半端者~<クズ>

のんよる

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中学生時代

純愛遊人半端野郎物語 中学生後編

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 三年生も夏休みを迎えた。
 そうちゃんは、今年も仲間達と祭りにやって来た。
 この頃になると、皆がそれぞれ彼女も出来て、祭りに連れて来ていた。
 そうちゃんには、マユ、マー君には、マサミ、ヤマゲには、ユキという彼女がいた。
 祭りでは、相変わらず、そうちゃんとヤマゲはイタズラをして楽しんでいた。
 祭りが終わりを迎える頃、公園に向かって皆で歩いている時、そうちゃんは見覚えのある奴とすれ違っていた。
 そいつの手には血がついていた。
 公園に着くと、ボロボロになった、吉野とオカとたけちゃんがいた。
 そうちゃんが駆け寄る。
「おい!たけちゃん、どうした?誰にやられた?」
 たけちゃんが答える。
「ヤバい奴が、そうちゃん達を狙ってる。吉野が、ヤバいから早く、病院に。」
 そう聞くと、そうちゃんは、吉野とオカにも声をかけるが、全く反応がない。
 この場は、兎に角、救急車を呼び三人を病院へと連れて行った。
 病院では、冷静さがなくなっていた、そうちゃんとヤマゲカップルが帰され、マー君が残り、警察官の事情聴取を受けたりしていた。

 翌日になり、マー君がヤマゲの家に来る。
 ヤマゲの家には、ヤマゲの他に、そうちゃん、ビック、ギューちゃん、ワキ、ヤスがいた。
 昨日の話しをマー君が皆に伝える。
「吉野は、顎割られていて、全治三ヶ月。オカは、ただ意識が飛んでいただけで、大した怪我はなかった。たけちゃんは、なんともなかった。」
 皆が声を揃えて言う。
「吉野だけかい?」
 マー君が話しを続ける。
「結局、吉野が喋れないから、オカとたけちゃんに相手の事を聞いたんだけど…吉野が探されてる一人だったみたいで、恐らく、そうちゃん達を探してるみたいなんだ。」
 そうちゃんが言う。
「えっ?なんかしたかな?やなんだけど、めんどくさいんだけど。」
 マー君が話しを続ける。
「どうやら、相手は一人らしい、一人で、吉野とオカとたけちゃんをやっちまう位、強いんだよ。」
 ワキが言う。
「まっ、オカもたけちゃんも戦力になったかどうかわからないけど、吉野があんだけやられてんのは、強いんだろうな!」
 ヤマゲが言う。
「確かにな!でも、ワキかそうちゃんがそいつに会えば、すぐ終わるんじゃない?」
 ワキが言う。
「こっちの誰を探してんのか、わからないけど、俺はそいつを探しまわって見ようかな。」
 そうちゃんが言う。
「相手は一人でしょ。だったら気を張る事ねぇよ!タイマンで勝つか負けるかだよ。」
 そうちゃんは、相手が一人と聞いて、なめてかかったのか、能天気だった。
 その話しを聞いた後、皆でいつも通りに、ゲームセンターに行った。

