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3章 再び親父の章
息子達
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明子さんの子供達は無事だった。
良かった。心から安心した。
俺の息子達は無事だろうか。もう電話も繋がらない。
ここまで来る途中に日本が隔離された事を聞いた。
そんな事になっているのに、息子達は無事なのか、安心した直後に俺は、不安になった。
この体育館は今は安全だ。一緒に来た皆をおいて息子達を探しに行こう。
加藤さんが俺に謝って来た。子供達が心配なのに一生懸命に私達を守ってくれたのに、井川を置いて行った時に、俺を罵倒した事を。
ゆり子さんは俺が一人で行く事を反対した。私も一緒に行くと。
ゆり子さんは優しい。でもわざわざ危険な事に連れて行けない。
俺は一人で行くと振り払った。
明子さんは俺を強く抱き締めた。
死なないで、必ず無事に戻って来て。
明子さんは俺をよく分かっている。言い出したら頑固で一人で行くと言ったら必ず一人で行く事を。
安心した俺は、一人車に乗り込んだ。
一人になってよくよく周囲を見渡すと、心が痛い景色だった。
俺はこれまで、気を違えた人はいつか治るのだろうと思いなるべく、傷付けないように押し退けて来たが、これから先はそうもいかない。
外を歩いている気を違えた人は、刃物が刺さりながら歩いている人もいる。鉄パイプに刺さってもうーうー唸って動いている人もいる。
もはや人ではない。
一人で絶望しながら車を走らせて息子達の住む家に辿り着いた。
当然であろう。中には誰も居なかった。
俺は、武器になるような物を探し、包丁と木刀を持って、次男の学校の体育館を目指した。
次男の学校の体育館に着くと、息子達の母親、つまり俺の元妻がいた。
次男の学校の体育館は、人が多勢いたが、頼り無い状況であった。
ガラスは割れていて、扉もただ閉めているだけ。
ここはもうすぐ危険な事になる。
そう思い、俺は皆に窓を塞いで、扉を簡単に開か無いように塞ぐように話した。
そして、元妻に息子達の事を聞くと、パパが来るからと言って自宅に行ってしまったと話した。
俺は、元妻に怒った。元妻も俺をよく分かっている。息子達もまた、俺の血を引いて頑固だった。
息子達は、元妻にパパを連れて戻るから、安心して待つように話し出て行った。
俺がここに辿り着く30分前の事だ。
入れ違いになってしまったようだ。
俺は、息子達を探しにまた、家に戻る。
元妻も一緒に行くと言う。
ついて来るよりここに居た方が安全だと話したが元妻は言う。
ここは気を違えた人よりも頭のおかしい連中が居て安心出来ない。ここから早く移動したいと話した。
確かに、ここには異様な雰囲気が漂う。
俺は、元妻を連れて体育館を出ようとする。
体育館の中を見渡すと、人々に生気を感じない。
兎に角、割れた窓だけは塞いで俺は、体育館を後にした。
家に着くと、やはり息子達は居ない。
家に行く途中に気を違えた人達に襲われたのではないか、車の中で元妻に怒りをぶつけてしまう。
俺は安全な車の中を出て、体育館から家までの道を元妻を連れて歩いた。
気を違えた人達は湧いて出る。
ここは俺の地元、知っている顔が沢山あった。
複雑な気持ちだ。
元妻に包丁を渡し、俺は木刀で気を違えた人達を払って進んで行った。
息子達は見つからない。
元妻が言う。息子達が体育館を出る前にパパが来たら武器を渡せば気を違えた人達をやっつけてくれる。だから家に武器を沢山置いて置かないとと言っていたと話した。
武器になりそうな物がいっぱいありそうな場所、近くのホームセンターだと思い、俺は、元妻を連れて車に戻り、ホームセンターへ車で向かった。
ホームセンターの外も中も気を違えた人がいっぱいだった。
俺は、この中にいると確信した反面、無事ではないと思ってしまった。
元妻も言う、この中にいるはずがない。
元妻は泣きじゃくる。
確かに絶望的だ。
