上 下
75 / 262
2 閉ざした気持ち。言えなかった言葉。叶わぬ想い。止まった時間が動き出すまで

13

しおりを挟む


もしや…と思ったら、案の定、私の感は当たった。

週末待ち合わせ場所に隼人と現れたのはシーナ君だった。

「来佳!」

隼人は私とシーナ君が知り合いだという事を知らない。

隼人はシーナ君に私の事をどう話しているのだろう? 

そしてシーナ君は隼人の彼女が私だということを知っているのだろうか? 

私と会ったことを話しているのだろうか?

「コイツ、すでに俺の親友と言っても過言ではない、椎名章宏。こっちは俺の彼女で高島来佳。ライカって名前、すごいだろ? 来佳の親父がカメラマニアでさ、娘に自分のカメラの名前付けたんだ。」

「こんにちは、来佳ちゃん。隼人の彼女さんなんだったら苗字で呼んだ方がいいかな…。」

「いいよ、そんなの気にしなくって。な、来佳!」

「う、うん。」

「じゃ、来佳ちゃん、よろしくね。」

シーナ君はニッコリ笑って言った。

まるで初対面のようなフリをしている。

入学前に私と会ったことは隼人には言ってないのだろう。

急にシーナ君との間に距離を感じた。

私は他人なんだと思った。

ずっとブログでコメントをやり取りしていたせいで、自分はシーナ君にとって特別なんだと勘違いしてしまっていた。

シーナ君にとって、私は仲のいい男友達の彼女にしか過ぎない。

胸の奥がモヤモヤした。

本心ではシーナ君に隼人の彼女だと知られたくなかった。

そんなことを思うなんて隼人に失礼だ。

私はなんと酷い人間なのだろう。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

雨の上がる時・・・

本条蒼依
ライト文芸
 明美が、公園で犬を拾いペットにしてから始まる ホットストーリー  こちらは、毎日の更新はできませんが頑張っていきたいと 思います<m(__)m>

がんばれ、わたしたちのラストダンス

早稲 アカ
ライト文芸
ストリートダンスをがんばっている私。せっかく仲間ができたのに、ママが転勤になってしまい・・・ちょっと切ないけど、それでも明るく前を向く物語です。

猫スタ募集中!(=^・・^=)

五十鈴りく
ライト文芸
僕には動物と話せるという特技がある。この特技をいかして、猫カフェをオープンすることにした。というわけで、一緒に働いてくれる猫スタッフを募集すると、噂を聞きつけた猫たちが僕のもとにやってくる。僕はそんな猫たちからここへ来た経緯を聞くのだけれど―― ※小説家になろう様にも掲載させて頂いております。

「2人の青、金銀の護り」 それはあなたの行先を照らす ただ一つの光 

美黎
ライト文芸
先祖が作った家の人形神が改築によりうっかり放置されたままで、気付いた時には家は没落寸前。 ピンチを救うべく普通の中学2年生、依る(ヨル)が不思議な扉の中へ人形神の相方、姫様を探しに旅立つ。 自分の家を救う為に旅立った筈なのに、古の予言に巻き込まれ翻弄されていく依る。旅の相方、家猫の朝(アサ)と不思議な喋る石の付いた腕輪と共に扉を巡り旅をするうちに沢山の人と出会っていく。 知ったからには許せない、しかし価値観が違う世界で、正解などあるのだろうか。 特別な能力なんて、持ってない。持っているのは「強い想い」と「想像力」のみ。 悩みながらも「本当のこと」を探し前に進む、ヨルの恋と冒険、目醒めの成長物語。 この物語を見つけ、読んでくれる全ての人に、愛と感謝を。 ありがとう 今日も矛盾の中で生きる 全ての人々に。 光を。 石達と、自然界に 最大限の感謝を。

くちびるからラブソング

石田空
ライト文芸
人前だとまともにしゃべれない愛莉は、ひとりでSNSで歌い手として活動している。特に大きくネットで取り上げられることもなく、掃除当番していたところで、歌っているのを聞かれてしまう。 同じクラスで勝手に類友だと思っていた無口な萩本は、有名歌い手のカズスキーだった。 最初はふたりでこっそりと歌い手同士で親しくしていたが、リアルでもネットでも、人の交流をとやかく言ってくる声は消えなくて。 上手くしゃべることはできないけど、歌うことはできるよ。 愛莉は萩本に届ける歌を歌いはじめる。 他サイトでも掲載しています。

藤堂正道と伊藤ほのかのおしゃべり

Keitetsu003
ライト文芸
 このお話は「風紀委員 藤堂正道 -最愛の選択-」の番外編です。  藤堂正道と伊藤ほのか、その他風紀委員のちょっと役に立つかもしれないトレビア、雑談が展開されます。(ときには恋愛もあり)  *小説内に書かれている内容は作者の個人的意見です。諸説あるもの、勘違いしているものがあっても、ご容赦ください。

マイナーVtuberミーコの弱くてニューゲーム

下城米雪
ライト文芸
 彼女は高校時代の失敗を機に十年も引きこもり続けた。  親にも見捨てられ、唯一の味方は、実の兄だけだった。  ある日、彼女は決意する。  兄を安心させるため、自分はもう大丈夫だよと伝えるため、Vtuberとして百万人のファンを集める。  強くなった後で新しい挑戦をすることが「強くてニューゲーム」なら、これは真逆の物語。これから始まるのは、逃げて逃げて逃げ続けた彼女の全く新しい挑戦──  マイナーVtuberミーコの弱くてニューゲーム。

求眠堂の夢食さん

和吉
ライト文芸
某都内に隠れ潜むように佇む場違いな日本家屋。そこは眠りに悩む者達が辿り着く眠りの救済所。彼に掛かればあっという間に、眠りの世界へとたどり着くことが出来ると評判だが、その店を知っている者は少ない。 ある日悪夢に悩まされる学生が、求眠堂を訪れ不思議な雰囲気を纏う店主と共にある体質が原因で非日常へと突き進んでいく。色々あって求眠堂で働くことになった主人公、この店には普通じゃない妖怪のお客さんも沢山訪れて・・・・ そんな求眠堂に辿り着いた夢を全て記憶する学生と獏の店主がおりなす、少し不思議な妖怪日常物語。 「お前の夢は美味いな」 「勝手に夢に入ってくるのやめてください!」

処理中です...