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まんまるムーン

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6 全く性格の違う菜々子と夏子が入れ替わった! 会社は? 夫婦生活は? どうすればいいのよ~!

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 運ばれてきた料理は美味しすぎて感動的だった。こんな味、どうやって出すんだろう? 素人がマネできる代物じゃないけど、盛り付けとか参考にしてみよう。私はお店の人に写真を撮っていいか尋ねた。そして快く許可をもらった。出てくる料理、全部スマホで写真に収めた。私の分だけじゃなく、尚之さんと遥人君の分まで全部写真を撮った。

 そんな私を見て二人はまたニタニタ笑っている。…なんか感じ悪いなぁ…。もうこうなったら飲んでやるっ! 普段めったにお酒なんて飲まないから加減が分からずグビグビいってしまった。すると酔ったのか、気持ち良くなった。そうだ!

「ねえ、せっかくだから記念撮影しよ! お店の人に撮ってもらおうよ!」
二人が引いているのを無視して私は店員さんに撮影をお願いした。
「ちゃんと後ろの夜景入れてくださいね! あ、二人とももっとこっちに寄って! はい、チーズ!」

 満面の笑みの私を余所に、二人は苦虫を噛み潰したみたいな表情だった。その時、遥人君のケータイに電話がかかってきて、彼は席を外した。

 素敵なレストラン、美味しい食事、夏子はこんなに大事にされているのに何故離婚しようと思ったんだろう…。
「ぼーっとしてどうしたの? さっきまであんなにはしゃいでいたのに。」
尚之さんがふいに聞いてきた。
「何で離婚しようなんて思ったんですかね? 夏…いえ…私たち…。」
「どうしたの、急に?」
「夫婦って何なんですかね? あれだけ派手な結婚式して、周りにはさも幸せな結婚生活アピールして。てっきり私は幸せに暮らしてるんだろうと思ってた。正直言うと、羨ましかったですよ! いや、本音を言うと憎らしかった! 少ない手取りの中からご祝儀出したのに、こんなにすぐに離婚するなんて! ってかさ、尚之さんって、妻の前で、何でそんなよそ行きの顔してるんですか? いつもクールで完璧で…そんなんじゃ夏子だって疲れちゃいますよ。完璧な人間なんていないんだからプライベートでは弱いとこさらけ出しあってもいいんじゃないんですか? 本音のトーク、したことありますか?」
「夏子、何のこと言ってるの? もしかして君、酔ってる?」
「尚之さん! あなた、たまには妻をねぎらって花束とかプレゼントしてますかっ?」
尚之さんは露骨に嫌そうな顔をした。

「…完全に忘れてるんだ。僕が花束を買って来たとき、…花束なんかもらってもすぐ枯れて捨てるのが面倒なだけでしょっ…って言ったの、君だったよね?」
…え…夏子…それは酷くない? しかしここでひるむわけにはいかない!
「じゃ、じゃあ、ケーキは? ケーキを買って帰ってあげたりしたこと無いんですか?」
「…君、完全に記憶無くしちゃってるんだね…。私、ブタになりたくないの。あなた食べて。いらないんだったら捨てて…って、言ったよね?」
…ひ、酷い…。
「尚之さん…可哀そう…おうっおうっ…うっうっ…うっ…」
酔いが回った私は、感情の制御不能に陥り、眉も目も口角も下げまくって、おまけに鼻水まで垂らしながら泣いていた。

「…何? 自分でやったにもかかわらず、俺に対する酷い仕打ちに同情してんの? やっぱり君、もう一度病院に行って診てもらった方がいいんじゃない…」
「…うっ…うぐっ…うぅぅ…そうかも…しれないです…ね…うっうっうっ…。」
みっともなくも汚らしい涙と鼻水だらけの顔で尚之さんを見ると、意外にも彼は薄っすら微笑んでいた。こんな優しい顔の尚之さんの顔、見たことない…。そこへ遥人君が帰ってきた。どこか焦っている様子。

「あの…俺さ…、悪いんだけど先に出るね。」
「もしかして…姉さん?」
「…うん。今日は向こうに泊まるかもしれない。」
「わかった。気をつけてな。何かあったら連絡して。」

 遥人君は尚之さんに食事のお礼を言ってその場を去ろうとした。が、立ち止まってまたこっちに戻ってきた。
「夏子…出かける時は気をつけろよ。さっき…変な男に絡まれてただろ。俺がいる時はついて行ってやるから。」
「あ…ありがとう…。」
遥人君は恥ずかしそうにそう言うと、足早に去って行った。

 嬉しいなぁ。まだ中学生なのに、お母さんの事も、私の事まで守ってあげようというそのナイトぶり! 将来有望だ!
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