 翌日、そうちゃんは彼女のマユとマー君とマサミと遊園地に行き、デートをしていた。
 遊園地から帰って来て、地元に帰って来た時だった。
 そうちゃんに近付いてくる男が一人、マー君はマユとマサミにいじられていて、気付いていない。
 そうちゃんもベンチの腰掛け部分に座っていて隙だらけだった。
 そうちゃんを後ろから、男が引っ張り落とす。
 そうちゃんは抵抗する間もなく、ボッコボコにされる。
 そうちゃんは、そのまま、意識が飛んだ。
 マー君が、そうちゃんの前で騒ぎ回る。
 そうちゃんの意識が戻り、暴れ始める。
 マー君が、もう相手がいない事を伝えると、そうちゃんはまた、その場に倒れ込んだ。
  翌日、そうちゃんがやられてしまった事は、皆に伝わった。
 ヤマゲの家にワキがやって来た。
 ヤマゲの家には、ビック、マー君、ギューちゃん、ヤス、ガクがいた。
 ワキが興奮気味に言う。
「そうちゃんがやらてる時に、マー君居たんだろ?そんなに相手強いのか?」
 マー君が答える。
「実は、やらてる所は、見てないんだ。」
 ヤマゲが言う。
「見てないって?一緒に居たんじゃないの?」
 マー君が答える。
「そうちゃん、一人でベンチに座ってて、座ってたのは見てたんだけど、ちょっと目を離してた隙に、もうベンチの後ろで倒れてた。」
 ビックが言う。
「目を離した隙にって、ちょっとじゃないでしょ?」
 マー君が話しを続ける。
「目を離したのは、多分、五分もなかったと思う。ベンチにいない事に気付いて、マユとマサミと一緒に何処に行ったんだって、探しに行こうと、ベンチの後ろを見ると、そうちゃんがグッたりしてたんだよ。」
 ワキが言う。
「吉野をやった奴だな。」
 マー君が皆に忠告する。
「相手はヤバい奴だよ。どんなに不意討ちでも、あの、そうちゃんを一瞬で倒したんだ。」
 ヤマゲが言う。
「確かにな、相当ヤバい奴だろうな。」
 ガクが言う。
「でも、相手の目的って、そうちゃんだったんじゃないの?」
 マー君が言う。
「たけちゃんの話しだと、ワキも狙われてるって言ってた。」
 ギューちゃんが言う。
「なら、ワキと一緒に居れば、そうちゃんやった相手に会えるんだな!」
 ワキが言う。
「これ以上、やられる訳にはいかねぇな!探してくれてんなら、こっちから行ってやろう。」
 ヤスは言う。
「でも、相手は一人なんでしょ?だったら、俺は一人でいるよ!」
 ヤスは、怖いだけだった。
 皆でいると喧嘩に巻き込まれるが、自分一人なら、相手の顔もわからないし、相手も自分の事は、わからないと思っていたからだ。
 それに気付いた、ヤマゲは言う。
「ヤス、一人は危険過ぎるでしょ!そうちゃんをあんなボッコボコにしたような奴だよ!もし、狙いの一人にヤスも入ってたら、ヤスだったら死ぬと思うよ!」
 ワキも言う。
「何で、俺とそうちゃんと吉野なのかわからないけど、ヤスも含まれてる可能性は高いと思うな。」 
 ヤスは青ざめて言った。
「やっぱり、俺もワキと一緒にいようかな~。」
 そう言うと、皆で、ヤマゲの家を出て行った。
 皆で誰かもわからない相手を探して、一日中、外をうろついていたが、結局その日は、見つからなかった。

 翌日になると、そうちゃんはすっかり元気になっていた。
 そうちゃんは、ヤマゲの家に行くと、この日は、ビック、マー君、ギューちゃんがいた。
 そうちゃんが皆に相手の話しをする。
「不意討ちくらって、顔ちゃんと見てないから、なんとも言えないけど、ありゃ、見た事ある奴だったよ!」
 ビックが喰いついて話す。
「で、相手は誰だったんだよ?俺も知ってる奴か?」
 そうちゃんが答える。
「それが、ただ見た事あるだけで、誰だかさっぱりわからん!」
 皆が、声を合わせて言う。
「わかんないのかよ!」
 結局、誰だかわからないまま、皆でゲームセンターに向かう。
 ワキはケンちゃんとヤスと一緒にいた。
 三人もゲームセンターに向かう途中だった。
 ヤスは、ワキとケンちゃんと肩を並べて歩く事がない。
 今日は、自分が強くなった気でいた。
 ヤスは、二人を横にし、自分が先頭になるように歩いていた。
 前から、ふらふらした感じの人が来る。
 ヤスが、激しくガンをつける。
 相手が、ニコっと笑いかける。
 次の瞬間、ヤスは、気を失っていた。
 ワキとケンちゃんが構える。
 ヤスを一瞬にして、気を失わせた奴が言う。
「ようやく見つけた…」
 そう言うと、不気味に笑っていた。
 ワキはすぐに気付いた。
 相手は、かつて絡んで来たジャンキー、そうちゃん達の二つ歳上の島だった。
 島は、逮捕された後、仲間達から、ハブられ、その怒りから、かつての仲間達を、全員ぶちのめし、自分を追い込んだ、ワキ達に逆恨みしていたのだった。
 ワキが言う。
「ケンちゃん、気を付けろ!昔よりも、ガタイも良くなってるし、こいつ、キチガイだから、攻撃してもヘラヘラして掴み倒そうとするから。」
 ケンちゃんが言う。
「掴まれなければ、行けるっしょ!」
 島はワキに向かって来る。
 ケンちゃんが、島に蹴りを入れながら言う。
「無視すんじゃねぇよ!」
 ケンちゃんは、足を島に掴まれ、バランスを崩して倒れた。
 ワキが言う。
「ケンちゃん、転がれ!」
 ケンちゃんは、転がって、島の攻撃をかわした。
 ワキが言う。
「ケンちゃん、俺がこいつとやるから、手を出すな!」
 島が、ニターっと笑い、ワキに攻撃を仕掛ける。
 ワキが、島の攻撃をもろに受けてしまう。
 ワキが言う。
「なんてパワーだ!前よりも、全然パワーアップしてやがる。」
 ワキも、島に攻撃する。
 島は、よけずに、喰らいながらワキを掴もうとする。
 ケンちゃんが後ろから、島を蹴り飛ばす。
 島が、そのまま、ワキに衝突して、二人して倒れ込んだ。
 そのまま、島にワキが押さえつけられ、マウントで顔をボッコボコに殴られる。
 ケンちゃんが引き離そうと、蹴りを入れても、離れる事なく、ワキは気を失った。
 島が、また笑いながら立ち、ケンちゃんに向かって行く。
 ケンちゃんが言う。
「ワキ、悪い。」
 ケンちゃんは攻撃をし続けるも、呆気なく、島にやられてしまった。
 島は、スッキリしたように、その場から、歩き出す。
 ワキとケンちゃんをしても、完敗だった。

