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第1章

1-10 激闘

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(さて、先制攻撃はやはりガルク君が取りましたか。彼のあの斬撃は見えないから厄介なんですよね、約20mに渡り斬撃を飛ばしてくるのもそうですし、アルヴィス君、君はどうしますか?)



「ぬぅあははは!!!どうした!避けてばかりでは俺には届かんぞ!!」

「くそっ!やりづらい」

 なんなんださっきから!身の丈はある大剣を片手で振り回しやがって、ゴリラか!もうガルクはゴリラ決定だ!

「さっきからこれでは芸が無いな、どれ突っ込んで見るか!!」

来た!だがどっちにしてもやりづらいのは変わりない、大剣をただの剣を振るう様に軽々と持ち、極め付けはあのクソデカい盾だな攻め込みづらい、背後を取るか盾でガードされない反応速度で攻めるか、あんな大剣と打ち合うのは論外だな、全ていなすしか無いな

「ぬぅんん!!」

「っっつ!!お、重い!」

上段から振り下ろしてきた大剣を感触を確かめる為にいなそうとしたが、重過ぎる

「でぇいや!!」

「があぁ!!」

横から盾で殴りつけられる。そして殴られた俺の体は10mに渡り吹っ飛ばされる、やっば、意識が飛びそうになる

「ぐうぅぅぅ!!」

「ほう、踏み止まったか、中々頑丈だな」

「ごほっ、ゴボッ」

一撃で体が悲鳴を上げているようだ、口から大量のの血が出て来た。そうか、斬撃なんかは無効化するがその衝撃や物理的な殴打は効くのか、、、


「きゃああ!!アルヴィスがアルヴィスが!!」

「あれ以上は危険、即刻止めるべき」

「くっ!アルヴィスさんにあんな事をするなんて後で鎧の中にムカデを入れますよ!」

「何ともまぁ、地味に嫌な事をするのぉ、それにしても流石に危ないかの?くされジジィ」

「お前もくされジジィじゃろうが!それにしてもその判断はまだ早いかのぉ、小僧はまだ諦めておらんようじゃしの」

「大丈夫でしょうか?ガルクさんの強さは我ら四天騎士の中でも飛び抜けた実力者です、いくら彼でも勝ちの見込みは薄いのでは?」

「まぁな、普通に考えりゃガルクの旦那はバケモンみてぇに強いからなぁ、そう考えちまうのが普通なんだが、、、俺は坊主が勝つに賭けるぜ」

「ふふっ、皆様まだ彼は諦めておりませんから御安心下さいませ、どうやら何か狙っているようです」

「うお!ヴィンセントの旦那いつの間に居たんですか?さっきまであっちの方にいたじゃ無いっすか」

「まぁそこは、私執事ですので素早く迅速に行動が出来るのですよ」

「でもでも、ヴィンセントさん、アルヴィスが諦めて無いってどういう事ですの?」

「疑問、なんでそんな事が分かるの?」

「それは、勘と言いますか。まぁ、見ていれば分かりますよ」




「どうした、どうした!!その程度か?ガッカリさせてくれるなよ!アルヴィス」

「うるせぇ、ゴリラ、目にもの見せてやる、ごほっ」

そしてまた俺に向かってガルクは歩いて来る、どうする?どうすれば奴に一太刀入れられる?速さを持って奴に一太刀入れるかならヴァリアント・アクセルを使うか?いやアレは出来ればとっておきたい、それにあんな反則技使って勝ったって何にも嬉しく無い!どうすれば

「戦いの最中に考え事か?アルヴィス、ぬぅん!」

首目掛けて横一閃して来た大剣を、少し体勢を低くして刀でいなし、直ぐに後ろへ下がる

「まぁな、アンタみたいな堅物にどうやって攻撃を届かせるかをな」

「ふん、考えながら戦っているから防戦一方になるのだ、頭を空にしてただ目の前の強敵に全力を尽くす、それだけで充分なのだ」

「そりゃアンタだけだろ、まぁ意見をくれた事には感謝するが」

それにしてもコイツ、やっぱりただの脳筋か?それでこの四天騎士のリーダーになれたのか?

