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15章 優香の章
サヨウナラ
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私の人生はめちゃくちゃだ。
私が愛した人は居なくなる。
こんな世の中になる前、私はちゃんと結婚して、娘を授かった。
出産して、一年、幸せの絶頂期に日本は隔離され、気を違えた人達の世の中になってしまった。
私は旦那と逃げ回って、ある土地でグループに入って生活していた。
日本がこんな世の中になってから、初めて、安心して暮らせていた。
どのくらい経っただろうか、娘も初めて立つことができ、夫婦二人で喜んだ。
このグループには男性が少なく、女性がいっぱいいた。
それでも皆で仲良く、暮らせていた。
旦那は私と娘のもとに帰ってくる事が少なくなっていった。
ただの浮気だと思っていた。
私の情緒は不安定になっていた。
旦那は私に言ってきた。
俺は、もうここには戻らない。お前のもとには帰らない。すまない。
それだけ言い残して、それから帰って来なかった。
そんな頃に、田中がグループにやって来た。
田中は、彼は、何故か孤立していた私に良く話しかけて来てくれる。
寂しくなっていた私は、嬉しかった。
ある日、グループがヤクザのような輩達を迎え入れて、その後ヤクザのような輩達に襲われた。
グループの女達が連れてかれ、男達は人数が少なく、弱い。
ヤクザのような輩の一人が言った。
子供連れてる奴は何処か他に行け!
子供が居ると泣いたり、わめいたりしてすぐに気を違えた人に襲われる。
邪魔だから連れて外に出ていけ。
私は、外に出される時に、旦那を見つめた。
旦那はヤクザのような輩のリーダーのような人に言われた。
お前の家族か?
旦那は答えた。
違います。
怯えていた。震えていた。
私は、何も言わずに外に出て行った。
街を歩いていると、田中が帰ってきて、私に皆はどうしたんだと聞いてきた。
私は知らないと答えた。
彼は、私達を連れて皆を探そうと言い出した。
私は、その時は、やめて、私は放っておいて。
と思っていた。
彼がヤクザのような輩に捕まって、お前達を殺すと言われていた。
私は、思った。だからやめてって。
彼は、ヤクザのような輩達に言った。
私達とは家族だと。大切な人なのだと。一緒に生きていきたいと。
私の心に稲妻が走った。
捨てられた私達を必要としてくれた。
彼と私達は、解放され、彼と街を出て行った。
私は、あの日から、彼にずっとついて行こう、彼がどんな人でも、ついて行こうと決心した。
加藤さんと塁に出会って、船についてからは凄く幸せな日々だった。
一度だけ彼が船から追い出されそうになったけれど。
私の気持ちはこんな世の中になる前より、幸せな毎日だった。
ある日、彼が加藤さん、塁に連れられて、彼の故郷に行く事になった。
私は凄く不安だった。
彼は弱いから。
でも、彼は自分は強いと思っている。
私は、その彼の思いが大好きだった。
彼が帰って来れるのか、生きていていられるのか。
凄く不安だった。
彼は帰って来た。女を連れて帰って来た。
私は喜んで迎え入れた。
歴と塁のお父さんが生きている。
皆で凄く喜んでいた。明子さんは見たことないくらい喜び狂っていた。
不安は無くなり、また彼と暮らせると思って私は歓喜していた。
帰って来た彼は、私にデートを誘ってきた。
とっても嬉しい。
でも、こんな世の中だから、デートするところなんてない。
私は、今日歴と菜園道具を探しに行っていた。
それを二人で行きましょって言った。
彼は笑顔でうなづいてくれた。
翌日、私達は二人きりで外に出た。
