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どうしてこうなったんだろう?
私は何を間違えた?
ただ大好きな婚約者に愛されたかっただけなのに。
あの人はいつも私の事をゴミくずを見るような目で見ていた。
私はあの人に相応しい淑女になりたかったからそれこそ血反吐を吐くような思いで色々な物を犠牲にしても頑張ってきたのに。
それなのに……。
結局あの人は婚約者の私ではなく身分も低い庶民と変わらないような少女を選んだ。
確かに私には高い身分しかなかったかもしれない。
だから努力は惜しまなかった。
でもそんな私の努力は全て無駄だった。
あの人の視界に私は一瞬たりとも映っていなかったのだ。
あの日、貴族ならば必ず一定期間通わねばならない学園の卒業式後に開かれるプロムでの出来事。
普通ならば婚約者が居ればプロムでエスコートして貰うのが慣例だが私は……。
婚約者であるあの人にエスコートもして貰えず、それだけでも落ち込んでいたのに、そんな私に待っていたのはあの人とあの人が選んだ少女による私の罪の捏造と婚約破棄だった。
何が起きているのかわからない私は連行されるまま王宮の貴族牢へと入れられた。
暗く冷たい場所に何日も閉じ込められ私の話など誰も聞いてなどくれなかった。
そして日にちの感覚などとうになくなりかけた頃、あの人は私の前にやってきた。
「明日お前を処刑する。ようやく邪魔者が消えるなんてすばらしい日だ」
清々しい顔をしてそう一言私に言うと去って行った。
あの人は最後まで私に絶望しか与えてくれなかった。
そして私は邪魔だったんだ。
情けなかった。
愛していたのは私だけで本当に殺したい程私は憎まれていた。
「ふふふふふ」
おかしい事なんか一つもないけれど笑いしか浮かばない。
なんてくだらない人生だったんだろう。
暗い牢屋に響く私の声が空しさを強調させる。
そして幾日ぶりに見る青空。
私は断頭台の上から見上げる最後の景色はとても綺麗だった。
何もかもどうにもならない今に私は逆に心が穏やかになる。
ただ大好きなあの人に愛されたいだけの小さな夢すら私には大きすぎる夢だった。
もう悲しみなどない。
ただもうこの叶う事のない苦しいだけの想いから解放されたかった。
目を瞑り口もとに薄っすら笑みを浮かべ上にあるギロチンの刃が私の首に落ちるのを待った。
私の人生はこれで終わったのだと。
爽やかな柑橘系の香りと落ち着くような茶葉の芳香に心が穏やかになる。
琥珀色の紅茶の中へ蜂蜜をひとさじ入れスプーンでかき混ぜる。
少し色は悪くなってしまうけれど、私は少しだけ甘味を加えた紅茶が幼い頃から大好きだった。
そう、あの日あのお茶会でそのお茶を飲んだ時から……。
突然の大量の光と共に私の意識は浮上した。
目の前がチカチカと眩しく点滅している。
あれ?私……死んだはず?
両方の目をぱしぱしと瞬きをさせ現状目の前に広がる光景に私は呆然とする。
私の目の前に広がるのは幼き日の記憶にある私が初めて王宮に行った日のお茶会?
その日の主役である将来の王太子と年齢の近い上位貴族の子息令嬢が招かれ、子息は殿下の将来の側近候補の選別、令嬢は未来の王太子妃を選ぶために招かれたのだ。
そんな事など知らない私は見目美しい王子であった殿下に一目惚れをしてしまう。
馬鹿な私は公爵で宰相でもあったお父様の力で無理矢理殿下の婚約者に収まってしまうような仕方のない令嬢だった。
ただただ私は願いが叶った事が嬉しくて殿下の気持ちなど考える事ができなかったんだ。
今思えば独りよがりにすぎない。
世間知らずよね。
こんなんじゃ私が殿下に愛されるはずなどありえない。
今の私なら考える間もなく納得だ。
と……。
え?
あれ?なんで私生きてるの?
さっき断頭台の上で死んだよね?
首スパーンと刎ねられたよね?
見てないからしらないけれど、殿下が満足そうにしていたよね?
どうして?なんで私生きてるの?
それよりもコレって……。
自分の想定外の事が起きてパニックになりながらも左右を見渡すとそこには見覚えのある人物を幼くしたような人達が沢山いた。
「嘘でしょ?」
手に持っていた高そうなカップを割るなんてとんでもない事は出来ないので恐る恐る近くのテーブルに乗せると震える手を押さえながら私はふらつく足をなんとか叱咤しその場を離れた。
誰もいない王宮内にある王妃様の為に王様が作った美しい池の前に立つと、私は恐々池に映る自分の姿を見て仰天した。
水面に映る姿は処刑された16歳の私ではなく。
このお茶会に来た当時6歳の姿の私だった。
私……生きてる?
いやそうじゃない、正確には時間が巻き戻っている?
なぜ?
私が混乱していると、後方で木々が騒めく音が聞こえた。
イヤな予感がしながらも思わず振り返るとそこには……。
予想通りの殿下が立っていた。
ですよね。
私は何を間違えた?
