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23章 真実の明子の章
気持ちの崩壊
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私達は、船に戻ってきた。
戻ってきた瞬間は、とても嬉しくって、今度こそ、ゆっくりと大好きな彼と一緒に過ごせると思っていた。
船の外には、木林の遺体と、重屋だったと言う、デカい奴の遺体があった。
朱里ちゃんの話だと、重屋は感染を隠して、生きていた。
私は、とてつもない不安と絶望にかられていた。
皆が寝静まった時に、私は、重屋の遺体を蹴りつけていた。
私の幸せを返して。
嘘つき。
許せない。
絶対にコイツは許さない。
私は、翌日になると、田山に薬を貰いに行った。
田山は、むやみやたらに使うなと怒っていた。
むやみやたらではない。
私には、いや、私にも、他に話せない、隠し事がある。
兎に角、誰にも、バレたくない。
彼には絶対に知って欲しくない。
皆は、私の様子がおかしい事を勘づかれたていた。
彼も、私に問いかけてくる。
凄く、ストレス。
重屋さえ居なければ何もなかったのに。
私は、怯えながらも、彼と一緒に、彼の近くで毎日を過ごしていた。
ある日、朱里ちゃんが、私に言いに来た。
明子さん、あなたも、感染したのね。
私は言葉を返す。
感染なんかしてない。なんで感染なんかするの?
朱里ちゃんは答える。
重屋君に聞いてたの。大丈夫。誰にも、何があったかは言わないから。
私は強く否定する。
何?なんの話し?重屋に適当な事言われてるんでしょ。
朱里ちゃんが呆れた感じで言う。
そんなに否定するなら、最初から何もしなければいいのに。ダサいよ。それに、感染しているのなら、皆にちゃんと話さないといけない。何があって感染したかは、言わなくてもいいけれど。
私は、朱里ちゃんに殺意が芽生えた。
私の幸せを壊す奴は許さない。
悔しい。
その日も、彼は私と一緒に過ごした。
翌朝、朱里ちゃんが死んでいた。
皆は、平和に過ごしていただろう。
塁が泣きながら、朱里ちゃんを抱きしめていた。
私は、その姿を見て、胸が痛くなった。
苦しい。
でも、朱里ちゃんは、私の幸せを壊そうとした。
だから、死んでも仕方なかったの。
私は、自分に言い聞かせた。
塁の目は、私を睨みつけていた。
私は、すぐに気付いた。
塁も知っている。
朱里ちゃんは、塁に全部話していたのだと。
ここまで来て、なんで私の幸せを壊すの。
私は、気がおかしくなっていた。
塁も、塁も殺さなければ。
でも、塁には、隙がない。
簡単には、殺せない。
多分、塁を襲えば、私が殺られるだろう。
そんな事を考えながらも、私は彼と一緒に過ごしていた。
塁が皆を集めて、話しをしていた。
私は、呼ばれていなかった。
もう、皆にバラしているのだろう。
私は、開き直って、皆の集まっている所に向かった。
どういう訳か、皆、私の事を心配してくれていた。
塁と彼だけは、違った。
歴が、私に話しをかけてきた。
重屋君に噛まれているようだけど、身体は大丈夫?
私は答えた。
私、朱里ちゃんを殺したのよ。
加藤さんが言う。
それは、聞いた。明子さんの不安を煽るような事を言ったのでしょ、明子さんの気持ちもわかる。でも、その話しは後。
塁が言う。
後も先もない。もう、既に、気を違えた人になっているんだよ、明子さんは。
私は、彼の近くに寄って、話しをしようとしたら、彼が言う。
俺に、近寄るな!
私は、絶望した。
私は、周りを見渡して、さっきまで心配してくれていた人達の目が、冷たい目に変わっていたのがわかった。
私は、皆に、話した。
寂しかった。彼が死んだと思っていて、凄く寂しかったの。一緒にいた人の中に男も重屋しかいなかった。だから、重屋と関係を持った。でも、アイツには何の感情もない。
彼が言う。
そんな話しを聞きたいんじゃない。噛まれたのか?噛まれていないのか?なんで朱里ちゃんを殺したのか?
私が話しを続ける。
アイツは、全部嘘だった。だから、私は知らなかったの。重屋が感染していたなんて、僕には噛みグセがあるとか言って、毎日噛まれた。アイツの血を舐めた事もある。
皆、引いていた。
彼が言う。
もう、俺と俺の家族には近付くな!