「ふぅ」

取り敢えず落ち着け、冷静に冷静に、相手を観察しろ、奴は距離を詰める際必ずと言っていい程走らない、それは何故か?走れない?いや違うな、その場合そんな事が露見したら厄介だ、恐らく極力走りたくないと言うのが妥当か?その理由は?そこまで考えてピンっときた

「成る程、そういうトリックか」

「何か分かった事でもあるのか?まぁ分かったからと言って関係ないがな!」

くっ、横に飛んで躱す。そして立ち上がり、距離を取る

「ふん!気づかれたか、だが問題ない!でぇらららら!」

ガルクは大剣の斬撃を飛ばして俺を攻撃して来るが当たる訳がない。円を描くように走り徐々に距離を詰める、ガルクの猛攻を走って躱す

「貰ったぁ!」

「ふんっ!小賢しいわ!!」

背後からの斬り込みをするガルクは盾でもって防ぐ、すぐさま大剣を振るおうとしたがそこに俺は居ない、回り込んで先程のお返しとばかりに本気の蹴りを叩き込む!

「せぇりゃーー!!」

「ぐうぅぅぅ!!」

しかしガルクは本気の蹴りを喰らっても5mしか飛ばされなかった、どんだけタフなんだよ!

「お前、蹴りだけでこの威力、直に喰らって見て解ったがとんでもないな」

「アンタに言われたくない、アンタも充分とんでもないよ!」

「がはっはっ!やはり戦いとはこうでなくては、さぁ!アルヴィス、存分にやり合おうぞ」

殆どダメージ無さそうだな、こっちはまだ1発目のダメージが残ってんだけど、正直キッツイんだよ

「それでは、行くぞ!」

大剣を振るい斬撃を飛ばしながら一歩一歩確実に近づいて来る、俺は大体の動きを読めて来たので勝負を仕掛ける為突っ込む。蹴りでは相手をダウンさせるには確実性に欠けるからな

「!!ふっ、面白い、勝負を仕掛けて来るか!なら打ち合って見ようか!!」

「つぇぇえいい!!」

盾で隠れてない部分を狙い斬り込むが、向こうも馬鹿ではない上手く盾を使いガードしてそして流す、時には大剣を振るうがそれらは躱す!!ゼロ距離での斬り合いが始まった

「むん!はっはっはっ、楽しいな!!こんな斬り合いは久方振りだ」

「あんま喋ってると怪我しますよ!!」

「堪えてくれ、こんな戦いを仕掛けられたのは本当に久方振りなのでな、昂ぶって仕方ないのだ!」

「へぇ、じゃあこんなのはどうだ!!」

「何っ!!」

斬り合いをしていても拉致があかないので盾の横を本気で蹴る、あまりの威力に盾を持つ手が耐えられなくて手離す、良しこれで攻撃しやすくなった!そうして斬り合いをしていると向こうの動きが先程とは比べ物にならないくらい速くなる

「がっはっは!どうした!盾が無くなって攻めやすくなったと思ったか?残念だがこっちは動きやすくなったわ!」

「やっぱりか!」

一旦距離を取る為、下がる

「ふん!どうせある程度想像はついているのだろう?」

「まぁな」

そう彼の移動が遅かった理由、本来どれだけ鍛えようとも大剣を片手で振り回す事なんて無理だ、ならばそれにはトリックがある







「クレア様、確かクレア様の主な武器は大剣で御座いましたね?」

「え?え、ええそうですけど、、、」

「ならばガルク様が大剣をああも容易く振り回せる理由気になりませんか?」

「はい、確かに気になります、大剣は元来両手で扱う武器であり、その重量からいくら鍛えようとも片手で二、三振りすれば良いところですわ、しかし、、、、」

「ええ、そうですね。そしてまずお先に言わせてもらいますと彼の武器はただの大剣ではなく魔剣の類である事を頭の隅に入れておいてください」

「!!あれ、魔剣なんですの!!」

「はい、魔剣なんです。そもそも魔剣とは何か、要は魔法が付与され普通に比べると耐久力が格段に高い武器これが魔剣と言われるものです。そしてここが本題です。一体彼の魔剣には何の魔法が付与されているのでしょうか?」

少しの黙考をクレアはした後、何かに気付いて顔を上げる

「まさか!でもそれだと扱いづらい魔剣になってしまいます!」

「ええ、ですが上手く使えば強力な武器になります」

そうして視線を向かい合う2人に戻す






「どうせ、その大剣、魔剣なんだろ?」

「まぁ、そうだな、それで?」

俺は今までのガルクの動きや己の武器で受けた感覚から推理して行く

「付与されてる魔法は、多分、重量の移動って所か?それならアンタがそんな大剣を片手で振り回す理由も説明がつくし、明らかにチャンスなのに走って来ないのにも説明がつく、大方、剣を振る時はその大剣の重量を足にでも移動させてんだろ、そしてそんな軽い大剣をいなしきれないのはおかしい、なら振り下ろす時か武器同士がぶつかり合う瞬間に自分の体重も含めてを剣に移動させたって所か?」