彼は、私にいっぱい話しをしてくれていた。
前にいたグループの土地で研究している事。
気を違えた人を大人しくさせる薬は出来ている事。
歴と塁のお父さん、松野さんとの昔話。
そんな話しをしている中、民家に入って菜園道具を探していると彼が言ってきた。
こんなちょこちょこ探しているんじゃ時間がかかってしょうがない。
少し遠いけど、ホームセンターを見つけたから、そこに取りに行こうと言う。
私は、彼の弱さはわかっていた。
加藤さん、歴、塁は万全を期して、安全を確保した上でデパートやコンビニ等のお店を確保していた。
私も軽く考えてしまっていた。
何も居ないかも知れない。
何か居たらすぐに引き返せばいい。
私は、彼の誘いに乗ってホームセンターに向かった。
駐車場にはあまり気を違えた人は居ない。
二人でお店の中に入って行った。
お店の中もたいして気を違えた人はいなかった。
彼は軽く片付けて、自分は更に強くなった事を自慢気に次から次へと気を違えた人をやっつけていた。
ホームセンターで暫し二人のデートの時間。
楽しかった。嬉しかった。幸せだった。
彼が言って来た。
ちゃんと言った事なかったね。
俺は優香を愛してる。
優香と子供をちゃんと守っていく。
ずっと一緒にいよう。
私は涙を流しながらうなづいて、初めて彼とちゃんと繋がれた気がしていた。
一通り荷物を車に積み込んで、彼が疲れてそうだから、私が帰りは運転すると言って、私は運転席に乗り込んだ。
彼は、ちょっとトイレに行くと言う。
私が言う。
トイレならその辺にしちゃいなよ。
彼は答える。
その辺に出来るやつならそうするけど、大だよ。
私は笑いながら言った。
やだー見たくなーい。早く行って来て。
彼は小走りでお店の中に戻った。
私は、運転席で待ちながら、今までは考えた事もない、将来を妄想していた。
凄く幸せ。
彼は、トイレが長かった。
10分は経った。遅いと思いながらも私は待った。
でも、いくら何でも遅すぎると思い、20分くらい経った時、私はお店の中を見に行った。
お店に入ると、さっきまでいなかったはずの気を違えた人がいっぱいいた。
私は、えっ?何?と思い。お店の中に入って行ってしまった。
トイレは何処?彼は何処に居るの?
不安しかなかった。
さっきまで幸せの絶頂にいたと言うのに何が起きたの?
トイレは倉庫の奥にあった。
倉庫の扉を開けると、すぐに気を違えた人達に囲まれている彼がいた。
彼はまだ生きていた。
彼が私に気付いて喋っていた。
ゴメンな、優香、一緒に居られなくなってしまった。
私は、頭が真っ白になり彼に近付こうとした。
彼が力を振り絞って喋る。
優香、逃げろ。俺はもう薬が出来ても助からない。
もうすぐに気を違えた人になるだろう。
だんだん痛みもなくなってきた。
ここでお別れだ。
彼は、お腹を食いちぎられていた。
私は言う。
薬が出来れば元に戻れるんでしょ?だったら早くコイツらを倒して船に一緒に帰ろう。
頭ではわかっていた。
身体がたいして傷付いていなければ希望もある。お腹を食いちぎらてる人が元に戻ったところでただの死人になる事を。
彼は言った。
俺はもうダメだ。優香まで帰れなくなってしまったら、船の皆が俺を恨む。俺は皆に嫌われてきた。けど船の皆は違ったんだ。頼む。最後は嫌われたくない。逃げてくれ。
私は、彼の言葉が胸に突き刺さった。今まで、彼は色んなところで嫌われてきた。
船では、嫌われながらもついてきて、今では信用されていた。
私は、彼が大好き。
彼の名誉の為に決心した。
貴方は私の夫よ。私の愛した人。もう誰にも嫌われる事なんてない。貴方を私は生きて語り継ぐ。愛してるわ、サヨウナラ。
彼が最後の力を振り絞って喋る。
優香、愛してる。
その姿を最後に私は必死になって車に戻った。
