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16章 希望の章
希望を実現する為に
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優香さんが船に一人で帰ってきた。
歴が駆け寄る。
歴に抱えられ、船に入ってくる。
明子さんに抱き締められ、重屋君と朱里ちゃんは呆然としている。
村田さんは声をあげて泣いている。
とてつもなく、寂しい空気が船を漂う。
松野が生きている事がわかって船の中は喜びに包まれていたのに、一夜にして悲しみに包まれた。
翌日、明子さんが子供達を連れて、歴に言う。
歴、一緒にパパを探しに行きましょう。
歴が言う。
パパを探しに行くなんて、死にに行くようなもの、明子さんがパパに会いたい気持ちは分かる、僕もすぐにでも行きたい。でも、危険過ぎる。
明子さんが言う。
危険なのはわかっている。でもここにいる方が不安なの。
どうやら、パパに会える希望を持った明子さんは、田中君が居なくなって、希望を失いたくない気持ちを持ってしまったようだ。
歴でも止められない。強い気持ちを持ってしまったようだ。
今夜、皆で話し合って決めよう。
優香さんはまだ放心状態だった。
村田さんが子供達と一緒に遊んでいる。
重屋君は朱里ちゃんと一緒に歴の話しに耳を傾けていた。
歴が言う。
僕は、明子さんと一緒に研究している場所に、行こうと思っている。
重屋君は朱里ちゃん、優香さん、優香さんの娘さんを守って欲しい。村田さんはきっと守らなくても一人でも強い。重屋君と村田さんが船に残っていてくれたら、この船も安泰なんだ。
重屋君が言う。
僕らが残って、船を守るのは出来るかも知れないけど。歴は一人で明子さんと子供達全員を守れるの?
明子さんが言う。
歴なら大丈夫。彼の息子だから、必ず皆を無事に研究している場所に連れてってくれる。
重屋君が言う。
なら、代わりに研究している場所についたら、誰か男性をこっちに向かわせてくれないか?
僕一人では、何だか気が重たくて、歴と塁と明子さんと加藤さんがこの人なら大丈夫って思える人を男性がいるのなら何人でもいい。
歴が答える。
わかった。向こうについて信用出来る男性がいたら、すぐに船に向かわせる。
もちろん、話し次第では研究を船でして貰って、パパを見つけたら、皆で船に帰ってくる。
重屋君が言う。
よし決まりだね。明日出発するのかい?
朱里ちゃんが被せて言う。
ちょっと待って。向こうにいる人達だけじゃこっちに帰って来れない。私も行く。
歴は目を見開いて言う。
えっ…ちょっと辛いかな…
朱里ちゃんが言う。
私隠してたけど、多分、重屋君や田中君よりは強い。重屋君と会う前は私一人でいたの。
だから、私もついて行けば、きっと歴の負担も軽くなる。
明子さんが言う。
私もたまに見ていたの、朱里ちゃんが船の近くにくる気を違えた人をやっつけていたのを、船の近くに気を違えた人が来ないように罠を仕掛けていたのも朱里ちゃんだって事も。
歴はびっくりしていた。
重屋君がやっていたのかと思っていた。
重屋君が言う。
ずっと一緒にいたけど気づかなかったな。
朱里ちゃんがこんなに言っているのも初めてだよ。歴、一緒に連れて行ってくれないか?
歴は、連れて行くと約束した。
村田さんが元気に見送ってくれる。
歴ちゃーん、早くパパ見つけて帰って来てねー。
重屋君が寂しそうな顔で見送ってくれる。
早く行って、誰かをこっちによこしてくれよー。
優香さんは、にっこり微笑み手を振る。
歴、明子さん、私は大丈夫。これから、娘を守っていく為にも、強くなって行く。
歴と明子さんは優香さんの笑顔を見て、安心して出発した。
あんだけ賑やかになった船も人が少なくなってしまった。心なしか船が寂しそうにこっちを見ている気がした。
田中君が乗ってきた車を残し、歴と明子さん達は出発した。
その頃、研究している場所では。
田山君と田村さんが皆を起こして騒いでいた。
ゆり子さんが喋れるようになったんだ。
塁と加藤さんは喜んで話しをしに行く。
研究はしっかりと進んでいた。
木林は言う。後は松野さんが帰ってくれば…
場所は変わり、ここは東京。
東京内だけはこんな世の中になる前とあまり変わらない生活を送っていた。
ただ違っていたのは、東京の中は選ばれた人のみ中で暮らせて、外の人は全て、気を違えた人として扱われる。
そんな東京の中にズタボロになった姿でさまよっている男が一人。
神本は何処だ?