 ゲームセンターから、そうちゃん達が出てくると扉の前に島がいた。
 島が言う。
「お前だけ、手応えがなかった…」
 そう言って、そうちゃんに襲い掛かる。
 そうちゃんは、島の攻撃をかわした。
 そうちゃんが言う。
「お前、何しやがんだよ!こないだ、いきなり襲って来たのは、お前だな!」
 そうちゃんは、すぐにブチ切れ出した。
 ヤマゲとブラックが、島に攻撃をする。
 二人とも掴まれ、バランスを崩して倒れる。
 マー君が言う。
「強すぎる。人間じゃない。」
 ギューちゃんが、島の顔目掛けて、パンチをする。
 島は、思いっきり喰らうが、鼻血を垂らす程度だった。
 そうちゃんが言う。
「やめろ!俺がこいつとタイマンすんだよ!」
 そう言うと、そうちゃんは、島に突っ込んで行く。
 タフ対ロボットの戦いが始まった。
 そうちゃんは、島の攻撃に何度も何度も倒れるが、すぐに立ち上がって、島に向かって行く。
 島も、そうちゃんに攻撃を喰らうが、倒れる事なく、またそうちゃんに攻撃をする。
 そうちゃんは、ボロボロになってもう向かって行く。
 その間に、ギューちゃんが、ワキとケンちゃんとヤスが倒されてるのを見つける。
 ワキもケンちゃんも気が付いた。
 ワキが言う。
「あのジャンキー野郎はどこだ!」
 ギューちゃんが言う。
「今、そうちゃんとやり合ってる。多分負ける。」
 ケンちゃんが言う。
「当たり前だ!アイツは異常だよ。攻撃が効いてないみたいだし、そうちゃんじゃ勝てない。」
 ワキが言う。
「行くぞ!」
 ワキとケンちゃんがゲームセンターの前に着くと、まるで死んでしまっているかのような、そうちゃんと、ボロボロになった、ヤマゲ、ビック、マー君がいた。
 ワキが聞く。
「アイツは?どこに行った?」
 ビックが答える。
「そうちゃんが、何度も立ち上がるのを見て、泣いてどっか行っちまった。」
 ヤマゲが言う。
「そうちゃんも相当気合い入ったの入れてたから、多分アイツも立ってんのがやっとだと思う。追いかけてやっちまえば倒せる!」
 ワキが言う。
「追いかけるぞ!ケンちゃん、そうちゃんをビックと一緒に頼んだ!」
 ワキとヤマゲで島が歩いて行った方向に急いだ!
 すぐに見つけた。
 島は、ナベと喧嘩していた。
 さすがの島も、疲れ果てているのか、虫の息だった。
 ナベが言う。
「ワキ、お前ら、こいつにやられたのか?」
 ワキが言う。
「やりに来たんだよ!」
 島が、ナベに最後の力を振り絞って、向かって行く。
 ナベが、島に一撃を入れる。
 島が、そのまま倒れ込んだ。
 島による、快進撃はようやく、止まった。

