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6 全く性格の違う菜々子と夏子が入れ替わった! 会社は? 夫婦生活は? どうすればいいのよ~!
33 夏子→菜々子
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「菜々ちゃん! これ見てもらえる? このイメージでいったらどうかなって思ったんだけど…」
内海さんたちがデザイン案を抱えてやって来た。最初はあまり期待していなくて、実際当初は全然使えない案ばかり出していた。説明も余計な言葉が多かったり、肝心な所がボヤけてたりと、私はイライラしっぱなしだった。
だけど彼女たちの凄いところは、私のダメ出しにもめげず、同じ間違いを二度としない事だった。ま、私とあれだけケンカ出来るくらいだ。彼女らはさすがに根性あるな…。そして、修正を重なるうちに、私もダメ出しをしなくてよくなっていった。
「…いいじゃん。それでいこう!」
「あと…ちょっと私たちから提案なんだけど…」
彼女たちはモジモジしながら上目遣いで私を見た。
「何?」
「光ヶ丘支店の2階、あそこを大幅に変えてみたらどうかなって…思ったの。」
確かに私もそれは思っていた。せっかくのオシャレな建物と素晴らしい立地条件なのに、他の店舗と同じような、客のニーズを全く無視している、いかにも地方のスーパーに置いてあるような、誰も見向きもしない服や雑貨、ハッキリ言って購買意欲が全く沸かない、どうでもいいやっつけの衣料品や雑貨しか扱ってないのだ。
「一応、売り上げ状況も調べてみたんだけど、多店舗に比べても全然売れて無いの。」
そうだろうな。
あそこの客層をバカにしていると言っていいほどのダサさだし…。
「そこでね、どうせ売れないんだったら、いっそのこと全部取り払って、お客様に寛いでもらったり、情報を発信してもらえる空間にしたらどうかなと思うの。うちの製品を発進してもらえたら宣伝にもなるし、売り上げよりも話題性を取った方が、長い目で見ると会社にとってプラスなんじゃないかなって思って…。」
…ほう。いいじゃん!
感心していると、なんと彼女たちは、私に言われなくともすでに自分たちで企画書を作っていた。
SNSで発進してもらえるようなオシャレなフリースペースを作ったり、短期の企画でポップアップストアを出す計画だったり、面白そうなアイデアがたくさん提案されていた。
「すごいね…。あんたたち私の事虐める才能しか無いのかと思ってけど、やるじゃん! うん! 社長に相談しよう!」
「…虐めるって、菜々ちゃん、もういい加減勘弁してよ~! 私たち反省してるんだからさぁ~。」
最近ではこのくだりが定番の笑いとなってしまっている程、私たちは打ち解けている。少し前まで私(菜々子)を虐めていた女子社員たちは、もはや私と新事業を立ち上げる仲間となった。
この人たちも本当は決まりきった単調な仕事に退屈していただけで、目の前に楽しい仕事がたくさん与えてあげたら、イジメなんてする気も起きないのだ。そんなつまんない事、している暇がもったいないしね。
それも、そんな人たちを飼い殺しにしていた会社の責任でもあると思う。彼女たちは、今までしてきた日々の業務をこなす上でこのプロジェクトをしているのだから、むしろ不満が出てきてもいいくらいなのに、みんな目をキラキラ輝かせて仕事に取り組んでいる。
…人間って、お金だけじゃないんだ…。
彼女たちも…夏子の頃の私と同じだ…。
そう思うと、彼女たちに親近感が湧いてくる。夏子の時は、退屈で死にそうだった。忙しくしていても、心が退屈で飢えていた。何か新しい事を始めようと思っても、何をしていいのかも分からず、同僚たちが次々と会社を立ち上げたり社会から注目されたりしているのを目にすると、訳も分からず焦りだけが湧いてきてイライラしていた。
そんな心の隙間があったから、あの男は入り込んできたんだ…。沢田優斗。
内海さんたちがデザイン案を抱えてやって来た。最初はあまり期待していなくて、実際当初は全然使えない案ばかり出していた。説明も余計な言葉が多かったり、肝心な所がボヤけてたりと、私はイライラしっぱなしだった。
だけど彼女たちの凄いところは、私のダメ出しにもめげず、同じ間違いを二度としない事だった。ま、私とあれだけケンカ出来るくらいだ。彼女らはさすがに根性あるな…。そして、修正を重なるうちに、私もダメ出しをしなくてよくなっていった。
「…いいじゃん。それでいこう!」
「あと…ちょっと私たちから提案なんだけど…」
彼女たちはモジモジしながら上目遣いで私を見た。
「何?」
「光ヶ丘支店の2階、あそこを大幅に変えてみたらどうかなって…思ったの。」
確かに私もそれは思っていた。せっかくのオシャレな建物と素晴らしい立地条件なのに、他の店舗と同じような、客のニーズを全く無視している、いかにも地方のスーパーに置いてあるような、誰も見向きもしない服や雑貨、ハッキリ言って購買意欲が全く沸かない、どうでもいいやっつけの衣料品や雑貨しか扱ってないのだ。
「一応、売り上げ状況も調べてみたんだけど、多店舗に比べても全然売れて無いの。」
そうだろうな。
あそこの客層をバカにしていると言っていいほどのダサさだし…。
「そこでね、どうせ売れないんだったら、いっそのこと全部取り払って、お客様に寛いでもらったり、情報を発信してもらえる空間にしたらどうかなと思うの。うちの製品を発進してもらえたら宣伝にもなるし、売り上げよりも話題性を取った方が、長い目で見ると会社にとってプラスなんじゃないかなって思って…。」
…ほう。いいじゃん!
感心していると、なんと彼女たちは、私に言われなくともすでに自分たちで企画書を作っていた。
SNSで発進してもらえるようなオシャレなフリースペースを作ったり、短期の企画でポップアップストアを出す計画だったり、面白そうなアイデアがたくさん提案されていた。
「すごいね…。あんたたち私の事虐める才能しか無いのかと思ってけど、やるじゃん! うん! 社長に相談しよう!」
「…虐めるって、菜々ちゃん、もういい加減勘弁してよ~! 私たち反省してるんだからさぁ~。」
最近ではこのくだりが定番の笑いとなってしまっている程、私たちは打ち解けている。少し前まで私(菜々子)を虐めていた女子社員たちは、もはや私と新事業を立ち上げる仲間となった。
この人たちも本当は決まりきった単調な仕事に退屈していただけで、目の前に楽しい仕事がたくさん与えてあげたら、イジメなんてする気も起きないのだ。そんなつまんない事、している暇がもったいないしね。
それも、そんな人たちを飼い殺しにしていた会社の責任でもあると思う。彼女たちは、今までしてきた日々の業務をこなす上でこのプロジェクトをしているのだから、むしろ不満が出てきてもいいくらいなのに、みんな目をキラキラ輝かせて仕事に取り組んでいる。
…人間って、お金だけじゃないんだ…。
彼女たちも…夏子の頃の私と同じだ…。
そう思うと、彼女たちに親近感が湧いてくる。夏子の時は、退屈で死にそうだった。忙しくしていても、心が退屈で飢えていた。何か新しい事を始めようと思っても、何をしていいのかも分からず、同僚たちが次々と会社を立ち上げたり社会から注目されたりしているのを目にすると、訳も分からず焦りだけが湧いてきてイライラしていた。
そんな心の隙間があったから、あの男は入り込んできたんだ…。沢田優斗。
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