ただ大好きな婚約者に愛されたかっただけなのに。
あの人はいつも私の事をゴミくずを見るような目で見ていた。
私はあの人に相応しい淑女になりたかったからそれこそ血反吐を吐くような思いで色々な物を犠牲にしても頑張ってきたのに。
それなのに……。
結局あの人は婚約者の私ではなく身分も低い庶民と変わらないような少女を選んだ。
確かに私には高い身分しかなかったかもしれない。
だから努力は惜しまなかった。
でもそんな私の努力は全て無駄だった。
あの人の視界に私は一瞬たりとも映っていなかったのだ。
あの日、貴族ならば必ず一定期間通わねばならない学園の卒業式後に開かれるプロムでの出来事。
普通ならば婚約者が居ればプロムでエスコートして貰うのが慣例だが私は……。
婚約者であるあの人にエスコートもして貰えず、それだけでも落ち込んでいたのに、そんな私に待っていたのはあの人とあの人が選んだ少女による私の罪の捏造と婚約破棄だった。
何が起きているのかわからない私は連行されるまま王宮の貴族牢へと入れられた。
暗く冷たい場所に何日も閉じ込められ私の話など誰も聞いてなどくれなかった。
そして日にちの感覚などとうになくなりかけた頃、あの人は私の前にやってきた。
「明日お前を処刑する。ようやく邪魔者が消えるなんてすばらしい日だ」
清々しい顔をしてそう一言私に言うと去って行った。
あの人は最後まで私に絶望しか与えてくれなかった。
そして私は邪魔だったんだ。
情けなかった。
愛していたのは私だけで本当に殺したい程私は憎まれていた。
「ふふふふふ」
おかしい事なんか一つもないけれど笑いしか浮かばない。
なんてくだらない人生だったんだろう。
暗い牢屋に響く私の声が空しさを強調させる。
そして幾日ぶりに見る青空。
私は断頭台の上から見上げる最後の景色はとても綺麗だった。
何もかもどうにもならない今に私は逆に心が穏やかになる。
ただ大好きなあの人に愛されたいだけの小さな夢すら私には大きすぎる夢だった。
もう悲しみなどない。
ただもうこの叶う事のない苦しいだけの想いから解放されたかった。
目を瞑り口もとに薄っすら笑みを浮かべ上にあるギロチンの刃が私の首に落ちるのを待った。
私の人生はこれで終わったのだと。
爽やかな柑橘系の香りと落ち着くような茶葉の芳香に心が穏やかになる。
琥珀色の紅茶の中へ蜂蜜をひとさじ入れスプーンでかき混ぜる。
少し色は悪くなってしまうけれど、私は少しだけ甘味を加えた紅茶が幼い頃から大好きだった。
そう、あの日あのお茶会でそのお茶を飲んだ時から……。
突然の大量の光と共に私の意識は浮上した。
目の前がチカチカと眩しく点滅している。
あれ?私……死んだはず?
両方の目をぱしぱしと瞬きをさせ現状目の前に広がる光景に私は呆然とする。
私の目の前に広がるのは幼き日の記憶にある私が初めて王宮に行った日のお茶会?
その日の主役である将来の王太子と年齢の近い上位貴族の子息令嬢が招かれ、子息は殿下の将来の側近候補の選別、令嬢は未来の王太子妃を選ぶために招かれたのだ。
そんな事など知らない私は見目美しい王子であった殿下に一目惚れをしてしまう。
馬鹿な私は公爵で宰相でもあったお父様の力で無理矢理殿下の婚約者に収まってしまうような仕方のない令嬢だった。
ただただ私は願いが叶った事が嬉しくて殿下の気持ちなど考える事ができなかったんだ。
今思えば独りよがりにすぎない。
世間知らずよね。
こんなんじゃ私が殿下に愛されるはずなどありえない。
今の私なら考える間もなく納得だ。
と……。
え?
あれ?なんで私生きてるの?
さっき断頭台の上で死んだよね?
首スパーンと刎ねられたよね?
見てないからしらないけれど、殿下が満足そうにしていたよね?
どうして?なんで私生きてるの?
それよりもコレって……。
自分の想定外の事が起きてパニックになりながらも左右を見渡すとそこには見覚えのある人物を幼くしたような人達が沢山いた。
「嘘でしょ?」
手に持っていた高そうなカップを割るなんてとんでもない事は出来ないので恐る恐る近くのテーブルに乗せると震える手を押さえながら私はふらつく足をなんとか叱咤しその場を離れた。
誰もいない王宮内にある王妃様の為に王様が作った美しい池の前に立つと、私は恐々池に映る自分の姿を見て仰天した。
水面に映る姿は処刑された16歳の私ではなく。
このお茶会に来た当時6歳の姿の私だった。
私……生きてる?
いやそうじゃない、正確には時間が巻き戻っている?
なぜ?
私が混乱していると、後方で木々が騒めく音が聞こえた。
イヤな予感がしながらも思わず振り返るとそこには……。
予想通りの殿下が立っていた。
ですよね。
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