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5 赤い月が昇る頃、オッドアイの瞳は見つめている。トンネルの向こうに開かれた世界で私を待っているのは誰?
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しおりを挟むとにかくもう遅いし、預かってくれてる水谷君は寝てるかもしれないから、魚を迎えに行くのは明日にした。
私はシャワーを浴びて、こっちの世界の自分のパジャマを着た。
自分の物だけど、なんだか神崎君の彼女のパジャマを借りたような気持ちになった。
神崎君が冷えた缶コーラを手渡してくれた。
私は窓をあけてベランダに出た。
そして驚愕した。
月が…赤い!
赤い月はあまりに大きくて吸い込まれそうだった。
やはりこの世界は私のいた世界とは違うんだ…。
「月がどうしたの? そんなに震えて…真子のいた世界は月が無いの?」
神崎君もベランダにやってきた。月を見上げる私にそう聞いてきた。
「あるけど…黄色だよ…」
「想像つかないな…月が黄色だなんて…。そう言えば、真子の飼ってる魚、目が黄色と赤だった。向こうとこっちの月みたいだな。」
…ほんとだ。
掛け違う現象。
重なり合う共通点。
そして…倉田君…。
彼の事を思い出して震えが止まらなくなった。
こっちの世界で私を殺したのはきっとあの男だ。
あっちの世界でも私を狙っている。
足もすくんできた。
その時、神崎君が私を抱きしめた。
不安で固まっていた心が少し楽になった。
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