アゲイン!ー私が当て馬?ふざけないで!逆行した公爵令嬢は2度目の人生は一生に一度の恋を所望するー

支倉りおと

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「ん?ここは何処?」


 私が目を醒まして見た景色はなんだか見覚えがあるようでないような天井、そしてなんだか肌触り良くて無茶苦茶気持ちの良いフカフカなお布団。目覚めたばかりなのに私を眠りの誘惑へと誘いそうで怖い。

 イヤな予感がヒシヒシとするけれど、そんな事はあり得ないと私は頭を振る。

「まさかね」


 と、言うより私いつ眠ったっけ?それよりも眠った記憶は1ミリもないのだけれど。

 確か早朝から領地へ帰る為に私は早起きをして馬車に領地へ持って帰る荷を積み私付のメイドと執事と共に馬車に乗り領地へ向かい出発した所までは覚えているんだけど……。

「そう言えばまだ周りが薄暗かったから景色すら見えなかった時間だったわね」

 公爵家の豪華な馬車でもさすがに割とガタガタ揺れるので朝から眠れる程眠たかった記憶がないのに何故私は眠っていたのかしら?と言うかここは何処?

 領地の私の部屋ではなさそうけど……。

 もっと幼い時に領地から王都へ来て一度も領地へ帰らなかったから領地の自分の部屋がどんな感じだったかなんてほとんど覚えていないんだけど、こんな感じではなかった事だけはなんとなく覚えている。

 さて、じゃぁ本当にここは何処なのかしら?

 ゴロンと寝返りを打った瞬間視界に入ったのはシーツに広がる美しいブロンドの髪らしき物と、足元から聞こえたジャラッという耳障りで不快な音。

「は?」

 驚いた私はお布団を剥ぐと左足の足首に手錠ならぬ頑丈な足枷が、それもかなり極太なチェーンと共に巻かれている。

 ちょ、え?これはどういう事?

 私いつの間に罪人になったの?

 寧ろ6歳の幼女が拘束されるような悪事をどうやって働くの?

 え?え?

 正直私はパニックになっていた。

 今現在の自分の状況がどうなっているのかすらわからないのに、足枷を嵌められ我が身の自由さえ拘束されるなんて訳が分からない。

 私はただ領地へ帰って幸せに過ごしたかっただけなのに。

 何がどうしてこうなったんだろう?

 この6歳の幼女の身体に対してかかる負荷が限界を超えたのだろう私の身体は勝手に涙が溢れてくる。

「うぅぅ・・・うえっ。な、なんでぇ」

 グズグズと涙が溢れて止まらない。

「ここどこぉ?お家に帰りたい。お家に帰りたいよぉ」

 めそめそとしていると、急に何かに包まれた。

「泣くな。泣かれるのは苦手だ。怖い事なんかないから泣きやめ」

 抱きしめてきたその人は私の頭を撫でながら、背中をトントンと叩く。

 落ち着く速度と言い感じの力加減にだんだん私の瞼がトロンとしてくる。

 結局、泣きつかれた私は私を抱きしめて来た人を確認する事なく、考える事を拒否した6歳の幼女の身体はそのまま眠りへと誘われた。


「眠ったか」


 私が眠ったのを確認すると、私を抱きしめていた人はそのまま私を離すまいと腕の力を強めた。











 部屋の中に明るい陽射しが入りだし、暗かった部屋が明るくなると共に私の意識も浮上した。

 
「あれ?また私眠っていたの?」

 昨日目覚めた時と同じ肌触りのいいお布団に包れて眠っていたんだなぁとまだよく働かない思考でお布団にスリスリと顔を擦り寄せる……あれ?

 ん?お布団にしては弾力があるしなんだか良い匂いがするんだけど。

 お布団こんなにいい匂いだったかしら?と思いスンスンと匂いを嗅ぐけれど程よい弾力と私の好きな匂いに余計ウットリしてしまったけれど……。

 ん?これはお布団じゃない、じゃぁこれって?

 寝ぼけていた瞳を思い切り開けると、私の視界に広がるのは白い肌?のような物に驚き距離を取ろうとするけれど、何故か身動きが取れない。

 ジタバタと暴れるけれど、私をぎゅっと抱きしめている腕の力がもっと強くなるだけだった。

「は、離してぇぇぇ」

 こ、怖い。誰?この人誰なの?

 だれだかわからない人に拘束され半泣きになっていると。

「もう起きたのか?ん?あぁ朝かじゃぁ仕方ないな」

 


 え?


 今の声?


 嘘でしょ?

 神様嘘だと言って!!


「あーよく寝たぁ。よし起きるぞ」

 そう言うと肩まで伸びるブロンドの髪が特徴的な彼の顔があった。



「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」




 うん。叫ばずにはいられない案件だよね。


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