 島による、快進撃で、皆、ボロボロだった夏休みも終わり、二学期が始まった。
 そうちゃんは、あの後、夏休み中、全然動けずに、二学期を迎えてしまった。
 夏休み中にマユとも別れていた。
 そうちゃんは、振り返る、島と戦っていた時、島が涙を流していた事を。
 きっと、島は、仲間が欲しかったんだろうと思う。そうちゃんが、島に何度も何度も立ち向かった時に、これ以上、仲間をやらせないと言い立ち向かってくる姿を見て、涙を流していたのだと。

 そうちゃんは、気付くと、校内で人気者になっていた。
 そうちゃんが登校すれば、下駄箱に、複数の女の子が集まり、そうちゃんを見ている。
 そうちゃんが、久しぶりに自分の席に座ると、机の上は落書きだらけだった。
 その時、隣の席だった、校内一、モテていた女子、ミカの落書きだった。
 ミカは、そうちゃんを好きだった。
 その日から、ミカはそうちゃんにもうアピールを始めた。
 机に落書き、下駄箱にラブレター、手作りお菓子をあげたりしていた。
 そうちゃんは、好きと言われると、断れない男だった。
 ミカが、そうちゃんに告白すると、そうちゃんは流れのまま、うんと返事をしてしまう。
 そうちゃんには、また新しい彼女が出来る。
 もうそろそろ、修学旅行だった。
 ミカは、そうちゃんに言う。
「修学旅行は一緒にいようね!班は別だけど、私達の班はそうちゃんにくっついて行くから、悪い事しないでね!」
 そうちゃんは答える。
「でも、先生には、その髪型とピアスやめないと、連れてかないって言われてんだよ!だから、行かないかな!」
 ミカが怒りながら言う。
「髪型もピアスも行く時だけ普通に戻せばいいんだから!絶対に行くよ!」
 そうちゃんは勢いにのまれて答える。
「へい。」
 修学旅行当日、そうちゃんは、伸ばしていた、襟足を切って、普通の髪型にして、ピアスを外して、修学旅行に参加していた。
 そうちゃんの班には、真面目な生徒ばかりだったが、たけちゃんもいた。
 たけちゃんは、お調子者で、すぐに裏切る奴だが、そうちゃんとは幼なじみだった。
 そうちゃんは、真面目な生徒と行動していたがつまらないと言い、一人別行動をとり始めた。
 ミカの班の女子達が、そうちゃんにくっついていたので、先生も特に気にせず、放置していた。
 ミカは、そうちゃんにべったりしながら、歩き回っていた。
 すると、真面目な生徒と行動していた、たけちゃんが、俺もそうちゃんと行くと言って、そうちゃんと合流した。
 そうちゃんは、タバコを吸うために影に隠れ、しゃがんでいた。
 たけちゃんが、他校の生徒にオラつく、そうちゃんは、それを見ると、スルーして、放っておく。
 そうすると、たけちゃんが言う。
「そうちゃん、やっちまおうぜ!」
 そうちゃんは、無視して、立ち上がり、その場から立ち去る。
 たけちゃんが、相手に今日はいいやと言って、また、そうちゃんについて行く。
 そんなたけちゃんに、そうちゃんは忠告する。
「喧嘩したければ、自分でやれよ!女子もいるし、俺はやんねぇから。」
 たけちゃんが言う。
「わかった。」
 そう言うと、たけちゃんは、他校の生徒に絡まなくなった。
 そんな中、今度はたけちゃんが、他校の生徒に絡まれた。
 たけちゃんは、そうちゃんに助けを求める。
 そうちゃんが言う。
「さっきまで自分から絡んでたじゃねぇか!やりたくないならやらないって相手に言えばいいじゃん!」
 そうちゃんが凄くイライラしていると、たけちゃんに絡んでいた奴が、そうちゃんにも絡み始めた。
 そうちゃんは、仕方なく、人のいなそうな所に連れて行き、一分で戻って来た。
 そうちゃんは言う。
「本当にめんどくさいからもうついてくんな!」
 そう言うと、一人で先に歩いて行ってしまった。
 残された、たけちゃんとミカの班は、言い争いをしていて、そうちゃんがどこに行ったのか、見ていなかった。
 仕方なく、ミカの班は、いやいや、たけちゃんを連れそうちゃんを探しに行った。
 全然、そうちゃんが見つからずにまた皆で、言い争いをし始めた時だった。
 地元の高校生らしき二人に、たけちゃんとミカが絡まれた。
 ミカが言ってしまう。
「てめぇら気持ち悪いんだよ!話しをかけてくんな!皆、そうちゃんを探して来て!ミカが絡まれてるって知ったら、そうちゃんは絶対助けてくれるから!」
 そう言うと、たけちゃんとミカを残し、班の女子達は、そうちゃんを探しに行った。
 コンビニの喫煙所でそうちゃんを見つけ、ミカの事を話す。
 そうちゃんが怒りだし言った。
「女に絡むクソ男がいやがるとは、ぶちのめす!」
 と言って、ミカの元へ急いで向かった。
 そうちゃんが来ると、既にたけちゃんは正座をさせられていて、高校生の一人が、ミカに絡んでいた。
 そうちゃんは有無を言わずに、ミカに絡んでいる高校生を引っ張り、一撃で終わらす。
 たけちゃんに絡んでいた方が、向かって来たがそちらも一撃で終わらす。
 そうちゃんがそいつらに言った。
「女に絡むクソ野郎は、この世にいらねぇんだよ!」
 と言いながら、倒れた相手を蹴り続ける。
 たけちゃんが、止めに入って、ようやく、止まる。
 そうちゃんが何があったのか、ミカに聞く。
「何でミカに、高校生が絡むの?」
 ミカが答える。
「絡んで来るなって口答えしたら…でも、そうちゃんが来てくれるってわかっていたから、言ったんだよ!」
 そうちゃんは、唖然としていた。
 こうして、修学旅行も終わった。

