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2章 王立学園編

モブストーカー、一生ものの友情を誓う

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 ようやくダンスが終わり解放して貰えると思ってホールの端に移動しようとしていると、近寄ってきたフレディ様に。

「スー次は俺と踊ってくれないか?」

 えぇぇぇぇ。お前もかぁぁぁぁ。

 こ、断れる訳ないじゃん。

「もちろん喜んで」

 差し出されたフレディ様の手を取ると、嬉しいという感情を隠す事なく私に向かって全開の笑顔を見せるフレディ様に私は戸惑ってしまう。

 お互いに叶わない想いを持つ同士として友好関係を築いてきたけれど、彼のこんなに嬉しそうにする顔は初めて見た。

 それもこれはヒロインちゃんに見せるレベルの笑顔なんじゃないのかな?

 なんでそんな笑顔を私に向けてくるんだろう?

 まぁ、嫌な顔されるよりはマシよね。

 そう結論に至り、とりあえずはフレディ様とのダンスに集中しなくては。

 フレディ様にエスコートされダンスフロアに降りると、ジュリアン様と踊った時と変わらないくらいの騒めきとどよめきにうんざりした。

 もうさ、ジュリアン様もフレディ様も私のいとこなんだし踊ってもおかしくないでしょ?ちょっと私がムッとしていると。

「どうしたスー?」

「どうして私がジュリアン様やフレディ様と一緒に居ると騒がれるのかしら?だって私達がいとこだって貴族名鑑を覚えていたらわかるはずなのに」

 そう不満を漏らすと。

「うーん。スーがブルームフィールド公爵令嬢だってみんな知らないからじゃないか?」

「は?」

 どういう事?

「幼い頃から王宮に囲われてたからなー。スーは貴族のお茶会より王妃や前王妃に独占されていただろう。あとは俺と勉強したり遊んだりで、スーの事はエドガーやクラウディアぐらいしか知らないんじゃないか?」

 ま、マジか……。

 確かに私ってば王宮にお勉強と言う名の王妃教育を受けさせられたり、王妃様やおばあ様とお茶会する以外は騎士団に入り浸って一緒に剣術の稽古や体術なんかをやってた事、そしてあとはフリードリヒ様のストーキングしかしてない。

 あぁぁぁぁ確かに私の事王宮関係者でなければ知らないかもしれない。

「そ、そうなんですね。だから私の事を見て周りが混乱しているのですね」

「まあ、その件に関しては王家も責任があるのだけど……スーを誰にも取られたくなかったんだけど結局兄上に持っていかれてしまったけどな」

 と、悲しい顔をするフレディ様。

「フレディ様……」

 そうか、私はよく考えたら公爵令嬢としてあるまじきぐらいに自由に生きていたんだなぁ。

 そう思うとその自由を許してくれていた家族に感謝しかないな。

「フレディ様、私は不本意ながらジュリアン様の婚約者に選ばれてしまいましたけど、フレディ様の親友は私だけですわ。友情は一生ものですわよ」

 友達はずっと友達だ。

 婚約者は深い所で関わるけれど、いつか壊れる時が来るかもしれない。

 そんな事に怯えながら付き合う関係より、永遠に友達という関係の方がずっといい。

「一生ものの友達……。そうだな俺とスーは死ぬまで唯一の親友だ」

 そう言うと、何か吹っ切れたようにフレディ様が笑った。

 その笑顔が眩しくて、私は少しだけ恥ずかしくなって思わず視線を逸らしてしまった。

 フレディ様は本当にいい男に育ったな。

 恋愛での好きではないけれど彼には幸せになって貰いたいと改めて思った。

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