そう、松野だった。
16章終
歴が駆け寄る。
歴に抱えられ、船に入ってくる。
明子さんに抱き締められ、重屋君と朱里ちゃんは呆然としている。
村田さんは声をあげて泣いている。
とてつもなく、寂しい空気が船を漂う。
松野が生きている事がわかって船の中は喜びに包まれていたのに、一夜にして悲しみに包まれた。
翌日、明子さんが子供達を連れて、歴に言う。
歴、一緒にパパを探しに行きましょう。
歴が言う。
パパを探しに行くなんて、死にに行くようなもの、明子さんがパパに会いたい気持ちは分かる、僕もすぐにでも行きたい。でも、危険過ぎる。
明子さんが言う。
危険なのはわかっている。でもここにいる方が不安なの。
どうやら、パパに会える希望を持った明子さんは、田中君が居なくなって、希望を失いたくない気持ちを持ってしまったようだ。
歴でも止められない。強い気持ちを持ってしまったようだ。
今夜、皆で話し合って決めよう。
優香さんはまだ放心状態だった。
村田さんが子供達と一緒に遊んでいる。
重屋君は朱里ちゃんと一緒に歴の話しに耳を傾けていた。
歴が言う。
僕は、明子さんと一緒に研究している場所に、行こうと思っている。
重屋君は朱里ちゃん、優香さん、優香さんの娘さんを守って欲しい。村田さんはきっと守らなくても一人でも強い。重屋君と村田さんが船に残っていてくれたら、この船も安泰なんだ。
重屋君が言う。
僕らが残って、船を守るのは出来るかも知れないけど。歴は一人で明子さんと子供達全員を守れるの?
明子さんが言う。
歴なら大丈夫。彼の息子だから、必ず皆を無事に研究している場所に連れてってくれる。
重屋君が言う。
なら、代わりに研究している場所についたら、誰か男性をこっちに向かわせてくれないか?
僕一人では、何だか気が重たくて、歴と塁と明子さんと加藤さんがこの人なら大丈夫って思える人を男性がいるのなら何人でもいい。
歴が答える。
わかった。向こうについて信用出来る男性がいたら、すぐに船に向かわせる。
もちろん、話し次第では研究を船でして貰って、パパを見つけたら、皆で船に帰ってくる。
重屋君が言う。
よし決まりだね。明日出発するのかい?
朱里ちゃんが被せて言う。
ちょっと待って。向こうにいる人達だけじゃこっちに帰って来れない。私も行く。
歴は目を見開いて言う。
えっ…ちょっと辛いかな…
朱里ちゃんが言う。
私隠してたけど、多分、重屋君や田中君よりは強い。重屋君と会う前は私一人でいたの。
だから、私もついて行けば、きっと歴の負担も軽くなる。
明子さんが言う。
私もたまに見ていたの、朱里ちゃんが船の近くにくる気を違えた人をやっつけていたのを、船の近くに気を違えた人が来ないように罠を仕掛けていたのも朱里ちゃんだって事も。
歴はびっくりしていた。
重屋君がやっていたのかと思っていた。
重屋君が言う。
ずっと一緒にいたけど気づかなかったな。
朱里ちゃんがこんなに言っているのも初めてだよ。歴、一緒に連れて行ってくれないか?
歴は、連れて行くと約束した。
村田さんが元気に見送ってくれる。
歴ちゃーん、早くパパ見つけて帰って来てねー。
重屋君が寂しそうな顔で見送ってくれる。
早く行って、誰かをこっちによこしてくれよー。
優香さんは、にっこり微笑み手を振る。
歴、明子さん、私は大丈夫。これから、娘を守っていく為にも、強くなって行く。
歴と明子さんは優香さんの笑顔を見て、安心して出発した。
あんだけ賑やかになった船も人が少なくなってしまった。心なしか船が寂しそうにこっちを見ている気がした。
田中君が乗ってきた車を残し、歴と明子さん達は出発した。
その頃、研究している場所では。
田山君と田村さんが皆を起こして騒いでいた。
ゆり子さんが喋れるようになったんだ。
塁と加藤さんは喜んで話しをしに行く。
研究はしっかりと進んでいた。
木林は言う。後は松野さんが帰ってくれば…
場所は変わり、ここは東京。
東京内だけはこんな世の中になる前とあまり変わらない生活を送っていた。
ただ違っていたのは、東京の中は選ばれた人のみ中で暮らせて、外の人は全て、気を違えた人として扱われる。
そんな東京の中にズタボロになった姿でさまよっている男が一人。
神本は何処だ?
そう、松野だった。
16章終
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