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「朝から騒々しいやつだな。声が頭に響く少し静かにしろ」
そう言うと私の髪を梳きながら撫でてくる目の前の人。
一体何が起っているの?そのままの体勢で身体が動けない。そして背中に汗が伝わるのがわかる。
何故二度とお目にかかりたくなかった殿下の顔がほぼゼロ距離で眺める事になっているこの現実?
いや、夢?夢よね?夢じゃなきゃオカシイよね。
そう自分の中で納得すると、夢から醒めなくてはと私は目を閉じた。
早く目が醒めろ!!
そう願いもう一度目を開けると……。
私の行動を珍しいモノのように見つめながらニヤニヤしている殿下の顔があった。
夢であって欲しいと言う私の願望が崩れ去り私はそのままお布団に突っ伏してしまった。
所でなんで殿下が私の眠るベッド(仮)に一緒に居るのかしら?
いや、というかここは本気でどこなんだろう?
確実にオクレール領にある邸の部屋ではない事は……確実だ。
どう考えてもこのベッドだけでも貴族が所有出来るような物とは段違いに違いすぎる。
それに私には、とても怖い事になるのだけれどこの質の良いベッドに思い当たる事があるのだ。
それはこの人生を生きる前の私、16歳まで生きたユーリアが持つ記憶。
彼女が王妃教育の為に王族が用意した将来の王太子妃の為の部屋、ユーリアに宛がわれた部屋にあったベッドによく似ている……。
記憶が間違いでなければほぼあの時と同じベッドだと思う。
だって。
ヘッドボードには王妃様がユーリアの為にデザインした百合の花をモチーフにした紋章が彫られている。
この部屋を宛がわれる前から何故か王妃様にはとても気に入られていたユーリア。
王妃様の中で殿下の婚約者はユーリアだと決定されていたような歓待だった。
あの頃から王妃様だけはユーリアに優しかった。
だから、殿下の心がユーリアに向かなくても頑張れたのだ。
彼女に認められるのが何よりも嬉しかったのだ。
今回もこのベッドに会えるなんて……。
私は嬉しいのか悲しいのか微妙な気持ちになったけれど、これで確定してしまった。
ここが。
この部屋が。
王宮内、正確には王太子宮内にある王太子妃の為の部屋。
そして私がなぜか王族の住まいに拉致されてきたって現実。
内心ダラダラと汗が止まらないけれど、私はどうしても目の前に居る人に聞かねばならない。
どうして私がココにいるのか?と言う事を。
「あのっ「あー腹が減った。先に食事にするぞ。話はそれからだ」
私の言葉にわざとかぶせるように私の言葉を封じる殿下。
ベッドから立ち上がると、ベルを鳴らし王宮内に勤める侍女を呼んだ。
殿下は侍女に私の湯あみと食事の準備を頼み部屋を出て行こうとするけれど、足枷の存在を思い出した私は。
「殿下、コレっ!!」
慌てて足枷のついた足を殿下に見せると、怪訝な顔をしながらもなにやら急に思い出した殿下。
「あぁ、忘れてた。それはそのままでも湯あみは出来る長さになっている。気にするな。あと勝手に逃げ出そうとだけは考えるなよ」
楽しそうにそう言うとこの部屋を出て行った。
はぁぁぁぁぁぁぁ?
ちょっ、はぁ?どうい事?
なんで足枷なんかされなくてはいけないの?
それよりも逃げ出すってどういう事?
イヤイヤ逆にどうして私が王都から逃げ出す事を殿下がご存知なのもだけれど、それを引き留める事自体意味が分からないのだけど……。
本当に何がどうなっているの?
そう言うと私の髪を梳きながら撫でてくる目の前の人。
一体何が起っているの?そのままの体勢で身体が動けない。そして背中に汗が伝わるのがわかる。
何故二度とお目にかかりたくなかった殿下の顔がほぼゼロ距離で眺める事になっているこの現実?
いや、夢?夢よね?夢じゃなきゃオカシイよね。
そう自分の中で納得すると、夢から醒めなくてはと私は目を閉じた。
早く目が醒めろ!!
そう願いもう一度目を開けると……。
私の行動を珍しいモノのように見つめながらニヤニヤしている殿下の顔があった。
夢であって欲しいと言う私の願望が崩れ去り私はそのままお布団に突っ伏してしまった。
所でなんで殿下が私の眠るベッド(仮)に一緒に居るのかしら?
いや、というかここは本気でどこなんだろう?
確実にオクレール領にある邸の部屋ではない事は……確実だ。
どう考えてもこのベッドだけでも貴族が所有出来るような物とは段違いに違いすぎる。
それに私には、とても怖い事になるのだけれどこの質の良いベッドに思い当たる事があるのだ。
それはこの人生を生きる前の私、16歳まで生きたユーリアが持つ記憶。
彼女が王妃教育の為に王族が用意した将来の王太子妃の為の部屋、ユーリアに宛がわれた部屋にあったベッドによく似ている……。
記憶が間違いでなければほぼあの時と同じベッドだと思う。
だって。
ヘッドボードには王妃様がユーリアの為にデザインした百合の花をモチーフにした紋章が彫られている。
この部屋を宛がわれる前から何故か王妃様にはとても気に入られていたユーリア。
王妃様の中で殿下の婚約者はユーリアだと決定されていたような歓待だった。
あの頃から王妃様だけはユーリアに優しかった。
だから、殿下の心がユーリアに向かなくても頑張れたのだ。
彼女に認められるのが何よりも嬉しかったのだ。
今回もこのベッドに会えるなんて……。
私は嬉しいのか悲しいのか微妙な気持ちになったけれど、これで確定してしまった。
ここが。
この部屋が。
王宮内、正確には王太子宮内にある王太子妃の為の部屋。
そして私がなぜか王族の住まいに拉致されてきたって現実。
内心ダラダラと汗が止まらないけれど、私はどうしても目の前に居る人に聞かねばならない。
どうして私がココにいるのか?と言う事を。
「あのっ「あー腹が減った。先に食事にするぞ。話はそれからだ」
私の言葉にわざとかぶせるように私の言葉を封じる殿下。
ベッドから立ち上がると、ベルを鳴らし王宮内に勤める侍女を呼んだ。
殿下は侍女に私の湯あみと食事の準備を頼み部屋を出て行こうとするけれど、足枷の存在を思い出した私は。
「殿下、コレっ!!」
慌てて足枷のついた足を殿下に見せると、怪訝な顔をしながらもなにやら急に思い出した殿下。
「あぁ、忘れてた。それはそのままでも湯あみは出来る長さになっている。気にするな。あと勝手に逃げ出そうとだけは考えるなよ」
楽しそうにそう言うとこの部屋を出て行った。
はぁぁぁぁぁぁぁ?
ちょっ、はぁ?どうい事?
なんで足枷なんかされなくてはいけないの?
それよりも逃げ出すってどういう事?
イヤイヤ逆にどうして私が王都から逃げ出す事を殿下がご存知なのもだけれど、それを引き留める事自体意味が分からないのだけど……。
本当に何がどうなっているの?
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