私が転生したのは腐女子に優しい世界でした

僕のお嫁さんになって～君だけが僕の運命～

　僕のお嫁さんになって～君だけが僕の運命～


　私は東城学園の入学式の途中、このゲームの隠しキャラだった東城至を見た瞬間。
　この世界が前世の私がドはまりしていたBLゲームの世界だと思い出した。

　そしてそのゲームの主人公（でも私たちはあえてヒロインと呼んでいた）
　そのヒロインが、今世で血を分けた実の兄の佐々倉唯斗だった。

　私自身、前世の記憶を思い出しそれだけでも混乱案件なのに（いやそこまでもう混乱してないか）
　まさか自分がヒロインの妹のモブとして転生しているなんて思わないじゃない。

　いや、だからって私はお兄ちゃんに生まれたかったわけじゃないから別にモブに転生したこと自体は問題じゃない。

　だって私は物語に干渉したいわけじゃない。私はひと様のBLの恋の行方を陰ながら覗き見させてもらえればそれだけで昇天しそうな程幸せになれる完全なるBL脳を持ってる陽菜さんだぞ！！
　
　正直に言おうここはパラダイスなのか？

　まぁ私の興奮状態は置いておくとして、とりあえずこのゲームの思い出せる範囲で忘れないように書き出しておこう。
　お兄ちゃんの為にというか、私がイベントスチルの見学を逃さないようにというのがメインだが。



　さぁ、気を取り直して始めるよ。

　BLゲーム。僕のお嫁さんになって～君だけが僕の運命～


　このゲームは佐々倉唯斗をヒロインにしたBLゲーム。
　少し変わった仕様になっていて、東城学園中等部編と高等部編の2つがある。
　
　そうなのだ、このゲームを作った制作チームは何を思ったのか中等部編がかなりの本数売れたから調子に乗って高等部編を新たに作ったのだ。
　しかも半分くらいはキャラの使いまわしという明らかな手抜き。
　いや、別に私は唯斗の事嫌いじゃないから続編は嬉しかったけれど、高等部編のキャラ持ち上がりには賛否両論あっただけになんともね。

　まぁどちらにしろ私の感じていた違和感の一つが解消されたのは良い事だ。

　
　とりあえず私が思い出せたこのゲームのキャラクターを洗い出そう。


　ゲームスタート時の設定から。まずはヒロインの

　佐々倉唯斗（12歳）東城学園中等部１年生。
　幼少期から近所でも有名な美少年。あまりに可愛すぎるので誘拐されかける事もしばしば。
　そんな弱い自分がイヤで、小学生時代より武道に長けている。空手、剣道、柔道、合気道を習い、一見、見た目はお姫様だけど、あまりの強さに東城学園の死神という異名を持つ。
　家族構成は父、母、妹の４人家族。生まれた時からずっと一緒に育ってきた進藤兄弟とは幼馴染でとても仲がよい。
　明るく気さくな性格で、誰とでも仲良くなれる。天然でたまに空気が読めない所もあるが、そこが攻略対象者の心をくすぐる小悪魔な所がある。

　で、実際は。

　近所でも有名な美少年ていうのはあってる。誘拐されかけたのは実は私で私を守るためにお兄ちゃんは武道をはじめた。
　そして超絶重度のシスコンで進藤兄弟と共に妹に近づくやつが居れば排除しまくる妹大好きなお兄ちゃん。　
　性格は設定とそう変わらないけれど、妹の事になると、酷く狭量になる。妹大好き。

　うん。なんだろこの妹情報多くない？私もお兄ちゃんの事は好きだけどここまで重症だと思わなかったわ。

　次、攻略対象者。

　進藤夏月（12歳）東城学園中等部１年生。
　幼少期から幼馴染の唯斗と共に近所で有名な美少年。唯斗が可愛い系の美少年で夏月は爽やかな、ザ・イケメンというのにふさわしい容貌をしていて、幼いころから幼児からおばあちゃんまで幅広くモテる。
　なかなか笑わない、唯斗の前だけは笑うのでクーデレ王子と言われていた。
　幼馴染の唯斗が好きだけど、今の関係を壊すのが怖くてなかなか前に進めない。
　唯斗の前だけで見せる笑顔が最強に可愛い。

　で、こっちも実際は。

　超絶美少年なのは設定どおり、これは認める。なっちゃんは本当にイケメンだ。でも残念イケメンの代表でもある。
　クーデレ王子どころか、私とお兄ちゃんふーちゃんにはデレデレだけど、他人と思ってる人には微笑みすら見せないので、実際の通り名は氷雪王子だ。私も一度ブリザードを巻き散らかす所を見たけれどあれは怖い。
　あとは、私に対してのセクハラ大王。物心つく前から唇へのキスは当たり前。寝ている布団への侵入や、後ろから抱っこしてはくすぐるフリして体中をまさぐるなどのセクハラ行為は通常運転。いまだに一緒にお風呂に入りたがるのだけは勘弁してほしい。
　兄ちゃんの事も大好きだが、どうも私を好きすぎる気がする。イヤ、ほんとお兄ちゃんとイチャコラしてよ。
　私の事よりお兄ちゃんとのスチルをください頼みます。

　中等部編での攻略対象者は出て来た時においおい紹介していく予定だけど、ふーちゃんも実は攻略対象者だ。
　高等部編ではがっつりお兄ちゃんに絡んでくるはずだけど、中等部編の時のふーちゃんは小学生だからこの時点では攻略対象者ではないんだよね。
　やっぱり、18禁ゲーだから精通前の小学生はアウトなんだろうなぁと……。

　そして、この記憶を思い出すきっかけをくれた東城至氏に至ってはほぼ情報がない。
　前世の攻略本にもシークレット扱いで情報開示がほとんどされてないんだよね。

　至ルートも攻略したはずなのに思い出せないとか酷い。

　それにしても前世でこのゲームをプレイしていた時はそう気にならなかったんだけど
　
　
　僕のお嫁さんになって～君だけが僕の運命～


　ってタイトル。クソダサくね？
　昔はお嫁さんになってなんてキャーなんて思っていたけれど、いま思うとなんかダサい。

　タイトル通り運命のただ一人を見つけてイチャラブを楽しむゲームなんだけど……。
　
　ねぇ、私重要な事を思い出したんだけど。いいかな？

　このゲームは私の前世の世界の常識が反映されて出来てるゲームなんだよね。

　だからこのゲームの世界は同性恋愛は秘匿され、陰で愛を育むと言った方が多かったはずだ。
　だから異性恋愛が多数派で主流だったはず。
　この今居る世界みたいに恋愛が性別に縛られてないなんてことはない。

　と、言う事は



　あのゲームの世界観がもとになった別のゲームって事なの？
　それとも登場人物はそのままの現実って事？

　ちょっとまってそれじゃ


　ゲームのキャラと設定を基にした別の世界の現実って事なの？
　
　どうしよう、訳が分からなくなってきた。