「惜しいな半分正解だ、まず1つ目だがこの魔剣に付与されているのは1つではなく2つだ、斬撃を飛ばしたのがそれだな、それと2つ目だが俺の体重だけではない、俺が装着していた、盾、そして今着ている鎧も移動の対象だ」

「あの斬撃もそうだったのか、それと装着している装備の重さまで移動してたのか、だからクソ重たかったのか」

「お前さんを盾で殴った時も重さを盾に移動させてたぞ」

移動対象ならばそこに重さを全て乗せることも可能って事か、アレは正直痛かったが全ての重さがアレに乗っていたのならば納得が出来る。だが今ガルクは盾を失った、ならばその分かかる体重も大幅に下がったということか。いなす際の重さはなくなったがその分スピードが上がる訳だ。まぁと言っても鎧と体重と大剣分が残っているのだが

「がっはっは!1人で2人分楽しめるという事だどうだお得だろ!!」

「はぁ、いらないお得だよ」

「さぁ、答え合わせは済ませた!もう一度やり合おうぞ」

だが盾が無くなったお陰で攻撃するのが大分楽になる

「ああ、こっから本番だ」

「ぬぅんん!!」

横一閃の攻撃を繰り出す、しかし今度は首より下、胸の高さに合わせて斬ってくる。それをしゃがんで躱し攻撃をしようとしたが、ガルクは既に大剣を上段に構えて振り下ろす準備をしている。クッソ今大剣は0キロになってるせいで戻すのもすぐである。これはめんどくさいそして体を横にずらし刀を構えて振り下ろす大剣を地面に滑らせる。その勢いで攻撃しようとしたが滑らした大剣の腹で思い切り叩かれた。

「ぐはっ!!ぐっ、そ、そんな使い方ありかよ!ゴボッ」

インパクトの瞬間にまた体重を移動させたので物凄い衝撃を受け吹っ飛ばされる、体の中から血がまた出て来る、だが盾が無くなった分のお陰か最初程ではない、だがそれでも痛い

「いやぁ!危なかった!まぁ大剣も時には色んな使い方をしてやらんとなあ、結果として助かったのだから良し!!」

「クソが!ならこれでもどうだ!」

己のスピードを最初からトップギアにして撹乱しながら攻撃をするが、ガルクは余裕の表情で躱していく

「はっはっはっ!腐っても四天騎士のリーダーだぞ俺は、速いからと言っても攻撃が読めれば大体は防げるぞ!」

そうか、なら、とガルクの背後で急ストップをしてその勢いで太腿の鎧に思いっきり蹴りを入れる、先程まで動きながらの攻撃だった為タイミングが狂ったのかガードが遅れていた

「があぁぁぁ!!」

「さっきのお返しだ!」

「お、己、小癪なぁ!」

立ち上がるガルクだが攻撃を受けた右脚がガクガクしている。良しこれで右脚に体重移動は出来ないな!そしてコレは大切な事なので言っておく決して余裕の表情がムカついたからももパンした訳ではない!作戦あっての行動であるから、こら!観客席の人、うわぁとか言うな!