しっかりする様に元妻に話しかけたが、話しを聞ける状態では無かった。
仕方なく、俺は、元妻を車に置いてホームセンターの中へと向かった。
今までにないくらい辛い、俺は、無事ではないだろうと思いながら息子達を確認しに行く。
木刀で気を違えた人達を叩くのにも力が入ってしまう。
俺は、ホームセンターの周りにいる気を違えた人達をバッタバッタと薙ぎ倒していった。
ホームセンターの中に入ると、予想通り気を違えた人達があちらこちらをノソノソと歩いていた。
流石にここでは、声を出して気を違えた人達を倒して行く訳にはいかない。
囲まれたら終わりだ。
俺はコッソリ隠れながら、気を違えた人達の一人一人の顔を確認していった。
息子達ももしかしたら気を違えた人達になってしまったのではないかと思いながら確認していった。
少し離れた所で大きな物音がした。
次の瞬間、俺は涙が止まらなくなった。
息子達が、長男も次男も、二人とも無事だった。
大きなバケツを被って中を移動していたようだ。
気を違えた人達に当たってしまい転がってしまっていた。
息子達はバケツから飛び出した。
今すぐに助けなければ。
俺は無我夢中に木刀を振り回し、正に火事場のクソ力のように気を違えた人達を薙ぎ倒していった。
先ず次男を抱き締め、長男の手を引いた。
息子達も大喜び、俺は涙を流しながらホームセンターを抜け出した。
車に戻ると、元妻は顔をくしゃくしゃにし喜び息子達を抱き締めた。
俺はすぐさま息子達が噛まれていないか怪我はないか確認した。
流石我が子だ。
無傷だった。
俺は三人を連れて先ずは元妻の荷物を取りに次男の学校の体育館に向かった。
目に映った光景は無惨だった。
体育館にいた人々はヤクザのような輩によって体育館が解放され気を違えた人達に一斉に乗り込まれていた。
ヤクザのような輩は三人、皆の荷物を車に積み込んでいた。
三人は海から船で海外に脱出を企んでいるようだった。
俺は、元妻に荷物を諦め明子さん達がいる体育館に向かうように宥めた。
元妻、息子達を連れて俺は、明子さん達の元に戻った。
どうやら本当に日本は隔離されてしまったようだ。
3章終
良かった。心から安心した。
俺の息子達は無事だろうか。もう電話も繋がらない。
ここまで来る途中に日本が隔離された事を聞いた。
そんな事になっているのに、息子達は無事なのか、安心した直後に俺は、不安になった。
この体育館は今は安全だ。一緒に来た皆をおいて息子達を探しに行こう。
加藤さんが俺に謝って来た。子供達が心配なのに一生懸命に私達を守ってくれたのに、井川を置いて行った時に、俺を罵倒した事を。
ゆり子さんは俺が一人で行く事を反対した。私も一緒に行くと。
ゆり子さんは優しい。でもわざわざ危険な事に連れて行けない。
俺は一人で行くと振り払った。
明子さんは俺を強く抱き締めた。
死なないで、必ず無事に戻って来て。
明子さんは俺をよく分かっている。言い出したら頑固で一人で行くと言ったら必ず一人で行く事を。
安心した俺は、一人車に乗り込んだ。
一人になってよくよく周囲を見渡すと、心が痛い景色だった。
俺はこれまで、気を違えた人はいつか治るのだろうと思いなるべく、傷付けないように押し退けて来たが、これから先はそうもいかない。
外を歩いている気を違えた人は、刃物が刺さりながら歩いている人もいる。鉄パイプに刺さってもうーうー唸って動いている人もいる。
もはや人ではない。
一人で絶望しながら車を走らせて息子達の住む家に辿り着いた。
当然であろう。中には誰も居なかった。
俺は、武器になるような物を探し、包丁と木刀を持って、次男の学校の体育館を目指した。
次男の学校の体育館に着くと、息子達の母親、つまり俺の元妻がいた。
次男の学校の体育館は、人が多勢いたが、頼り無い状況であった。
ガラスは割れていて、扉もただ閉めているだけ。
ここはもうすぐ危険な事になる。
そう思い、俺は皆に窓を塞いで、扉を簡単に開か無いように塞ぐように話した。
そして、元妻に息子達の事を聞くと、パパが来るからと言って自宅に行ってしまったと話した。