田山が言う。
一応、明子さんには、薬を渡した。でも、恐らく、もう既に、気を違えた人になりかけている。時間の問題かもしれない。
歴と塁のママに言われる。
貴方の軽率な行動が、今回のような事を生み出したの。こんな世の中じゃなければ、貴方はただの悪い女。今の世の中じゃ、ドジでマヌケな、気を違えた人。残念だけど、船にいて欲しくないわ。
私は、もう一度、彼に近付く。
彼は、食いしばりながら、私を突き放した。
地獄の始まりだった。
私が、悪いのだけれど、謝っても許される事ではないけれど、本当に、心から朱里ちゃん、ごめんなさい。
23章終
戻ってきた瞬間は、とても嬉しくって、今度こそ、ゆっくりと大好きな彼と一緒に過ごせると思っていた。
船の外には、木林の遺体と、重屋だったと言う、デカい奴の遺体があった。
朱里ちゃんの話だと、重屋は感染を隠して、生きていた。
私は、とてつもない不安と絶望にかられていた。
皆が寝静まった時に、私は、重屋の遺体を蹴りつけていた。
私の幸せを返して。
嘘つき。
許せない。
絶対にコイツは許さない。
私は、翌日になると、田山に薬を貰いに行った。
田山は、むやみやたらに使うなと怒っていた。
むやみやたらではない。
私には、いや、私にも、他に話せない、隠し事がある。
兎に角、誰にも、バレたくない。
彼には絶対に知って欲しくない。
皆は、私の様子がおかしい事を勘づかれたていた。
彼も、私に問いかけてくる。
凄く、ストレス。
重屋さえ居なければ何もなかったのに。
私は、怯えながらも、彼と一緒に、彼の近くで毎日を過ごしていた。
ある日、朱里ちゃんが、私に言いに来た。
明子さん、あなたも、感染したのね。
私は言葉を返す。
感染なんかしてない。なんで感染なんかするの?
朱里ちゃんは答える。
重屋君に聞いてたの。大丈夫。誰にも、何があったかは言わないから。
私は強く否定する。
何?なんの話し?重屋に適当な事言われてるんでしょ。
朱里ちゃんが呆れた感じで言う。
そんなに否定するなら、最初から何もしなければいいのに。ダサいよ。それに、感染しているのなら、皆にちゃんと話さないといけない。何があって感染したかは、言わなくてもいいけれど。
私は、朱里ちゃんに殺意が芽生えた。
私の幸せを壊す奴は許さない。
悔しい。
その日も、彼は私と一緒に過ごした。
翌朝、朱里ちゃんが死んでいた。
皆は、平和に過ごしていただろう。
塁が泣きながら、朱里ちゃんを抱きしめていた。
私は、その姿を見て、胸が痛くなった。
苦しい。
でも、朱里ちゃんは、私の幸せを壊そうとした。
だから、死んでも仕方なかったの。
私は、自分に言い聞かせた。
塁の目は、私を睨みつけていた。
私は、すぐに気付いた。
塁も知っている。
朱里ちゃんは、塁に全部話していたのだと。
ここまで来て、なんで私の幸せを壊すの。
私は、気がおかしくなっていた。
塁も、塁も殺さなければ。
でも、塁には、隙がない。
簡単には、殺せない。
多分、塁を襲えば、私が殺られるだろう。
そんな事を考えながらも、私は彼と一緒に過ごしていた。
塁が皆を集めて、話しをしていた。
私は、呼ばれていなかった。
もう、皆にバラしているのだろう。
私は、開き直って、皆の集まっている所に向かった。
どういう訳か、皆、私の事を心配してくれていた。
塁と彼だけは、違った。
歴が、私に話しをかけてきた。
重屋君に噛まれているようだけど、身体は大丈夫?
私は答えた。
私、朱里ちゃんを殺したのよ。
加藤さんが言う。
それは、聞いた。明子さんの不安を煽るような事を言ったのでしょ、明子さんの気持ちもわかる。でも、その話しは後。
塁が言う。
後も先もない。もう、既に、気を違えた人になっているんだよ、明子さんは。
私は、彼の近くに寄って、話しをしようとしたら、彼が言う。
俺に、近寄るな!
私は、絶望した。
私は、周りを見渡して、さっきまで心配してくれていた人達の目が、冷たい目に変わっていたのがわかった。
私は、皆に、話した。
寂しかった。彼が死んだと思っていて、凄く寂しかったの。一緒にいた人の中に男も重屋しかいなかった。だから、重屋と関係を持った。でも、アイツには何の感情もない。
彼が言う。
そんな話しを聞きたいんじゃない。噛まれたのか?噛まれていないのか?なんで朱里ちゃんを殺したのか?
私が話しを続ける。
アイツは、全部嘘だった。だから、私は知らなかったの。重屋が感染していたなんて、僕には噛みグセがあるとか言って、毎日噛まれた。アイツの血を舐めた事もある。
皆、引いていた。
彼が言う。
もう、俺と俺の家族には近付くな!
田山が言う。
一応、明子さんには、薬を渡した。でも、恐らく、もう既に、気を違えた人になりかけている。時間の問題かもしれない。
歴と塁のママに言われる。
貴方の軽率な行動が、今回のような事を生み出したの。こんな世の中じゃなければ、貴方はただの悪い女。今の世の中じゃ、ドジでマヌケな、気を違えた人。残念だけど、船にいて欲しくないわ。
私は、もう一度、彼に近付く。
彼は、食いしばりながら、私を突き放した。
地獄の始まりだった。
私が、悪いのだけれど、謝っても許される事ではないけれど、本当に、心から朱里ちゃん、ごめんなさい。
23章終
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