「良く立ち上がったな、痛いだろうに」

「くっ!騎士を舐めるなぁ!この程度痛くも痒くも無いわ!!」

嘘つけめっちゃ苦悶の表情浮かべてるし、そしてガルクへ突っ込む

「致し方あるまい!これにて終わらせる」

ガルクは一番高い位置で大剣を構える

斬皇剣ざんこうけんを喰らえ」




「遂に、アレを出しますか」

「アレとは?あの構えは一体なんなんですの」

「同意、超気になる」

「斬皇剣、アレは簡単に言ってしまえばカウンター攻撃になります。自分の剣が届く範囲に入ってきた瞬間それをあの上段から一気に斬ると言った感じですね」

「それって、今までと変わらない?」

「違いますよ、何せ普段と違い集中力を全てあの剣が届く範囲のみに当ててますから、例えるなら暗闇の中あの剣の長さ分の灯りの元に立っていると言った感じでしょうか」

「分かりづらい」

「まぁ彼は今狭い範囲にしか集中して無いのでそれだけ反射神経も反応速度も格段に上がるんです、詰まる所彼の剣が届く範囲に入れば直ぐに斬られるという事です」

「それって強いの?」

「強いですよ、アレだけ集中力を自分の周りのみにしていると多分レイナさんでもやられます」

「なら大丈夫、アルヴィスはレイナよりも速い」

「まぁ、彼も考え無しには突っ込んだりはしないでしょう」







アレは?一体何を狙っているんだ?あれだけ高い位置に剣を構えればそれだけ相手の剣より遅れてしまう、ああ、そうか重量が無いんだったか。それであんな隙だらけの構えが出来るのか、なら速さを持って正面から斬らせてもらう、刀を鞘に納め腰を落とし右半身をややガルクへ向け右手を柄に添える。所謂抜刀術である、しかしこの世界に刀なんて物は無いだから抜刀術なんて見た事も無いガルクは訝しげに警戒を強める

「行くぞ、神谷流抜刀術  瞬鮮華しゅんせんか

トップギアで駆け抜ける、彼我の距離を詰める!そして溜めを解き放つ、通常の斬り込みを超えるスピードで下から上に斬りあげる、そしてガルクの剣が物凄い勢いで俺を叩っ斬ろうと迫って来るので斬り上げを剣とぶつけて滑らせるその後弧を描く様に左脇から右腹に掛けて振り下ろしそのまま少ししたところで止まり刀を納める

「勝者、アルヴィス!!」

ドサッと後ろでガルクが倒れる

「いやぁ!負けた、負けた!まさか最後にあんな正面から斬皇剣を断つとはやるな!!」

この人、負けたのになんでこんな清々しい顔してるんだ?まぁ良いけどさ

「取り敢えず、俺の勝ちですね」

「おう!俺の必殺技破ったんだ俺の完全敗北だ!!」

「いやぁ、俺も少し疲れました」

「うむ!2人とも良き戦い出会った」

「やっぱり、アルヴィスは最強ですわ」

「良い戦いだった、ドキドキハラハラした」

「流石アルヴィス様ですぅ、とってもカッコ良かったです」

「のう、ヴィンセントよ遂にティアルが媚び売る様な声を出し始めたのじゃが、ぐおぉぉ!!」

「全く何を言ってるですか?お父様」

「こっこら!ティアル、今儂の顔に本気のグーパン決めたの!!ぐぎゃ!」

「なんの事か分かりません、ヴィンセント、お父様は一体何を言ってるのか分かりますか?」

そうして顔面グーパンを決められた陛下はその後に腹キックを貰って悶絶していた

「さぁ?私には分かりかねます」

「ホッホッホ!人が折角警告してやったのにこれか!ホントにマヌケじゃのぉ」

「う、、、うるさ、、いわい、、このくされジジィが!!」

「幾らでも言うと良いわ、今言われてもコッチの気分が良くなるわい」

なんと言うか相変わらずな会話をしているなあそこは、、、そんな風景を座って見ているとレイナとカイルが近寄ってくる

「お疲れ様でした、怪我の方は大丈夫何ですか?」

「まぁ、まだ痛みますね、結構良いの貰っちゃったんで、でも明日には復活してると思います」

「かぁ~、アレをモロに食らって明日には回復できてるかぁ、本当規格外だなぁ、アレ普通の奴が食らったら内臓ぐちゃぐちゃになるんだぜ。なぁ?ガルクの旦那?」

「ん?お、おおそうだったな、ついつい楽しくて忘れてたわ」

「おい!!そんな危険な技使うなよ!」

「リーダーは相変わらずの脳筋ですね」

「はっはっはっ!脳筋結構、殴り合って最後まで立ち上がっていた方が勝ち、これの方が単純で良いからな!」

「それじゃあ困ります!!」

どうやらレイナさんのお説教タイムが始まったらしくガルクは痛む体を無理矢理起こされ正座させられていた

「はっはっはっ!いいねぇ、、、」

「どうしたんですか?そんなしみじみと」

「いんや、お前さんが来てからホントに面白い事だらけだ。周りを見な、皆んな心の底から楽しそうに笑ってるだろ、やっぱ!皆んな笑ってる方がいいだろ坊主!」

「そう言うもんですかね?」

「おお、人生このくらいが幸せだぜ!」

ニカッと笑ったカイルさんは、レイナさんを止める為に輪の中に混ざって行く

「そうだな、あの頃とは大違いで今が幸せだ、、、」

その後、四天騎士の人達を倒した事によってティアルを守る護衛として認められた。護衛は明日かららしいので帰ろうと思ったがこのまま泊まっていけとの事、なので好意に甘えて泊まらせて貰って今日を終えるのだった。




























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