が目に浮かんだ。
いつも笑顔で一見人当たりがいい。いい主婦、いい母親を絵にかいたような第一印象を受ける。
「里香の秘密を話さない代わりに私が言ったことも内緒にしてくれる?」
「もちろん!」
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