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5 赤い月が昇る頃、オッドアイの瞳は見つめている。トンネルの向こうに開かれた世界で私を待っているのは誰?

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え! 

今、設楽教授って言った? 

真子の両親じゃねーか! 

殺害は昨夜未明? 

ちょっと待てよ! 

真子、さっきお父さんからメッセージが来てって…。

誰かが真子の父親になりすまして真子に連絡を取ったんだ! 

頭が真っ白になった。

ダメだ! 

そうだ、警察! 

僕は警察に電話した。

すぐに真子の家に行ってくれると言ってくれた。

次の瞬間、僕はエプロンを投げ捨てて店を飛び出した。

大通りに出てタクシーを捕まえようとした。

しかしこんな時に限って全く走ってない。

しょうがなく地下鉄に乗った。

地下鉄の中から真子に電話をしたが反応が無い。

メッセージを送っても既読がつかない。

嫌な予感しかしない。

地下鉄のスピードがとてつもなく遅く感じた。

地下鉄を降りて真子の家まで走った。

家が近くになると、警察の車両や報道陣で溢れかえっていた。

僕は人込みをかき分けて中へ入ろうとしたが家の前は警官たちが立ちふさがって中に入れない。

その時、家の中から担架が運び出された。

上にシートが掛かっている。

あれは真子じゃない! 

そんな筈があるもんか! 

担架を持つ一人が庭石に引っ掛かって、その拍子にシートが剥がれた。

横たわっていたのは真子だった。

真子の腕がダラリと垂れた。

その手には、僕が真子にプレゼントした指輪がはめられてあった。

やめてくれ…。

これは夢だと言ってくれ! 

あれは真子なんかじゃない! 

嘘だ! 

嘘だ! 

「…殺害されたのは、設楽真子さん。大学生。昨夜未明にスイスで殺害された設楽智明教授の長女で、犯人は現在逃走中…」

すぐ後ろでテレビ局が報道を始めた。


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