アゲイン!ー私が当て馬?ふざけないで!逆行した公爵令嬢は2度目の人生は一生に一度の恋を所望するー

支倉りおと

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 少し情報を整理しよう。

 私は昨日領地へ帰る予定だったのに、気が付けば見知らぬ場所で眠っていた。

 一度目が醒めると、見知らぬ場所にいた事と足に足枷がつけられ拘束された足枷事件に驚きすぎてこの幼女の身体じゃ意識を保てずもう一度眠ってしまう。

 朝目覚めると何故か殿下に抱きしめられながら一緒に眠っていたという驚愕の現実を目の当たりにし仰天する。

 居るはずのない殿下が居た事で私が連れてこられた場所が王宮だと言う事が発覚。

 どうしてこうなっているのか理由を尋ねようも、当然のように殿下から命令を受けたメイドにより強制的に身だしなみを整えられ、またもや当然のように殿下と朝食を食べる手筈になっていて、食卓に着かされる。

 領地へ帰るはずだった私がどうして領地ではなく王宮に居るのか理由が全くわからない私が殿下に聞くと、どうやら殿下が部下に命令し私を馬車ごと拉致……。いや連れて来た。

 なぜ誘拐……。いや私を連れてこなければいけないのかと理由を聞くと「私を殿下の婚約者にする」という事を頷かせるためだった。

 そしてどうしても嫌がるなら王命にするという嫌がらせまで発動したかった模様。

 で、結局私の足に付けられた足枷は王宮から勝手に逃げないための拘束。

 殿下は私が殿下との婚約を承諾しない限りこの王宮から出さないとハッキリは言わないけれどそのような事をいって部屋を出た←今ここ。


 簡単に言うと私は王妃様と殿下の暴走によって王宮に拘束され婚約者になれと脅されているって事……よね?







 どうやら殿下は私に婚約を拒絶された事に酷く矜持を傷つけられたようだ。

 国の王になる事が約束された王子との婚約を喜ばないなんてことがないましてや拒絶されるなんて。

 そりゃ一度目の私ならホイホイ殿下の婚約者に飛びついただろう。

 だって見た目は国一番の容姿を持つ殿下だもの、面食いな私がそんな人の隣に立つ立場を逃すわけがない。

 だって見た目に騙されるおバカだったんだもの。

 だから私は自分から不幸になる道へ踏み入れた。

 殿下に愛される事もましてや少しの関心も持たれる事などないのに。

 今思ってもみじめな人生だったわ。

 

 それにしても何故私を王宮へ監禁まがいの事までして私を婚約者にしたいのかしら?

 ゆくゆくはこの国の王としての将来を約束された殿下だもの、婚約者など選びたい放題だったはず。

 宰相の娘で公爵令嬢という高い身分しかない私を選ぶ必要などない。

 私でなくても公爵令嬢はいるし、それじゃなくてもこの国には王族の妃として相応しい身分を持つ侯爵令嬢や伯爵令嬢も沢山いる。

 なのにどうして殿下は私に拘るのか?

 それは今ならわかる……単純な事だ。

 国の王になる為の後ろ盾は必要だ。例え殿下が唯一の跡取りだとしても。

 貴族社会、例え王族だとしても従える貴族からそっぽを向かれてしまえば国が成り立たない。

 その地位と権力を盤石にするためにも後ろ盾になれる貴族の娘を妃として迎える事が重要だ。

 殿下の後ろ盾としてこの国の宰相である人を父に持ち、殿下と年齢の近い公爵令嬢である私が選ばれるのは必然。

 

 あぁ、そうか。

 前も今も予定調和の出来事なんだ。

 私が殿下に必要とされるのは貴族の序列1位である公爵の娘であるからだ。

 それ以上でも以下でもない。

 今更ながら納得の事実だわ。

 そしてこの婚約で公爵家からの後ろ盾を手に入れ王太子としての盤石な地盤を手に入れる殿下。

 時期が来れば殿下は運命の人と出会い私を当て馬よろしくと男爵令嬢との愛を育み。

 それまで見向きもしなかった私の存在を疎み罠に嵌めて殺した。


 よく考えれば私……可哀相じゃない?

 いや、考えなくても可哀相よ。

 前は自分の意思で婚約者になったかもしれないけれど、愛した人には愛されるどころか利用されるだけ利用されて、自分の私利私欲の為に当て馬よろしくの対応をするなんて酷すぎる。

 なんだか腹の底からムカムカする。腸が煮えくり返るくらいじゃ済まされないくらいに怒りで目の前が真っ赤になりそうだわ。

 

 本当に私ってバカだわ。

 どうして見た目だけの男に騙されたのかしら。

 今更後悔しても前の事実は変える事は出来ない。


 でも未来は変える事が出来る。

 当て馬なんて絶対に嫌!!

 愛してくれない人を愛せるはずないじゃない。

 そんな無駄な時間を過ごすなんてばからしい。

 私は私だけを愛してくれる人と今度こそ結ばれたい。

 だから私は絶対にこの地獄のような日々から抜け出してやる。

 二度も殺されてたまるものですか。


 

 

 

 

 

 

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