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婚約するしないで揉めていた私と殿下は探しに来た殿下お付きの者に困惑されつつも一緒に連れられお茶会会場へ戻された。
頑として婚約話に首を振らない私と、何故自分との婚約を喜ばないのかと不満顔の殿下は一触即発状態。
そんな私と殿下の様子を王妃様と私のお父様である宰相が困った様子で見ていた。
「あらあら、アーサーったら振られちゃったのね。どうせまた女の子の気持ちを考えないような言い方でもしたんでしょう。ごめんなさいねユーリアちゃん。ねぇ?どうしてもうちのアーサーの婚約者はイヤかしら?」
私の目線にまで屈むと私の両の手をとりコテンと首を傾げ問いかけてくる王妃様。相変わらず可愛すぎます。
「私としては可愛い娘に無理強いしたくはないけれど、この国が私の可愛いリアを王太子妃にと望んでいるのは間違いない。どうしてもイヤなのか?」
お父様すら膝をつき私の目線まで降りて話掛けてくるが、私は此処で引き下がる事は出来ない。
殿下と婚約すると私の死亡ルート一直線なんだもの絶対に今回は死にたくない何が何でも!!
ポロポロと大粒の涙をこぼしながら必死の演技で私は訴える。
「い、嫌です。殿下だけはイヤです。私は、私は大好きなお兄様のお嫁さんになりたいのです!!」
そう言い放つとわんわんと泣き叫び思い切り拒絶の姿勢を示した。
正直今の私にとって最重要事項は殿下と婚約することなく王都からフェードアウトする事と死なずに生きると言う事。
その為なら私はなんだってやってやるわ。
号泣するほど嫌がる私に呆然とする王妃様と殿下とお父様。
「まぁそうだったのね。うーんそうねユーリアちゃんとクリスティアンの仲の良さは私も知っているから引き裂くなんてしたくはないわね。でも……実の兄妹での結婚は難しいけれど、ユーリアちゃんがどうしてもアーサーではイヤなのなら無理強いは出来ないわね。わたくしも女性ですもの例え家の為の政略結婚だとしても自分が愛してない人との共にする人生は辛いモノですものね。特に王族になるなんて重圧もひとしおだもの。残念だけどアーサー縁がなかったと思って諦めなさい」
殿下の頭をひと撫でし残念そうに諦めるよう諭す王妃様。
そんな王妃様に何か言いたげな殿下だったけれど、王妃様の決定に口を噤んだ。
「申し訳ありません王妃様。まだ狭い世界しか知らない娘ゆえ、このような事になってしまい……。殿下には我が娘よりもっとより良い家のご令嬢をお迎えください」
「まぁ、宰相ってば酷い人ね。ユーリアちゃんが拒絶したからってそんな笑顔ってないわ」
お父様はそう言うとどこかにこやかになった表情を見せる姿に王妃様は苦い顔をした。未だに泣き続ける私を抱き上げるとお父様は2人に挨拶をするとこの場を辞去する。
抱きかかえられながらもグズグズとしているが、婚約不成立に心の中ではガッツポーズをしていた。そして強い視線を感じた方を見ると、私の方をジッと見つめる殿下の仄暗い瞳と目があった私を見て薄っすらと笑う表情に私は戦慄した。
殿下の口が「絶対に逃がさない」
そう動いていたからだ。
頑として婚約話に首を振らない私と、何故自分との婚約を喜ばないのかと不満顔の殿下は一触即発状態。
そんな私と殿下の様子を王妃様と私のお父様である宰相が困った様子で見ていた。
「あらあら、アーサーったら振られちゃったのね。どうせまた女の子の気持ちを考えないような言い方でもしたんでしょう。ごめんなさいねユーリアちゃん。ねぇ?どうしてもうちのアーサーの婚約者はイヤかしら?」
私の目線にまで屈むと私の両の手をとりコテンと首を傾げ問いかけてくる王妃様。相変わらず可愛すぎます。
「私としては可愛い娘に無理強いしたくはないけれど、この国が私の可愛いリアを王太子妃にと望んでいるのは間違いない。どうしてもイヤなのか?」
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殿下と婚約すると私の死亡ルート一直線なんだもの絶対に今回は死にたくない何が何でも!!
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「い、嫌です。殿下だけはイヤです。私は、私は大好きなお兄様のお嫁さんになりたいのです!!」
そう言い放つとわんわんと泣き叫び思い切り拒絶の姿勢を示した。
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殿下の頭をひと撫でし残念そうに諦めるよう諭す王妃様。
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抱きかかえられながらもグズグズとしているが、婚約不成立に心の中ではガッツポーズをしていた。そして強い視線を感じた方を見ると、私の方をジッと見つめる殿下の仄暗い瞳と目があった私を見て薄っすらと笑う表情に私は戦慄した。
殿下の口が「絶対に逃がさない」
そう動いていたからだ。
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