 冬休みも終わり、三学期の後半、もうすぐ、卒業の頃だった。
 ミカに、ワキが告白する。
 ミカは、そうちゃんと付き合っているからとワキを振った。
 ワキは、今まで、女の子と付き合うとかした事もなければ告白する事も初めてだった。
 ワキは、そうちゃんがいなければ、ミカと付き合えると勘違いをしてしまっていた。
 それから、ワキの大暴走が始まったのだった。
 ミカはモテモテだった。
 色んな人に告白され、その度に、言っていた。
「私、強くて優しい人が好きなの。ごめんね。」
 ミカに告白した一人にヤスがいた。
 ヤスはワキに言った。
「ミカは、強くて優しい人が好きって事は、そうちゃんをミカの前で、やっちまえば、ミカは振り向くかもしれない。」
 ワキが言う。
「俺の恋を邪魔する奴は、例えそうちゃんでも、許さない!」
 ワキはそうちゃんを探しまわる。
 この日、そうちゃんは休んでいた。
 ワキが振られたのを知った、ヤマゲとブラックが、ワキを慰めに来た。
 ヤマゲが言う。
「そうちゃんも何も言わないからな!そうちゃんとミカが付き合っているって知ってれば、ワキも無駄に振られずにすんだのにな!」
 ブラックが言う。
「そうちゃんは、女に関しては、こっちから聞かないと言わないからね!」
 ワキがいきなりヤマゲを殴り出した。
 ヤマゲが言う。
「やめろ!何だよいきなり!」
 ワキが言う。
「無駄じゃねぇ!そうちゃんを倒して俺がミカを奪う。」
 ヤマゲが言う。
「お前、やべー奴だな…」
  ヤマゲとブラックが、ワキにやられた。
 翌日、何も知らないそうちゃんが登校して来た。
 ワキが、そうちゃんに言いに来た。
「そうちゃん、悪いけど、面貸してくれ!」
 そうちゃんが答える。
「言い方、何?なんかやる気満々じゃん!どうしたの?」
 ワキが言う。
「女をかけて俺と勝負しろ!」
 そうちゃんが言う。
「はあ?いや、俺そう言う喧嘩ならしない主義だし、だいたい、俺の意思関係ないじゃん!」
 ワキが言う。
「勝った方がミカと付き合う!」
 そうちゃんが言う。
「だから、付き合うかどうかってミカが決めるんであって、ワキが決める事ではないし、俺が決める事でもない。」
 ワキが言う。
「ミカも呼んである。いいから来い!」
 そうちゃんが言う。
「あーそう。ミカが来るって事はミカも覚悟の上でって事ね!了解!」
 そうちゃんはワキに言われるがままについて行った。
 学校の裏のトンネルの中、ヤマゲとブラックがいた。そして、ミカも来ていた。
 ヤマゲがミカに言う。
「来ちゃったんだ。残念!そうちゃん、こういうのすっごく嫌いだから、もう終わりだと思った方がいいよ!」
 ミカが言う。
「えっ?なんで?ワキに来いって言われたから来ただけなのに?」
 ブラックが言う。
「そうちゃん、理由聞かないからなー。」
 ワキが言う。
「それじゃ!始めようか!」
 そうちゃんが言う。
「始める前に、ミカ、今お前とは終わり、もう彼女でも何でもない。で勝った方と付き合うんでしょ!」
 ミカが言う。
「なんか、ワキが勝手な事言ってたけど、そうちゃんが心配で来たんだよ!」
 そうちゃんが言う。
「理由は何でもいいけどさー、俺、男の喧嘩に首を突っ込む女大嫌いなんだわ!ワキが勝手な事言ってんのかも知れないけど、勝手な事なら来なきゃいいのに!はい、これで終わり。んで、ワキ、俺はお前と喧嘩する理由なくなったぞ!」
