1000回目の巻き戻り人生、そろそろ幸せになりたいです

支倉りおと

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2章 1000回目の巻き戻りのはじまり

フローリア、かくれんぼをはじめる

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 私の記憶が確かなら、8割の確率で会場である庭園内に植えられているサクラという木の下で私はライアン殿下と出会ってしまう。

 もう一つは私がライアン殿下に一目惚れしてしまうパターンの時は、お茶会会場での出会いだ。

 その二通りしか私が思い出した記憶の中にないのでサクラという木の傍には近寄らずに、物陰に潜むのが正解だ。

 本当なら木の上にでも登ってしまえば絶対に見つからないだろうけれど、何かあった時の言い訳がめんどくさいからそこは考え物だ。
 
 木登りなんか魔法も使える私には余裕だけど、さすがに侯爵令嬢として王宮でコレやっちゃうのはどうかと思うけれど、自分の身の安全には必要かな?必要だよね?必要だわ。

 よし、木に登ろう。

 999回も人生を繰り返している人にしては単純すぎる考えかもしれないけれど、回避するためには何でもやるわ。

 私はサクラの木を避けると、木が密集していて見えにくい木に狙いを定めると魔法を使って木にジャンプした。

 

 この世界には魔法がある。

 魔力は貴族ならだいたいの者が大なり小なり持っていて、簡単な魔法なら幼い頃から使える。

 平民もたまに膨大な魔力を持つ者が現われる。彼らは貴族の家の養子にされたり、国に保護され学園に特待生として通うと、将来は魔術師団に所属する事になる。

 魔力の強い物は平民でも魔力の弱い貴族よりも立場が上だ。

 フローリア自身一番最初の人生では、貴族として平均的な魔力量だったけれど繰り返しの人生を生きている間にどうやらかなり膨大な魔力量を保持しているみたい。

 小さな体に膨大な魔力は身体によくない。こういう時は記憶が残っていてよかったと思ったよ。魔力の循環法が分からなかったらきっと膨大な魔力が行き場をなくして体調を崩していた事だろう。

 しかし、今までこの膨大な魔力どうやっていたのかそれは不思議だけど……今の問題はそこではないのでとにかく私は逃げ切るのみ。

 

 そして私が木の上に登ると、なぜか木の上に小さな小屋?らしきツリーハウスがあった。

「なんでこんな所にツリーハウスが……」

 見るからに怪しげな風貌というわけではなくとてもよく出来たツリーハウス。

 好奇心から中を覗いてみると。

「なんだコレ?なんでこんな立派な物があるの???」

 確かにこのツリーハウスがある木は立派でちょっとやそっとじゃ倒壊するような木ではないけれど、そんな気の上に作られたツリーハウスが立派すぎる。明らかに不審だ。

 室内も明るく清潔に整えられ、ソファーやテーブルにベッドまである。

 何の為に作られたんだこのツリーハウス……。

 確実に「罠だよね?」と思うような都合のいいツリーハウスの出現に私は震えた。

 ダメだここに居ては!と、直感で思い立った私はとにかくこの場を離れなくてはと逃走準備を始めた瞬間。

 加わる衝撃と共に目の前が真っ暗に変わった。

 完全に意識を失う前に私が見たのは。

 もう二度と見たくなかった

 金色に輝く美しい髪の色だった。

 


 

 
 
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