泣きながら、ホームセンターを出て行った。
彼はもう戻らない。
15章終
私が愛した人は居なくなる。
こんな世の中になる前、私はちゃんと結婚して、娘を授かった。
出産して、一年、幸せの絶頂期に日本は隔離され、気を違えた人達の世の中になってしまった。
私は旦那と逃げ回って、ある土地でグループに入って生活していた。
日本がこんな世の中になってから、初めて、安心して暮らせていた。
どのくらい経っただろうか、娘も初めて立つことができ、夫婦二人で喜んだ。
このグループには男性が少なく、女性がいっぱいいた。
それでも皆で仲良く、暮らせていた。
旦那は私と娘のもとに帰ってくる事が少なくなっていった。
ただの浮気だと思っていた。
私の情緒は不安定になっていた。
旦那は私に言ってきた。
俺は、もうここには戻らない。お前のもとには帰らない。すまない。
それだけ言い残して、それから帰って来なかった。
そんな頃に、田中がグループにやって来た。
田中は、彼は、何故か孤立していた私に良く話しかけて来てくれる。
寂しくなっていた私は、嬉しかった。
ある日、グループがヤクザのような輩達を迎え入れて、その後ヤクザのような輩達に襲われた。
グループの女達が連れてかれ、男達は人数が少なく、弱い。
ヤクザのような輩の一人が言った。
子供連れてる奴は何処か他に行け!
子供が居ると泣いたり、わめいたりしてすぐに気を違えた人に襲われる。
邪魔だから連れて外に出ていけ。
私は、外に出される時に、旦那を見つめた。
旦那はヤクザのような輩のリーダーのような人に言われた。
お前の家族か?
旦那は答えた。
違います。
怯えていた。震えていた。
私は、何も言わずに外に出て行った。
街を歩いていると、田中が帰ってきて、私に皆はどうしたんだと聞いてきた。
私は知らないと答えた。
彼は、私達を連れて皆を探そうと言い出した。
私は、その時は、やめて、私は放っておいて。
と思っていた。
彼がヤクザのような輩に捕まって、お前達を殺すと言われていた。
私は、思った。だからやめてって。
彼は、ヤクザのような輩達に言った。
私達とは家族だと。大切な人なのだと。一緒に生きていきたいと。
私の心に稲妻が走った。
捨てられた私達を必要としてくれた。
彼と私達は、解放され、彼と街を出て行った。
私は、あの日から、彼にずっとついて行こう、彼がどんな人でも、ついて行こうと決心した。
加藤さんと塁に出会って、船についてからは凄く幸せな日々だった。
一度だけ彼が船から追い出されそうになったけれど。
私の気持ちはこんな世の中になる前より、幸せな毎日だった。
ある日、彼が加藤さん、塁に連れられて、彼の故郷に行く事になった。
私は凄く不安だった。
彼は弱いから。
でも、彼は自分は強いと思っている。
私は、その彼の思いが大好きだった。
彼が帰って来れるのか、生きていていられるのか。
凄く不安だった。
彼は帰って来た。女を連れて帰って来た。
私は喜んで迎え入れた。
歴と塁のお父さんが生きている。
皆で凄く喜んでいた。明子さんは見たことないくらい喜び狂っていた。
不安は無くなり、また彼と暮らせると思って私は歓喜していた。
帰って来た彼は、私にデートを誘ってきた。
とっても嬉しい。
でも、こんな世の中だから、デートするところなんてない。
私は、今日歴と菜園道具を探しに行っていた。
それを二人で行きましょって言った。
彼は笑顔でうなづいてくれた。
翌日、私達は二人きりで外に出た。
彼は、私にいっぱい話しをしてくれていた。
前にいたグループの土地で研究している事。
気を違えた人を大人しくさせる薬は出来ている事。
歴と塁のお父さん、松野さんとの昔話。
