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2章 1000回目の巻き戻りのはじまり

フローリア、お茶会に行きたくないとゴネる

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 5歳になりました。

 なりたくなかった……むしろこの日を知らない間に通過したかった。

 そして怖い。

 記憶があるっていいのか悪いのかわからないわ。

 
 今日は私の運命を握るライアン殿下の為に開かれる例のお茶会の日だ。

 私は朝早くから侍女たちにあちこちをもみくちゃにされている。

 エステにマッサージに薄いお化粧とドレスに着替えると髪を結われた

 出来上がり鏡の前に立つと、そこにはいつもお茶会に着ていた薄いグリーンのドレスではなく、紺色に近い濃いブルーのドレスを纏う。
 ハーフアップに結われた髪にはキラキラとした髪飾りをつけた幼女のフローリアが立っていた。

「うわ、本当に昔の私だわ」 

 地味だけどフローリアにはいつものグリーンのドレスより似合ってるかも。

 普通なら可愛いドレス着れば女の子は夢見心地になるはずなのに。

 私の心は夢なら早く醒めたいし、全然気持ちが上がらない。むしろ下降する。

 なぜ私の死亡率爆上がりにする人に会いに行かねばならないのよ。

 999回の生まれ変わりの記憶の中、平民に落とされるまでは侯爵令嬢として生きているから例の人とは必ず関わってしまうのよね。

 本当にそろそろほっておいてくれないかしら。


 そして私は性懲りもなくゴネてみる

「お父様、どうしても今日のお茶会行かなくてはいけませんか?私一人くらいいなくても誰も気が付く事はないと思うのですが」

 ムッツリとする私を困ったような顔をして宥めるようにお父様は言った。

「私も出来れば可愛いフローリアを欠席させてあげたいんだけど、今日のお茶会は高位貴族の5歳以上の子供は強制参加という王命だから逆らうのは難しいかな?フローリアのお願いを叶えてあげられなくてお父様も悲しいよ」

 うそ?あのお茶会は王命だったの?私の記憶にはただの高位貴族の子息令嬢を集めたお見合いと言う名のお茶会だと思ってたよ。まさかの王命だなんて!こんなつまんない事に王命なんか使う事ないのに。

 そんなにみんな自分の可愛い子供をライアンの婚約者や側近にしたいのかね?

 確かに時期王となるライアンの婚約者や側近になれば王族と貴族間でのつながりが欲しい人には喉から手が出る程の案件だろうけど、王族に嫁入りする子はたまったもんじゃないわ。

 知らない人からの嫉妬や嫉みや僻みに心はガンガン擦り減るし、意味の分からない嫌がらせの嵐よ。
 
 上位貴族の侯爵家の娘ですらくだらない虐めの100や200うけるんだから。

 正直よく今までの私耐えてたよなぁと思うよ。

 別にライアンと特別仲が良かったとか溺愛されてたとかなら話はわかるけど、ただの友達だったもの。

 愛もない政略結婚を耐えるにはわりに合わない立場だったわ。

「そうなんですね。わかりました諦めます」

 酷く落ち込む私の頭を優しく撫でるお父様から

「行って王妃さまにご挨拶したら好きにしていいからせめてお茶会を楽しんでおいで」

「わかりました。王妃様にご挨拶が終わりましたらかくれんぼしてきますわ」

 よっしゃ、言質取った。

 これで挨拶後の私は自由だ!

 そして私はこの日ライアンから逃げて逃げて逃げ通す事を決めた。

 そんな甘い考えを持っていた私を嘲笑うかのように。

 この世界にはげーむの強制力以上に強い力が働いている事を私はまだ知らなかった。

 

 
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