1000回目の巻き戻り人生、そろそろ幸せになりたいです

支倉りおと

文字の大きさ
上 下
18 / 19
2章 1000回目の巻き戻りのはじまり

フローリア、外堀を破壊する

しおりを挟む
 ライアン殿下をツリーハウスに置き去りにすると、私は慌ててお茶会会場へ戻った。

 お父様を見つけると私の顔を見てなんだか微妙な顔をしていた。

「どうかされたのですか?お父様」

「あぁ、フローリアかちょっと困った事になってな」

「なんですの困った事とは」

 今までに見た事がないようなお父様の困惑顔に一体何があったのかと思っていると。

「まぁまぁ。挨拶を受けた時も思ったけれど、さすが侯爵の娘ねなんて可愛いのかしら」

 私の背後から声を掛けて来たのは‥‥‥。

「お、王妃様?」

「やぁん、王妃様じゃなくてお母様と呼んでフローリアちゃん」

 私の手を取るといきなり訳の分からない事を言ってくる王妃様。

「えっと……お父様どういう事ですの?」

「あーーーうーーーーすまんフローリア」

 遂には涙目になったお父様がいまにも泣き出してしまいそうなくらい悲壮感を漂わせていた。

「ナイトレイ侯爵、フローリアちゃんに話してなかったの?ライアンの婚約者にならない?いやなりましょって」

 は?

 ライアン殿下が言っていたのは本当の事だったの?
 
 何このお茶会自体茶番だったの?

「で、フローリアちゃんどうかしら?今までライアンと一緒だったのよね?ライアンったらフローリアちゃんじゃなきゃイヤだって言うのよ。わたくしも貴方がいいわ。貴方が生まれた時から狙っていたんだから」

 フフフ。ととても良い笑顔で微笑んでくる王妃様。

 えぇぇぇ。ちょっと本当にどうなっているの?

 確かに今までの巻き戻り人生でもフローリアはライアン殿下に何度も見初められているけれど、お茶会前からってどういう事?

 本当に訳がわからない。

 でも私はこの人生でライアン殿下と婚約するわけにはいかない。

 私は私を幸せにしたいのだ。

「王妃様発言を宜しいでしょうか?」

「許します。でもそんなにかしこまらなくてもいいわよ。」

「申し訳ありませんが、私では荷が重とうございます。ライアン殿下の婚約者と言う事は将来の王妃になる可能性も考えられます。私のような特に何も秀でた所のない平凡な令嬢には向きません。先ほどライアン殿下にもお断りさせていただきました。この度は良いお話しをいただきありがたいのですが辞退させていただきます」

 堂々と言ってやったわ。

 誤魔化しても仕方がないんだ。

「まぁ、ライアンったら振られちゃったのね。確かにこんなに聡明な令嬢ならライアンにもったいないかもね」

 シュンとする王妃様。

「生意気を言って申し訳ありません。私ではライアン殿下にもこの国にも相応しくありません。もっと相応しい方をライアン様にお探しください」

 悲しそうな顔をしながらも私の頭を撫でる王妃様に。

「わたくしは、貴方が次代の王妃に相応しいと思いますけれど‥‥‥無理強いは出来ないわね。ライアンの婚約者としては は諦めますけど、よかったらわたくしと仲良くしてくれるかしら?わたくし貴方が気に入ったわ」

 ニッコリ笑うと私は王妃様に抱きしめられた。

 あぁ、懐かしい。

 私は王妃様に可愛がって貰った。いつも私の事をライアン殿下以上に娘としてよくしていただいた。

 私も王妃様の事が大好きだった。
 
 だから、最初の人生でも私が尽くしたのは王妃様の事があったからだ。

「王妃様、私でよければよろしくお願いいたします」


 そして私はライアン殿下との婚約を回避してこの人生で王妃様のお友達という立場を手に入れた。

 

 

 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

(完結)貴方から解放してくださいー私はもう疲れました(全4話)

青空一夏
恋愛
私はローワン伯爵家の一人娘クララ。私には大好きな男性がいるの。それはイーサン・ドミニク。侯爵家の子息である彼と私は相思相愛だと信じていた。 だって、私のお誕生日には私の瞳色のジャボ(今のネクタイのようなもの)をして参加してくれて、別れ際にキスまでしてくれたから。 けれど、翌日「僕の手紙を君の親友ダーシィに渡してくれないか?」と、唐突に言われた。意味がわからない。愛されていると信じていたからだ。 「なぜですか?」 「うん、実のところ私が本当に愛しているのはダーシィなんだ」 イーサン様は私の心をかき乱す。なぜ、私はこれほどにふりまわすの? これは大好きな男性に心をかき乱された女性が悩んで・・・・・・結果、幸せになったお話しです。(元さやではない) 因果応報的ざまぁ。主人公がなにかを仕掛けるわけではありません。中世ヨーロッパ風世界で、現代的表現や機器がでてくるかもしれない異世界のお話しです。ご都合主義です。タグ修正、追加の可能性あり。

王が気づいたのはあれから十年後

基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。 妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。 仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。 側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。 王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。 王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。 新たな国王の誕生だった。

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

蔑ろにされた王妃と見限られた国王

奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています 国王陛下には愛する女性がいた。 彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。 私は、そんな陛下と結婚した。 国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。 でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。 そしてもう一つ。 私も陛下も知らないことがあった。 彼女のことを。彼女の正体を。

お爺様の贈り物

豆狸
ファンタジー
お爺様、素晴らしい贈り物を本当にありがとうございました。

『伯爵令嬢 爆死する』

三木谷夜宵
ファンタジー
王立学園の中庭で、ひとりの伯爵令嬢が死んだ。彼女は婚約者である侯爵令息から婚約解消を求められた。しかし、令嬢はそれに反発した。そんな彼女を、令息は魔術で爆死させてしまったのである。 その後、大陸一のゴシップ誌が伯爵令嬢が日頃から受けていた仕打ちを暴露するのであった。 カクヨムでも公開しています。

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

あなたがそう望んだから

まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」 思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。 確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。 喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。 ○○○○○○○○○○ 誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。 閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*) 何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?

処理中です...