そんな話しをしている中、民家に入って菜園道具を探していると彼が言ってきた。
こんなちょこちょこ探しているんじゃ時間がかかってしょうがない。
少し遠いけど、ホームセンターを見つけたから、そこに取りに行こうと言う。
私は、彼の弱さはわかっていた。
加藤さん、歴、塁は万全を期して、安全を確保した上でデパートやコンビニ等のお店を確保していた。
私も軽く考えてしまっていた。
何も居ないかも知れない。
何か居たらすぐに引き返せばいい。
私は、彼の誘いに乗ってホームセンターに向かった。
駐車場にはあまり気を違えた人は居ない。
二人でお店の中に入って行った。
お店の中もたいして気を違えた人はいなかった。
彼は軽く片付けて、自分は更に強くなった事を自慢気に次から次へと気を違えた人をやっつけていた。
ホームセンターで暫し二人のデートの時間。
楽しかった。嬉しかった。幸せだった。
彼が言って来た。
ちゃんと言った事なかったね。
俺は優香を愛してる。
優香と子供をちゃんと守っていく。
ずっと一緒にいよう。
私は涙を流しながらうなづいて、初めて彼とちゃんと繋がれた気がしていた。
一通り荷物を車に積み込んで、彼が疲れてそうだから、私が帰りは運転すると言って、私は運転席に乗り込んだ。
彼は、ちょっとトイレに行くと言う。
私が言う。
トイレならその辺にしちゃいなよ。
彼は答える。
その辺に出来るやつならそうするけど、大だよ。
私は笑いながら言った。
やだー見たくなーい。早く行って来て。
彼は小走りでお店の中に戻った。
私は、運転席で待ちながら、今までは考えた事もない、将来を妄想していた。
凄く幸せ。
彼は、トイレが長かった。
10分は経った。遅いと思いながらも私は待った。
でも、いくら何でも遅すぎると思い、20分くらい経った時、私はお店の中を見に行った。
お店に入ると、さっきまでいなかったはずの気を違えた人がいっぱいいた。
私は、えっ?何?と思い。お店の中に入って行ってしまった。
トイレは何処?彼は何処に居るの?
不安しかなかった。
さっきまで幸せの絶頂にいたと言うのに何が起きたの?
トイレは倉庫の奥にあった。
倉庫の扉を開けると、すぐに気を違えた人達に囲まれている彼がいた。
彼はまだ生きていた。
彼が私に気付いて喋っていた。
ゴメンな、優香、一緒に居られなくなってしまった。
私は、頭が真っ白になり彼に近付こうとした。
彼が力を振り絞って喋る。
優香、逃げろ。俺はもう薬が出来ても助からない。
もうすぐに気を違えた人になるだろう。
だんだん痛みもなくなってきた。
ここでお別れだ。
彼は、お腹を食いちぎられていた。
私は言う。
薬が出来れば元に戻れるんでしょ?だったら早くコイツらを倒して船に一緒に帰ろう。
頭ではわかっていた。
身体がたいして傷付いていなければ希望もある。お腹を食いちぎらてる人が元に戻ったところでただの死人になる事を。
彼は言った。
俺はもうダメだ。優香まで帰れなくなってしまったら、船の皆が俺を恨む。俺は皆に嫌われてきた。けど船の皆は違ったんだ。頼む。最後は嫌われたくない。逃げてくれ。
私は、彼の言葉が胸に突き刺さった。今まで、彼は色んなところで嫌われてきた。
船では、嫌われながらもついてきて、今では信用されていた。
私は、彼が大好き。
彼の名誉の為に決心した。
貴方は私の夫よ。私の愛した人。もう誰にも嫌われる事なんてない。貴方を私は生きて語り継ぐ。愛してるわ、サヨウナラ。
彼が最後の力を振り絞って喋る。
優香、愛してる。
その姿を最後に私は必死になって車に戻った。
泣きながら、ホームセンターを出て行った。
彼はもう戻らない。
15章終
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