 ワキはミカの方を見る。
 ミカは、泣いていた。
 ワキが言う。
「ミカを泣かした!それだけでも、戦う理由になる!」
 ミカは言う。
「ワキが勝ったって付き合わないし、そうちゃんとも別れない。」
 そうちゃんが言う。
「諦めろ!ミカ!」
 ミカが泣き崩れる。
 ワキが、耐えきれずに、そうちゃんに殴りかかった!
 そうちゃんがかわして、言う。
「これでもやるんだな!残念だ!」
 そうちゃんとワキの喧嘩が始まった。
 そうちゃんの一方的な戦いになり、ワキが、負けを認めた時だった。
 そうちゃんが言う。
「ふざけんじゃねぇ!こんなので勝ったって面白くねぇし、ちゃんとお前が本気にならないのに、何でミカを呼ぶんだよ!ミカはお前の道具じゃねぇんだよ!」
 ワキが、頷き、スッキリした顔になって、そうちゃんにまた殴りかかる。
 仕切り直した喧嘩は、どっちも本気だった。
 やはり、そうちゃんはワキには勝てなかった。
 ミカがそうちゃんに駆け寄る。
「そうちゃん、大丈夫?」
 そうちゃんが言う。
「だから、首突っ込むなって言ったんだよ!こんな姿だって見られたくなかった。今日ここでもう終わりだ。ごめん。ミカ。」
 ワキが言う。
「ミカ、悪かった。そうちゃんとやり合って、自分がどうかしていた事に気付かされた。」
 ヤマゲとブラックが言う。
「今更かよ!」
 ヤマゲが言う。
「おい、恋愛が上手くいかなくてイライラしてたのはわかったけどな!そうちゃんとミカが許しても、俺達は許さねぇぞ!」
 ミカも言う。
「私、ワキを絶対に許さない。けど、私もちゃんと断ってあげれなくてごめんね。私、ワキを好きじゃない。だから、強くても、優しくても、付き合えない。ごめんなさい。」
 ブラックが笑って言う。
「強烈だな!こりゃ俺達のパンチよりもキツい一発だわ、許そう。なっヤマゲ!」
 ヤマゲは、頷く。
 ワキが言う。
「本当はわかってた。でもこれで全部すっきりした。そうちゃん!やっぱり俺達はクズだわ。」
 そうちゃんが言う。
「達じゃねぇよ!」
 こうして、ワキの大暴走が終わり、皆で仲良く卒業式を迎えた。

 卒業式当日、吉野、ケンちゃん、ワキの三羽烏は、特攻服を見に纏い、卒業式にやって来た。
 吉野がそうちゃんに言う。
「俺達三人は、族を作る事にした!お前も一緒にやらねぇか?」
 そうちゃんが答える。
「俺はやんねぇ!」
 ワキが言う。
「そう言うと思ったわ!」
 ケンちゃんが笑いながら言う。
「じゃ、次会う時は、敵かもな。」
 そうちゃんが言う。
「そうかもしれないな!」
 卒業式が始まる。
 皆がそれぞれの道に進む。
 そうちゃんは一人、昼間は働き、定時制高校に進学を決めていた。
 ヤマゲ、ブラック、ギューちゃん、オカは同じ高校に進学する。
 マー君、ガクが同じ高校に進学する。
 ヤス、たけちゃんはそれぞれ別の高校に進学をする。
 そうちゃんはどこか寂しそうに、卒業式に参加をしていた。
 これからは、そうちゃんは一人ぼっちで学校に行く事となる。

中学生後編ー終ー
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