俺は、元妻に怒った。元妻も俺をよく分かっている。息子達もまた、俺の血を引いて頑固だった。
息子達は、元妻にパパを連れて戻るから、安心して待つように話し出て行った。
俺がここに辿り着く30分前の事だ。
入れ違いになってしまったようだ。
俺は、息子達を探しにまた、家に戻る。
元妻も一緒に行くと言う。
ついて来るよりここに居た方が安全だと話したが元妻は言う。
ここは気を違えた人よりも頭のおかしい連中が居て安心出来ない。ここから早く移動したいと話した。
確かに、ここには異様な雰囲気が漂う。
俺は、元妻を連れて体育館を出ようとする。
体育館の中を見渡すと、人々に生気を感じない。
兎に角、割れた窓だけは塞いで俺は、体育館を後にした。
家に着くと、やはり息子達は居ない。
家に行く途中に気を違えた人達に襲われたのではないか、車の中で元妻に怒りをぶつけてしまう。
俺は安全な車の中を出て、体育館から家までの道を元妻を連れて歩いた。
気を違えた人達は湧いて出る。
ここは俺の地元、知っている顔が沢山あった。
複雑な気持ちだ。
元妻に包丁を渡し、俺は木刀で気を違えた人達を払って進んで行った。
息子達は見つからない。
元妻が言う。息子達が体育館を出る前にパパが来たら武器を渡せば気を違えた人達をやっつけてくれる。だから家に武器を沢山置いて置かないとと言っていたと話した。
武器になりそうな物がいっぱいありそうな場所、近くのホームセンターだと思い、俺は、元妻を連れて車に戻り、ホームセンターへ車で向かった。
ホームセンターの外も中も気を違えた人がいっぱいだった。
俺は、この中にいると確信した反面、無事ではないと思ってしまった。
元妻も言う、この中にいるはずがない。
元妻は泣きじゃくる。
確かに絶望的だ。
しっかりする様に元妻に話しかけたが、話しを聞ける状態では無かった。
仕方なく、俺は、元妻を車に置いてホームセンターの中へと向かった。
今までにないくらい辛い、俺は、無事ではないだろうと思いながら息子達を確認しに行く。
木刀で気を違えた人達を叩くのにも力が入ってしまう。
俺は、ホームセンターの周りにいる気を違えた人達をバッタバッタと薙ぎ倒していった。
ホームセンターの中に入ると、予想通り気を違えた人達があちらこちらをノソノソと歩いていた。
流石にここでは、声を出して気を違えた人達を倒して行く訳にはいかない。
囲まれたら終わりだ。
俺はコッソリ隠れながら、気を違えた人達の一人一人の顔を確認していった。
息子達ももしかしたら気を違えた人達になってしまったのではないかと思いながら確認していった。
少し離れた所で大きな物音がした。
次の瞬間、俺は涙が止まらなくなった。
息子達が、長男も次男も、二人とも無事だった。
大きなバケツを被って中を移動していたようだ。
気を違えた人達に当たってしまい転がってしまっていた。
息子達はバケツから飛び出した。
今すぐに助けなければ。
俺は無我夢中に木刀を振り回し、正に火事場のクソ力のように気を違えた人達を薙ぎ倒していった。
先ず次男を抱き締め、長男の手を引いた。
息子達も大喜び、俺は涙を流しながらホームセンターを抜け出した。
車に戻ると、元妻は顔をくしゃくしゃにし喜び息子達を抱き締めた。
俺はすぐさま息子達が噛まれていないか怪我はないか確認した。
流石我が子だ。
無傷だった。
俺は三人を連れて先ずは元妻の荷物を取りに次男の学校の体育館に向かった。
目に映った光景は無惨だった。
体育館にいた人々はヤクザのような輩によって体育館が解放され気を違えた人達に一斉に乗り込まれていた。
ヤクザのような輩は三人、皆の荷物を車に積み込んでいた。
三人は海から船で海外に脱出を企んでいるようだった。
俺は、元妻に荷物を諦め明子さん達がいる体育館に向かうように宥めた。
元妻、息子達を連れて俺は、明子さん達の元に戻った。
どうやら本当に日本は隔離されてしまったようだ。
3章終
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